)” の例文
こんどは京都きょうと羅生門らしょうもん毎晩まいばんおにが出るといううわさがちました。なんでもとおりかかるものをつかまえてはべるという評判ひょうばんでした。
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「あれは、ただとおくからながめているものです。けっして、あのはなみずうえちてきたとてべてはなりません。」とおしえました。
赤い魚と子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
寺のぼうさんは、びしょぬれになっている法師の着物をきかえさせ、あたたかいものをべさせて、できるだけ心をおちつかせました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
かんがへてりやあ生身なまみをぐつ/\煮着につけたのだ、尾頭をかしらのあるものの死骸しがいだとおもふと、氣味きみわるくツてべられねえツて、左樣さういふんだ。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そればかりではありません、やまにある田圃たんぼにあるくさなかにも『べられるからおあがり。』とつてくれるのもありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
十月になるとわたしは川の牧草地にブドウ採りに出かけ、りょうというよりはその美しさと香りの点で珍重すべきふさをしょってきた。
「ああ!」とおかみさんがこたえた。「うち後方うしろにわにラプンツェルがつくってあるのよ、あれをべないと、あたしんじまうわ!」
蝙蝠かうもりねこべるかしら?』なんてひました、それであいちやんは、どつちがうとも其質問そのしつもんこたへることが出來できませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
三四郎は礼を云つて、一つべた。ひげのある人はきと見えて、無暗むやみべた。三四郎にもつとべろと云ふ。三四郎は又一つべた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
黒い頭巾ずきんをかぶって、姿はだかい修道士イルマンだが、中身なかみ裾野すその蚕婆かいこばばあだ。たきびで焼いたうさぎの肉をひとりでムシャムシャべている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もし自分じぶん文字もんじつうじてゐたなら、ひとつ羊皮紙やうひしれて、それにしたゝめもしよう。さうして毎晩まいばんうんとうまものべてやる。
しよめしなぞべると、かれはいつでもこゝろ空虚くうきようつたへるやうな調子てうしでありながら、さうつてさびしいかほ興奮こうふんいろうかべてゐた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そのうち上座じやうざざう食事しよくじそなへていて、自分じぶんつて一しよにべてゐるのを見付みつけられましたさうでございます。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
たとえは、くまが納屋なやへしのびこんで、かずの子のほしたのをはらいっぱいにべ、のどがかわいたので川の水をのむと、さあ大へんです。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
「寒い位何でもありません。では午後に屹度来ますから火を沢山熾しといて下さい。そしてお菓子と何かべるものも……。」
湖水と彼等 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
もの着物きものだって……すこしちたまえ、なにかあるだろう。が、家のものをさわがしたくないから、まにあわせだよ」
ホヽいやだよ此人このひとは、しゞみかひごとべてさ……あれさお刺身さしみをおかつこみでないよ。梅「へえ……あゝ心持こゝろもちになつた。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そんなにあたいの顔を、見ないでよ、そんなにべてばかりいはしないわよ、疑りぶかく見つめていらっしゃる。」
蜜のあわれ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「そりゃもう、いずれおまんまでもべながら、ゆっくりせてもらおうが、まずふみ上書うわがきだけでも、ここでちょいと、のぞかせておくれでないか」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
かつてボズさんと辨當べんたうべたことのある、ひらたいはまでると、流石さすがぼくつかれてしまつた。もとよりすこしもない。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
たがひ身體しんたい丈夫じようぶでなければ何事なにごと出來できませんから、あたらしい空氣くうき呼吸こきゆうと、十分じゆうぶん日光浴につこうよくと、運動うんどうとによつて食物しよくもつをうまくべることが一番いちばん大切たいせつです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
自分じぶん主人しゆじん慾張よくばりで、ろくなものを自分じぶんにも自分じぶんどもにもべさせません、よく王樣わうさま御威嚴ごゐげんをもつてしかつていたゞきたい。と、それからつぎには……
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
それは殘念なことを致しました。早くいらつしやらないのでわたくしは黄泉よみの國の食物をべてしまいました。
いろいろとわたしを試験しけんをしてみたすえ大将たいしょうはかわいそうになって、とにかく朝飯あさめしべさせることにする。
