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焼
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た
ふりがな文庫
“
焼
(
た
)” の例文
旧字:
燒
村の人は塚穴の口で火を
焼
(
た
)
いて煙をその中へ入れた。野猪は苦しくなったのか外へ出てきた。待ち構えていた村の人はそれを
仆
(
たお
)
した。
殺神記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
翁は今日も余等が寝て居る内に、山から引いた氷の様な水を浴び、香を
焼
(
た
)
いて神明に祈り、机の前に
端座
(
たんざ
)
して老子を読んだのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
花鬘
(
けまん
)
をその
頸
(
くび
)
にかけ、果を供え、
樟脳
(
しょうのう
)
に点火して
薫
(
くゆ
)
らせ廻り、香を
焼
(
た
)
き飯餅を奉る、祠官神前に供えた椰子を砕き一、二片を信徒に与う。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
平床
(
ひらどこ
)
に据えた
古薩摩
(
こさつま
)
の
香炉
(
こうろ
)
に、いつ
焼
(
た
)
き残したる煙の
迹
(
あと
)
か、こぼれた灰の、灰のままに
崩
(
くず
)
れもせず、藤尾の部屋は
昨日
(
きのう
)
も今日も静かである。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
母親は四時には遅くも起きて
竃
(
かまど
)
の下を
焼
(
た
)
きつけた。清三は薬瓶と弁当とをかかえて、例の道をてくてくと歩いて通った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
今は割木がたこなつてるさかい、これで一束は買へまいけれど、まア一度分の
焼
(
た
)
きものは、ざつとここから出やうといふもんじや。何となア怖いもんなア。
心の鬼
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
囲炉裏
(
ゐろり
)
は五尺あまり、
深
(
ふか
)
さは
灰
(
はひ
)
まで二尺もあるべし、
薪
(
たきゞ
)
多
(
おほ
)
き所にて
大火
(
おほび
)
を
焼
(
た
)
くゆゑ也。家にかちたるものは
木鉢
(
きばち
)
の大なるが三ツ四ツあり、所にて作るゆゑ也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
一室を浄治し、あるいは
空閑
(
くうげん
)
の
阿蘭若処
(
あらんにゃしょ
)
にありて
瞿摩
(
ぐま
)
を壇とし、
栴檀香
(
せんだんこう
)
を
焼
(
た
)
きて供養をなし、一勝座を置きて、
旛蓋
(
ばんがい
)
もて
荘厳
(
しょうごん
)
し、
諸
(
もろもろ
)
の名華を以て壇内に布列せよ。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
わが庵の竹の林にこぬか雨今朝も
湿
(
しめ
)
れり。春さきのこぬか雨なり。ふるとしも見えぬ雨なり。こぬか雨笹にこもりて、
香
(
かう
)
焼
(
た
)
けば
香
(
かう
)
もしめりて、事もなし、ただ明るけし。
観想の時:――長歌体詩篇二十一――
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ふびんや
少女
(
おとめ
)
の、あばら屋といえば天井も
無
(
な
)
かるべく、屋根裏は
柴
(
しば
)
焼
(
た
)
く煙りに塗られてあやしげに黒く光り、
火口
(
ほくち
)
の如き煤は
高山
(
こうざん
)
の
樹
(
き
)
にかゝれる
猿尾枷
(
さるおがせ
)
のようにさがりたる下に
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
先程
(
さきほど
)
から
萬屋
(
よろづや
)
の
主人
(
あるじ
)
は、四
畳
(
でふ
)
の
囲
(
かこひ
)
へ
這入
(
はい
)
り、
伽羅
(
きやら
)
を
焼
(
た
)
いて
香
(
かう
)
を聞いて
居
(
を
)
りました。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『誰がくだらないことを
焼
(
た
)
きつけたのだろうねえ、ほんとにしようがないねえ』
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
またある時は二つの船は互いに遠く乗り放し矢合わせをして戦った。闇の夜には
篝
(
かがり
)
を
焼
(
た
)
き、星明りには
呼子
(
よびこ
)
を吹き、月の晩には
白浪
(
しらなみ
)
を揚げ、天竜の流れ
遠州
(
えんしゅう
)
の
灘
(
なだ
)
を血にまみれながら
漂
(
ただよ
)
った。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
底
(
そこ
)
一面
(
いちめん
)
に
靄
(
もや
)
がかかって、その靄に、ぼうと遠方の火事のような色が
映
(
うつ
)
っていて、
篝
(
かがり
)
でも
焼
(
た
)
いているかと、
底
(
そこ
)
澄
(
す
)
んで赤く見える、その
辺
(
あたり
)
に、
太鼓
(
たいこ
)
が聞える、笛も吹く、ワアという人声がする。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
漕
(
こ
)
いで行ってしまわれた夕暮、我れは悲しみにたえやらず、君の行方なつかしく、美しい茜色の西の大空を、野越え、山越え、森越えて眺めやり、
松樹
(
しょうじゅ
)
影暗く繁る、
瘤寺
(
こぶでら
)
の、
湿
(
しめ
)
れる
墓畔
(
ぼはん
)
に香を
焼
(
た
)
いて
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
或は水汲み、或は火
焼
(
た
)
き
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
気が注くとともにかの女と天縁があるかないかを知りたいと思いだした。彼は廟の中へ入って往って、香を
焼
(
た
)
き、赤い蝋燭をあげて祷った。
断橋奇聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
巻絹は
裁
(
た
)
