淫奔いたずら)” の例文
自分と省作との関係を一口に淫奔いたずらといわれるは実に口惜くやしい。さりとて両親の前に恋を語るような蓮葉はすっぱはおとよには死ぬともできない。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
良次郎は御主人の娘をそそのかして淫奔いたずらをするような、そんな不心得な人間じゃありません。ここにいるおやまはほんとうの妹じゃありません。
半七捕物帳:20 向島の寮 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
年は丁度二十はたち、十四、五の時から淫奔いたずらで、親の家を飛出し房州あたりの達磨茶屋だるまぢゃやを流れ歩いて、十八の暮から下谷へ出た。
あぢさゐ (新字新仮名) / 永井荷風(著)
新吉お賤の逃去りましたのはもとより不義淫奔いたずらをしていて名主様がなくなると、自分達は衣類や手廻りの小道具何ややを盗んでいなく成ったに相違ない。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どうです、それを面目ないの淫奔いたずらだのって、現在の親がわが子の悪口をいうたあ、随分無慈悲な親もあればあったもんだ。いや土屋、悪くはとるな
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
けれども、ほかの事と違って、そんな淫奔いたずらをしたという濡衣ぬれぎぬをきせて追い出すというのはあんまりだ。里へ帰って親兄弟や親類にも顔向けが出来ない。
半七捕物帳:16 津の国屋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
心得違いの至りではあるが、拙者若江を連出し、当家へまいって隠れて居りましたなれども、不義淫奔いたずらをして主家しゅか立退たちのくくらいの不埓者ふらちものでは有りますけれども
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
心なき世上の若者淫奔いたずらなる娘の心をいざない、なおそれにても飽き足らず、是非にも弟子にと頼まれる勘当の息子たちからは師匠と仰がれ世を毒するなまめかしい文章の講釈。遊里戯場の益もない故実こじつ詮議せんぎ
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そりゃ土屋さん、男女の関係ちは見ようによれば、みんな淫奔いたずらだよ、淫奔であるもないもただ精神の一つにあるだよ。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
伯父晋齋の目をかすめ危うい逢瀬に密会を遂げ、懐妊までした男は真実まことの伊之助でなく、見るも怖しき狸でありましたから、身の淫奔いたずらを悔いて唯々たゞ/\なげきに月日を送り
「それも淫奔いたずらばちかも知れません。」
馬妖記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
年頃になって売られて来るものは大概淫奔いたずらか何か悪い事を仕て来るものが多いんだのに、親の為に自分から駈込んで来て身を売るというような者が又とある訳のものじゃアないよ
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
如何いかなる悪縁か重二郎殿を思いめましたを、重二郎殿が親の許さぬ淫奔いたずらは出来ぬとおっしゃったから、一にのみ引籠ひきこもり、只くよ/\と思いこがれてついに重き病気になり、病臥やみふして居ります
不義淫奔いたずらは若い内には随分ありがちの事だが、お國お前は飯島様のお屋敷へ奥様付になって来たが、奥様がおかくれになってから、殿様のお召使になっているうちに、お隣の御二男源次郎さまと
お若と伊之助は頻りに身の淫奔いたずらを詫び、何うかこれまでの行いはお許し下さる様にと他事たじはございません。妖怪変化のものは如何によく化けますといっても、必ず耳が動くものだそうにございます。