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悪戯
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いたずら
ふりがな文庫
“
悪戯
(
いたずら
)” の例文
旧字:
惡戲
「決して風流ではござりませぬ。さりとて
悪戯
(
いたずら
)
でもござりませぬ。ただ書きたくなりましたので、楽書きをいたしましてござります」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今度こそこの鼻蔵人がうまく一番かついだ
挙句
(
あげく
)
、さんざん笑い返してやろうと、こう云う
魂胆
(
こんたん
)
で
悪戯
(
いたずら
)
にとりかかったのでございます。
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
意趣か、
悪戯
(
いたずら
)
か知らぬが、入費はいかほど
嵩
(
かさ
)
もうと苦しゅうない。是が非でも
曲者
(
くせもの
)
を探し出し、
主君
(
おかみ
)
の手で成敗したいという仰せだ。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「今日まで
内証
(
ないしょう
)
にしていたんですが、実は四五日まえから脅迫状を
寄来
(
よこ
)
す奴がいるんです。初めは誰かの
悪戯
(
いたずら
)
だと思ってたんですが」
海浜荘の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
が、娘っぽい、
悪戯
(
いたずら
)
らしい頬笑みが、細い、生真面目な唇にひろがった。——マリーナは、彼女の顔の前にまだ新聞をひろげている。
街
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
「九時比に目黒のさきへ往ったと云うのは時間が
逢
(
あ
)
わないが、女と往ってよろしくやってたから、
何人
(
たれ
)
かが
悪戯
(
いたずら
)
をしたのじゃないの」
一握の髪の毛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
たいていの学者は、それをなにかの
悪戯
(
いたずら
)
のように考えたらしいですが、私は、それに
執心
(
しゅうしん
)
五年、やっと読み解くことができたのです。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「そうすると、あなたのことも、わたしのことも、知り抜いていての
悪戯
(
いたずら
)
なんでしょうか、それにしては仕上げが
拙
(
まず
)
うござんしたわ」
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「それはね子供のうちはどうせ
悪戯
(
いたずら
)
ばかりしたがるもんですよ。でも屹度いい大工になるでしょうよ。棟梁もそう云っていましたよ。」
少年の死
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
正倉院御物の有名な「
大大論
(
だいだいろん
)
」の人物画などそれである。きっと大昔の写経生の
悪戯
(
いたずら
)
書きか、即興のスケッチでもあることだろう。
美しい日本の歴史
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これ古服は黒し、
俺
(
おれ
)
は旅まわりの烏天狗で、まだいずれへも
知己
(
ちかづき
)
にはならないけれど、いや、
何国
(
いずこ
)
の
果
(
はて
)
にも、魔の
悪戯
(
いたずら
)
はあると見える。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれども私が
一寸
(
ちょっと
)
した思い付きから、あんな
悪戯
(
いたずら
)
をしました時に、自動車の中の方々が、どんなにかビックリなすった事でしょう。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
十年ぶりの再会をあれほど強く感じ得る心をもって、どうしてこの「師匠を敵たらしめた」運命の
悪戯
(
いたずら
)
に感動せずにいられたろう。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
その紳士はこうした
悪戯
(
いたずら
)
を好まないとみえて、看護婦の胸に描かれた
蟹
(
かに
)
の絵を見るなり、ぎょっとしたような顔をしてわきを向きました。
メデューサの首
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
日本橋橋畔のへリオトロープは単なる子供のいたずらであったであろうが、同じようなのでただの
悪戯
(
いたずら
)
ではない場合があり得る。
異質触媒作用
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「鶏を……。誰に
盗
(
や
)
られたろう。又、銀山の鉱夫の
悪戯
(
いたずら
)
かな。」と、若い主人は少しく眉を
顰
(
ひそ
)
めて、
雇人
(
やといにん
)
の七兵衛
老爺
(
じじい
)
を
顧
(
みかえ
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いや、石が降ったり、古池で赤坊の泣声がしたりする妖怪談と同じで、洗って見ればたわいもない