ち縫うて衣裳にすれども
耗
(
へ
)
らず、衣服に
充満
(
みち
)
けるが、後にその末を見ければ延びざりけり、鍋は兵糧を
焼
(
た
)
くに、少しの間に煮えしとなり。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
一人の船頭は、マッチを闇に
摺
(
す
)
つて、大きな
煙管
(
きせる
)
に火をつけて、スパリスパリ
遣
(
や
)
つて居た。時々
苫
(
とま
)
の中の明るく見える船や、
篝
(
かがり
)
のやうに火を
焼
(
た
)
いて居る船などがあつた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
寒いのは、この五月の空に、かんかん炭を
焼
(
た
)
いて獰猛共が
囲炉裏
(
いろり
)
へあたってるんでも分る。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
焼
(
た
)
く香の煙の煙立つ夕を
疾
(
とく
)
も来れと待つ間、一字三礼妙典書写の功を積みしに、思ひ出づるも腹立たしや、たゞに朕が現世の事を破りしのみならず、また未来世の道をも妨ぐる人の振舞
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
今はただ蚊が名物で、湯の谷といえば、
市
(
まち
)
の者は蚊だと思う。
木屑
(
きくず
)
などを
焼
(
た
)
いた位で
追着
(
おッつ
)
かぬと、売物の蚊遣香は買わさないで、
杉葉
(
すぎッぱ
)
を
掻
(
か
)
いてくれる深切さ。縁側に
両人
(
ふたり
)
並んだのを見て嬉しそうに
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小三郎は養父の
二七日
(
ふたなぬか
)
の日になって法事をしたところで、翌朝六つ時分になって
庖厨
(
かって
)
に火を
焼
(
た
)
く者があった。それは五十ばかりの女であった。
四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
隠行の香薬とは、支那で線香を
焼
(
た
)
いて人事不省たらしめて盗みを行う者あるごとく、特異の香を放ち、守衛を不覚にして宮中に入ったのであろう。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
瓜
(
うり
)
浸して食いつゝ
歯牙香
(
しがこう
)
と詩人の
洒落
(
しゃれ
)
る川原の夕涼み快きをも
余所
(
よそ
)
になし、
徒
(
いたず
)
らに
垣
(
かき
)
をからみし夕顔の暮れ残るを見ながら
白檀
(
びゃくだん
)
の切り
屑
(
くず
)
蚊遣
(
かや
)
りに
焼
(
た
)
きて是も余徳とあり
難
(
がた
)
かるこそおかしけれ。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「寒ければ、石炭を
焼
(
た
)
かせようか」と云った。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
河南の韓山童乱を
作
(
な
)
し、弥勒仏の出世を名となし、無頼の悪少を誘集し、香を
焼
(
た
)
き、
会
(
え
)
を結び、漸々
滋蔓
(
じまん
)
して淮西の諸郡を陥れ、それより陳友諒・張士誠等の兵
尋
(
つい
)
で起り
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
簀
(
さく
)
を
易
(
か
)
え
机
(
き
)
を
按
(
お
)
き、花を
供
(
くう
)
し香を
焼
(
た
)
くような事は
僕婢
(
ぼくひ
)
の為すがままに任せていたが、僧を
喚
(
よ
)
び
柩
(
ひつぎ
)
に
斂
(
おさ
)
めることは、其命を下さなかったから誰も手をつけるものは無かった。一日過ぎ、二日過ぎた。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
明りにと
焼
(
た
)
いてある松の火がぼんやりと鼠色の
法衣
(
ころも
)
を照らした。
鮭の祟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ただし
最
(
いと
)
古く香の知識の発達したはまずアジア大陸諸国で、支那の『神農本草』既に香剤を収めた事多く、『詩経』『離騒』に芳草しばしば見え、
返魂
(
はんごん
)
招仙に名香を
焼
(
た
)
く記事を絶えず。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「どうだ、火を
焼
(
た
)
こうか」
火傷した神様
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
戦いの刻限を告げ
確
(
しっ
)
かり食事して働いてくれと頼んで去った、七人木で庵を造り
鏃
(
やじり
)
など
鋭
(
と
)
いで
弓弦
(
ゆづる
)
括
(
くく
)
って火
焼
(
た
)
いて夜を明かし、朝に物
吉
(
よく
)
食べて
巳
(
み
)
の時になりて敵来るべしといった方を見れば
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その頃まで邦産なしと心得輸入品を用いおったが、ようやく右の地で捜し出たらしく、古人苦辛のほど察すべし。この
厴
(
へた
)
ばかり
焼
(
た
)
けば
臭
(
かざ
)
悪
(
あ
)
しきも、衆香に
雑
(
まじ
)
えて焼かば芳を
益
(
ま
)
し合香に必須だ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その国のドルイド教の僧輩反抗もっとも烈しかったので尊者やむをえずその
沃野
(
よくや
)
を
詛
(
とこ
)
うてたちまち荒れた沼となし川を詛うて魚を生ぜざらしめ缶子を詛うていくら火を多く
焼
(
た
)
いても沸かざらしめ
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
街路を
浄
(
きよ
)
め、
幡
(
はた
)
を懸け、香を
焼
(
た
)
き、花を飾って歓迎する。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
焼
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“焼”を含む語句
火焼
焼麺麭
焼酎
焼火
生焼
焼畑
夕焼
蒲焼
素焼
焼餅
焼刃
岡焼
高麗焼
焼死
焼棄
焼焦
焼痕
焼捨
類焼
鯛焼
...