)” の例文
後人また謂ふ、だ蘇州にのみ半夜の鐘ありしなりと。皆な非なり。按ずるに于鄴褒中即事詩に云ふ、遠鐘来半夜、明月入千家と。
太陽同じく照すといへど、一滴一沫よりして見れば、その光を仰ぎその温を被らざるあり。だ美妙の大光明は全景を覆ひ盡すのみと云ひぬ。
この故に孔子曰く、我を知る者はそれ惟だ春秋か、我をつみする者はそれだ春秋か。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
爵位がたっとく、俸禄が厚いに係わらず、国に報ぜんことを思わないで、貪饕たんこうを務めて、鈔金しょうきん三百錠を受け、法をげて裁判をし、銀五百両を取って、理を非に枉げて良民を害したから
富貴発跡司志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
阿那律これに答えること初めの如し。寡婦またこれなる念いを作す。男子の惑う所はだ色に在り。我まさに形をあらわにしてその前に立つべしと。すなわち便ただちに衣を脱して前に立ちて笑う。
惟当斯辰 まさときいて
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
今の成都は乃ち未だ嘗て梅雨あらず、だ秋半積陰、気令蒸溽、呉中梅雨の時と相類するのみ。豈に古今地気同じからざるあるか。(老学庵筆記、巻六)
「鎮年走道途。無暇奉祭祀。地下若有知。豈謂克家子。惟有詩癖同。家声誓不墜。」〔鎮年道途ヲキ/祭祀ヲ奉ズル暇無シ/地下シ知有ラバ/豈おもハンヤ克家ノ子ト/ダ詩癖ノ同ジキ有ルノミ/家声誓ツテ墜トサズ〕枕山はこの誓言にたがわず家声かせい
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)