悪戯
(
いたずら
)
に過ぎないのだという者もあった。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
成は細君の話を聞いて、雪水を体にかけられたように
顫
(
ふる
)
えあがった。それと共に
悪戯
(
いたずら
)
をした我が子に対する怒りが燃えあがった。
促織
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「ガリマ」隊の進んで行ったあとの道路は、ちぎられた青葉若葉が乾いた路の上に、烈しい子供の
悪戯
(
いたずら
)
のあとをのこして散らばっていた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「坊っちゃんのお友達で、坊っちゃんの真似をして、お母様のところへ行ってお小遣い頂戴なんて、びっくりさせる
悪戯
(
いたずら
)
っ子あります?」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
矢田部教授と「
四月莫迦の日
(
エイプリル・フール
)
」の話をしていたら、彼は、日本人は鹿つめらしく見えるが、中々
悪戯
(
いたずら
)
をするのが好きだといった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
ケリッヒ家の庭をめぐらしてる壁に沿って行くと、
悪戯
(
いたずら
)
っ
児
(
こ
)
の時分にその広庭をのぞき込むためよじ登った、見覚えのある標石があった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼は好い気になって、書記の
硯箱
(
すずりばこ
)
の中にある
朱墨
(
しゅずみ
)
を
弄
(
いじ
)
ったり、小刀の
鞘
(
さや
)
を払って見たり、
他
(
ひと
)
に
蒼蠅
(
うるさ
)
がられるような
悪戯
(
いたずら
)
を続けざまにした。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかも、彼のいっさいの考えを
戦慄
(
せんりつ
)
せしめ、彼をほとんど狂わする悲痛な運命の
悪戯
(
いたずら
)
によって、その法廷にいるのは他の彼自身であった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
街街の一隅を
馳
(
か
)
け廻っている、いくら
悪戯
(
いたずら
)
をしても
叱
(
しか
)
れない墨を顔につけた腕白な少年がいるものだが、栖方はそんな少年の姿をしている。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
これよりか
悪戯
(
いたずら
)
を
加減
(
かげん
)
するなんて、どうしたらいいの? あれよか
減
(
へ
)
らせやしないや。だって、僕ほんのぽっちりしか
悪戯
(
いたずら
)
しないんだもの。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
そういう次第で、その男は、飽くことのない
悪戯
(
いたずら
)
好きであることは言うまでもないが、極端な
悪戯
(
いたずら
)
好きの剽軽者らしく見えた。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
「おやア! 背中に紙が
貼
(
は
)
ってあるぞ! 何だと……亡、者? ワッ! 亡者とある。ウム、確かにまた、喬之助の
悪戯
(
いたずら
)
——」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
これがためにその問題は、さらに差別事件になりまして、ひどく面倒になったと聞きました。この手紙はもちろん誰かの
悪戯
(
いたずら
)
にすぎますまい。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
暫
(
しばら
)
くは私は眼がくらくらして台所で水をごくごく飲んだものだ。嘘のような気がした。誰かが
悪戯
(
いたずら
)
したのだろうと思った。
落合町山川記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
馬鹿々々しいと思いながらも五目並べ屋の前にかがんで一寸
悪戯
(
いたずら
)
をやって見たりすることも出来るといったようなわけだ。
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
「や、とうとうつかまえた、こんなところに隠れていたのか、仕様のない
悪戯
(
いたずら
)
っ子だぞ! お前は!」と愛撫するように扉のあたりを
軽打
(
タッペ
)
した。
ノンシャラン道中記:03 謝肉祭の支那服 ――地中海避寒地の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「さあ、坊ちゃん方、はやく学校へいらっしゃい。今度から、もうこのお婆さんに、
悪戯
(
いたずら
)
をなさるのではありませんよ。」
納豆合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ひとつ面白いから騒がしてやれなんかという好奇な
閑人
(
ひまじん
)
があってかかる
不届
(
ふとど
)
きな
悪戯
(
いたずら
)
を組織的に始めないともかぎらない。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
