途次とじ)” の例文
そうして流転の途次とじにおいて、二度三度いな無限に「小なる生命」を産み育てる。死は単なる現象に過ぎない。死は罪をあがなうことは出来ない。……
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ことに高い方のM百貨店は、僕の先祖代々ろくんだ北越百万石の領主が、東照神君とうしょうしんくん御霊みたま詣での途次とじ、お供先が往来の真ン中で、とびの者と喧嘩になった為めに
青バスの女 (新字新仮名) / 辰野九紫(著)
「その途次とじ、兄経家も阿波を出て、ひそかに義貞殿と某所におちあい、ふかくおしめし合ってのすえ、初めて、てまえにお使い役が下ったような次第でございまする」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
徳川時代のだい諸侯は、参覲交代さんきんかうたい途次とじ旅宿りよしゆくへとまると、かならず大恭だいきようは砂づめのたるへ入れて、あとへ残さぬやうに心がけた由。その話を聞かされたら、彼等もこの弱点には気づいてゐたと云ふ気がしたり。
雑筆 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
拝啓御新作出勤の途次とじ車上にて拝読致候いたしそうろう
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「また、隠岐護送のおん供の途次とじにおいても」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)