もしも自然しぜん貝殼かひがらがつもつたものとすれば、そのうちには、きっとべられないをさないかひまじつてゐなければならないはずだのに、おほきいじゆくしたかひばかりであり
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ヂオゲンは勿論もちろん書齋しよさいだとか、あたゝか住居すまゐだとかには頓着とんぢやくしませんでした。これあたゝかいからです。たるうち寐轉ねころがつて蜜柑みかんや、橄欖かんらんべてゐればれですごされる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
異物ことものは喰はで、仏の御撤下物おろしをのみ喰ふが、いと貴き事かな」と云ふ気色けしきを見て、「どか異物ことものべざらん、それが候はねばこそ取り申し侍れ」と云へば、菓物くだもの
濫僧考補遺 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
それは、耳食じしよくといふ言葉ことばで、ひとがおいしいといふのをくとおいしいとおもふのは、くちべるのではなくて、みゝべるのだ。見識けんしきがないといふ意味いみ使つかつてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
下女の話によると、タアちゃんはこれまでもときどき、花前、花前といって花前のところへいき、花前もタアちゃんの持っていったお菓子かしべたようすであったという。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「いや結構です。」とキヤノンは前歯で大粒の玉蜀黍をぽつり/\かじりながら言つた。「もう七本も食べましたかな。」実際食卓の上には、玉蜀黍のがらが七本転がつてゐた。
くだきて我が妻のやまひ平癒へいゆ成さしめ給へと祈りしかば定まりある命數めいすうにや日増ひましつかおとろへて今は頼み少なき有樣に吉兵衞は妻の枕邊まくらべひざさしよせ彼是かれこれと力をつけ言慰いひなぐさめつゝ何かべよくすり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
考へてごらんなさい、牡蠣だつて章魚だつて、誰もいふが、べだした奴は豪傑です。
夏の夜 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
ぢやうおそれから阿母さんは今一枚洗つて、今日けふ大原おほはらまでにいさん達の白衣はくえを届けて来るからね、よく留守番をてお呉れ。御飯ごはんにはさけが戸棚にあるから火をおこして焼いておべ。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
戀人のやうに顏をあかめる秋の櫻の木、そのあかいのはおまへの枝にぶら下る心臟の血であらう、この間、通りすがりの人たちにのおいしいのはべられて、今は唯なさけに脆いかぜ出來心できごゝろ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
人の物をべる口つき手つきで千世子は人がきらいになる事がないでもない。
千世子(二) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
よるなんかでも、あなたは毛色けいろがおくろいからはなあたま御飯粒ごはんつぶをくつつけてくちをあいてゐればねづさんはくろところしろいものがあるのでよろこんでべにるとべられるつていふぢやございませんか。
春浅み背戸の水田のさみどりの根芹は馬にべられにけり (一四六頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「へエ、ひるべたつきりだが、腹一杯で何んにも欲しくねエだよ」
もしも天われに許さば蒸したての熱き饅頭べて死なまし
枕上浮雲 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
「何もべやしません。地べたに接吻するだけでさ」
地蔵菩薩のすがたして、 栗をうぶるわらはべ
文語詩稿 一百篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
肉類にくるいごろ 冬 第三百四十一 鳥の食べ頃
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
我身わがみかぎつてなまぐさきものはべまじとおもひぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
どんなにままにべらりように
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
手馴れしさまにうぶるなり。
生活のうるほひ (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
うべず過ぎしは月あまり
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
べしやんせ。
歌時計:童謡集 (旧字旧仮名) / 水谷まさる(著)
「おやおや、まあ。めずらしい大きなうりだこと、さぞおいしいでしょう。うちへってかえって、おじいさんと二人ふたりべましょう。」
瓜子姫子 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
やまや、や、たにべるものがなくなってしまうと、人間にんげん村里むさざとおそってきます。そして、人間にんげんべたり、家畜かちくったりします。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ざつみづけて、ぐいとしぼつて、醤油しやうゆ掻𢌞かきまはせばぐにべられる。……わたしたち小學校せうがくかうかよ時分じぶんに、辨當べんたうさいが、よくこれだつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)