その美しい顔は病気のために少し痩せてはいるけれど、にこにこしていた。
睫
(
まつげ
)
の長い暗色の大きな目には、なんとなく
悪戯
(
いたずら
)
らしい光りがあった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
僕らの歩いてゆく先々で、名もしらぬ花々が、
悪戯
(
いたずら
)
っ子らしく袖をひいてお辞儀した。皆、どこかで見た顔だったが、僕には思い出せなかった。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
清「お前お
母
(
っか
)
さんが毎晩愚痴を云ったのをよく聞き分けておくれだ、お前も
悪戯
(
いたずら
)
や何かすると不孝になりますよ、私どもはないものとお思いよ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
若
(
も
)
し
此
(
これ
)
から一週間別段
悪戯
(
いたずら
)
をしないなら、お父さんは乃公に四十円の小馬を買ってくれる筈だ。自転車を十台貰うよりも
彼
(
あ
)
の小馬一疋が欲しい。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
というのは後からつけた理窟で、真相は昼間の研究室における仕事と夜中の空腹とが協力してつくりあげる
悪戯
(
いたずら
)
らしい。
オフ・ア・ラ・コック・ファンタスティーク:――空想半熟卵――
(新字新仮名)
/
森於菟
(著)
人生の冷酷な
悪戯
(
いたずら
)
を、奇蹟の可能を、峻厳な復讐の実現を、深山の精気のように、きびしく肌に感じたのだ。しどろもどろになり、声まで
嗄
(
しわが
)
れて
花燭
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
真面目
(
まじめ
)
なきっぱりした敵対でやるよりも、からかいか
悪戯
(
いたずら
)
(ただふざけているように見せかけながら苦しめるのである)
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
この事をどこかで高橋が聞き
噛
(
かじ
)
り、例のごとくアーノルド男邸の地下室へ食いに往って
悪戯
(
いたずら
)
をするうち猴の真似をした。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
大きくはなるけれど、まだ一向に
孩児
(
ねんねえ
)
で、垣の
根方
(
ねがた
)
に大きな穴を掘って見たり、下駄を片足
門外
(
もんそと
)
へ
啣
(
くわ
)
え出したり、
其様
(
そんな
)
悪戯
(
いたずら
)
ばかりして喜んでいる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
或いは男と女と二組に立ち分れ、一方の築いている竈を壊して行くという
悪戯
(
いたずら
)
も
稀
(
まれ
)
にはあったということを
聴
(
き
)
いている。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
まさかそうではあるまい、そんな運命の
悪戯
(
いたずら
)
が不意に行なわれてよいものか、宮はお隠しになったはずであると小侍従は努めて思おうとしている。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
しかし無反省な愛執に目を
蔽
(
おお
)
われた庸三にも、この
怖
(
お
)
じ
気
(
け
)
もない葉子の
悪戯
(
いたずら
)
には、目を蔽っているわけには行かなかった。彼は少し興奮していた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それは私を幸福にしたのだろうか、それとも、私を来るべき苦しみの運命に縛りつけるための、自然の
悪戯
(
いたずら
)
であったのだろうか、私にはわからない。
父
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
其傍には、四歳ばかりの男の児が、跣足になつて、水鉄砲をバケツの中に入れて、頻りに面白さうに
悪戯
(
いたずら
)
をしてゐた。
百日紅
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
或るどんよりと曇った午前、私たちはまるで両親をだまして
悪戯
(
いたずら
)
かなんかしようとしている子供らのように、いくぶん陰気になりながら、出発した。
燃ゆる頬
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
だがそれはあの無心な奔放な雅致を、技巧で作為しようとする
悪戯
(
いたずら
)
に過ぎない。原作は別として、あの「
沓形
(
くつがた
)
」と称する茶碗の如き、醜の醜である。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
“悪戯”の解説
悪戯(いたずら、あくぎ、prank, mischief, practical joke)とは、悪ふざけ、人を担ぐこと。度を超した悪戯を「悪ふざけ」という。相手を不快にさせた場合は「嫌がらせ」になる。また、女性に性的な刺激を与える行為も悪戯といえる。
(出典:Wikipedia)
悪
常用漢字
小3
部首:⼼
11画
戯
常用漢字
中学
部首:⼽
15画
“悪戯”で始まる語句
悪戯者
悪戯盛
悪戯児
悪戯好
悪戯心
悪戯気
悪戯書
悪戯小僧
悪戯子
悪戯事