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とじ
ふりがな文庫
“
刀自
(
とじ
)” の例文
酒は
刀自
(
とじ
)
の管理に属し、これを
醸
(
かも
)
す者もまた
姥
(
うば
)
であったことを考えると、彼らの手で分配するのが正式であったことはうなずかれる。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
当時、京都には、妓王、
妓女
(
ぎじょ
)
と呼ばれる、
白拍子
(
しらびょうし
)
の、ひときわ衆に抜きん出た姉妹があった。その母も
刀自
(
とじ
)
と呼ばれ、昔、白拍子であった。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
豊雄、
刀自
(
とじ
)
にむかひて、兄の見
咎
(
とが
)
め給はずとも、
密
(
みそか
)
に姉君を
一五三
かたらひてんと思ひ設けつるに、
一五四
速
(
はや
)
く
責
(
さいな
)
まるる事よ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
刀自
(
とじ
)
・若人たちは、一刻一刻、時の移るのも知らず、身ゆるぎもせずに、姫の前に開かれて来る光りの霞に、唯見呆けて居るばかりであった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
数日の後、荻原一家は、神奈川台の島津春子
刀自
(
とじ
)
の家にいた。この人も長い間の、年長の友達であった。そして、小石川の浜節子の邸に落着いた。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
それは広岡浅子
刀自
(
とじ
)
で、刀自は日本服などは賢い人間の着るべきものでないといふので、始終洋服ばかりつけてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
もっとも白山へ来訪をうけた尼
刀自
(
とじ
)
へ返礼に
出向
(
でむか
)
いたいのに、いつわりはないのですが、そんな事はどうでもいい。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
古くさい書物
棚
(
だな
)
から、
唐守
(
からもり
)
、
藐姑射
(
はこや
)
の
刀自
(
とじ
)
、
赫耶姫
(
かぐやひめ
)
物語などを絵に描いた物を引き出して退屈しのぎにしていた。
源氏物語:15 蓬生
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
しかし残された
刀自
(
とじ
)
、若人たちのうち
瞻
(
まも
)
る画面には、見る見る数千の
地涌
(
じゆ
)
の菩薩の姿が、浮き出てきた。それは幾人の人々が、同時に見た、
白日夢
(
はくじつむ
)
のたぐいかも知れぬ。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「実の
光
(
て
)
るも見む」(巻十九・四二二六)、「
御船
(
みふね
)
かも
彼
(
かれ
)
」(巻十八・四〇四五)、「櫛造る
刀自
(
とじ
)
」(巻十六・三八三二)、「やどりする君」(巻十五・三六八八)等は
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
歩み歩み、後から
尾
(
つ
)
いて来た品のよい切下げ髪の老婆が、朱実の背をのぞいてあやした。よほど子好きな
刀自
(
とじ
)
とみえ、供の下男にまで、この愛らしい笑い顔を見よ、というのだった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
刀自
(
とじ
)
の仰しゃることなら原田どのも聞くでしょう、私も好んで国目付などに訴状を出したいのではない、できるなら国老のあいだで事をおさめたい、という意志を伝えていただきたいのです」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……されば、
逐々
(
ありありて
)
戻り来しか。来る年も来る年も待ち
侘
(
と
)
ったが、冥土の
便宜
(
びんぎ
)
が
覚束
(
いぶせし
)
ないか、いっこう、すがたをお見されぬ。今もいま、
婆
(
ばば
)
刀自
(
とじ
)
と
愚痴
(
かごと
)
いうていた。……ああ、ようまあ戻り来しぞ。
生霊
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
主な一人は未亡人海間の
刀自
(
とじ
)
である。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
母
(
はは
)
刀自
(
とじ
)
の
枕屏風
(
まくらびょうぶ
)
に
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一一四
刀自
(
とじ
)
の君の病み給ふもいとことわりなるものを。そも
一一五
古
(
ふる
)
人は何人にて、家は
何地
(
いづち
)
に住ませ給ふや。女いふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
このオカカないしは
刀自
(
とじ
)
の地位は、慣習的にちゃんときまっていた。任務と権能と是に相応する尊敬とが附いていた。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
広岡浅子
刀自
(
とじ
)
が亡くなつた。年中洋服を着て、古くから日本にあるものは、
凡
(
すべ
)
てやくざ物だとばかり思ひ込んでゐた面白い婆さんだつたのに惜しい事をした。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
又処置方について伺うた横佩墻内の家の
長老
(
とね
)
・
刀自
(
とじ
)
たちへは、ひたすら、汝等の主の
郎女
(
いらつめ
)
を護って居れ、と言うような、抽象風なことを、答えて来たりした。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
十九年になって中島歌子
刀自
(
とじ
)
の
許
(
もと
)
へ通うまでは独学時代であったろうと考えられる。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
刀自
(
とじ
)
は甲斐を信じきっているのだ、と新左衛門は思った。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
僅かに百年の前に
溯
(
さかのぼ
)
っても、地方の婦人殊に
刀自
(
とじ
)
たちは、決してそのようなおなさけは予期していなかった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
若人たちは、
悉
(
ことごと
)
く郎女の
廬
(
いおり
)
に上って、
刀自
(
とじ
)
を中に、心を一つにして、ひしと顔を寄せた。ただ互の顔の見えるばかりの緊張した気持ちの間に、刻々に移って行く風。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
この頃の寒さに早稲田の応接間で、口を歪めて
縮
(
ちゞ
)
かまつてゐる大隈侯の夫人綾子
刀自
(
とじ
)
である。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
豊雄、此の事只今は
一四九
面俯
(
おもてぶせ
)
なり。人
伝
(
つて
)
に申し出で侍らんといへば、親兄にいはぬ事を誰にかいふぞと声あららかなるを、太郎の嫁の
一五〇
刀自
(
とじ
)
傍
(
かたへ
)
にありて、此の事
一五一
愚
(
おろか
)
なりとも聞き侍らん。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
佐佐木先生も
招
(
よ
)
ばれていったが、どうも、その婦人は、年をとった偉い人なのだろうと出かけてゆくと、立派な
家
(
うち
)
で、集まっている人たちも、浜子
刀自
(
とじ
)
とは、どんな人かとみんなが堅くなっていると
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
バンチャ・バンチクも人柄のよい老
刀自
(
とじ
)
たちには気のどくな話だが、つまりは女性の中でも一番遠慮なしに、よく物をいう人だという心持が、その流行を助けたという点は
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
刀自
(
とじ
)
は食べ物の用意に余年もない時刻であって、今年ばかりの遊歴の文人に、手伝ってもらう仕事は一つもないばかりか、おちおちと話の相手になる者もあったはずがないのである。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
刀
常用漢字
小2
部首:⼑
2画
自
常用漢字
小2
部首:⾃
6画
“刀自”で始まる語句
刀自古郎女