“惟然坊”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ゐねんばう50.0%
いぜんぼう50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
支考に続いて惟然坊ゐねんばうが、墨染の法衣ころもの裾をもそりと畳へひきながら、小さく這ひ出した時分には、芭蕉の断末魔も既にもう、弾指だんしの間に迫つたのであらう。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その容子ようすをぢろぢろ眺めながら、古法衣ふるごろもの袖をかきつくろつて、無愛想なおとがひをそらせてゐる、背の低い僧形そうぎやう惟然坊ゐねんばうで、これは色の浅黒い、剛愎がうふくさうな支考しかうと肩をならべて、木節の向うに坐つてゐた。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
一所不住のような惟然坊いぜんぼうにしてなおかつ「夏さへも有磯行脚のうつけ共」という句を作っている位だから、その苦痛は思いやられる。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)