“とじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トジ
語句割合
刀自25.8%
22.6%
徒爾16.1%
途次8.1%
徒事4.8%
戸閉4.8%
杜氏3.2%
老女3.2%
3.2%
兎耳1.6%
(他:4)6.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もっとも白山へ来訪をうけた尼刀自とじへ返礼に出向でむかいたいのに、いつわりはないのですが、そんな事はどうでもいい。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御船みふねかもかれ」(巻十八・四〇四五)、「櫛造る刀自とじ」(巻十六・三八三二)、「やどりする君」(巻十五・三六八八)等は
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
岩木川の主水しゅすいを中心とする津軽平野の治水策であった。彼が寝ずに書いた献言書は、半紙七十枚とじで四冊もあった。
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
腰の筆苞ふでづとから絵筆を抜き、料紙とじを片手にして立ちむかうと、何と考えたか、八荒坊は、燕返りに飛びすさッて、
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わざは上達しないでもこういう心境をやしなうことが出来るものならば遊芸をならうということも徒爾とじではないように思われてくる。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
然らずして徒爾とじ訓詁くんこ講明かうめいするのみならば、便すなはち是れ終身かつて讀まざるなり。
そうして流転の途次とじにおいて、二度三度いな無限に「小なる生命」を産み育てる。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「その途次とじ、兄経家も阿波を出て、ひそかに義貞殿と某所におちあい、ふかくおしめし合ってのすえ、初めて、てまえにお使い役が下ったような次第でございまする」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これ無用の徒事とじたるのみに非ず、複雑なる北斎の作品に関する複雑なる評論をして更に一層の繁雑をきたさしむるのきらいあればなり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
勝家は、玄蕃允へ、六回もやった使者が、ついに全くの徒事とじして、怏々おうおうとして楽しまず、万事休す——とまで歎じていた。そして、
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし常に心に戸閉とじまりし、つねにかくさんとする重荷おもにがないだけ気軽で、大なる利益がある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
往来おうらいの家は戸閉とじまりをしっかりしていた。
現在でも酒屋の酒造り、なだ蔵人くらびととも百日男ひゃくにちおとこともいう者を、トウジと呼ぶのは普通で、「杜氏とじ」の字を宛てた理由というのが出たら目である。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
近世いい始めたことと思いますが狸は最も物真似に長ずと信じられ、ひとり古風な腹鼓はらづつみのみにあらず、汽車が開通すれば汽車の音、小学校のできた当座は学校の騒ぎ、酒屋が建てば杜氏とじの歌の声などを、真夜中に再現させて我々の耳を驚かしています。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
事実、大抵、女部屋の老女とじたちが、引ったくって渡させなかった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
事実、大抵、女部屋の老女とじたちが引つたくつて、渡させなかつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
顔に顔をもたせてゆるくとじたまひたる睫毛まつげかぞふるばかり、すやすやと寝入りてゐたまひぬ。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
顔に顔をもたせてゆるくとじたまいたる眼の睫毛まつげかぞうるばかり、すやすやと寝入りていたまいぬ。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ことに愛鷹の両尖点りやうせんてん(右なるは主峰越前嶽にして位牌ゐはいヶ嶽は左のこぶならむ)は、をどつて梢に兎耳とじを立てたり
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
彼らに向って改革の味方たらんことを望むは、屠児とじに向って悉く献身的の天人たらんことを望むなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
戸締とじめをしつかりすることさへも、うつかりしてゐたのでせうか?
それは太夫元がふと恐しい密謀を洩れ聞いたので、前途のある玉之助のために、実入みいりのよい興行を閉場とじてしまったのであった。
竹本綾之助 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
宗吉はかくてまた明神の御手洗みたらしに、更に、氷にとじらるる思いして、悚然ぞっと寒気を感じたのである。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)