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達
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た
ふりがな文庫
“
達
(
た
)” の例文
お絹の家の本家で、お絹たちの母の
従姉
(
いとこ
)
にあたる女であったが、ほかに身寄りがないので、お京のところで何かの用を
達
(
た
)
していた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
また仙太郎は金森様のお
舟御用
(
ふなごよう
)
を
達
(
た
)
しますという、末お芽出度いお話でございます。これで粟田口のお話は読切に相成りました。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
亭主はさぞ勝手で
天窓
(
あたま
)
から夜具をすっぽりであろうと、心に
可笑
(
おか
)
しく思いまする、小宮山は山気
膚
(
はだ
)
に染み渡り、
小用
(
こよう
)
が
達
(
た
)
したくなりました。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
打明けて、互に不満足のないようにしようとする為めのこの会合です。君は
達
(
た
)
って、田舎に帰るのが
厭
(
いや
)
だとならば、芳子を国に帰すばかりです
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「医は仁術なりと申してな、お礼など
目的
(
めあて
)
には参り申さぬ。
達
(
た
)
つてとの御意なら、記念のために老先生の扇面が戴きたい。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
五郎兵衛は年来大塩家に出入して、
勝手向
(
かつてむき
)
の用を
達
(
た
)
したこともあるので、二月十九日に暴動のあつた後は、町奉行所の
沙汰
(
さた
)
で
町預
(
まちあづけ
)
になつてゐる。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
嘉助始め皆なで外の用を好く
達
(
た
)
してくれる。ですから、私は家を出ないものとしていますよ……女というものは、お前さん、こうしたものですからね
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
朝も早く起きて——
老人
(
としより
)
は目が早くさめるものじゃ——ほかの事はどうでもいいとして、御隠居の用をよく
達
(
た
)
すのだ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
午後私は近所へ用
達
(
た
)
しに出かけると、途中で若い畫家のO君に出逢つた。一緒にカフェに入つた。君はどうするのかと聞いたら、踏み止まるつもりだといふ。
大戦脱出記
(旧字旧仮名)
/
野上豊一郎
(著)
その間にも母の薬を持ってきた帰りや、母の用を
達
(
た
)
した帰りには、きっと僕の所へ這入ってくる。僕も民子がのぞかない日は何となく淋しく物足らず思われた。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
馬車を待って乗るから
構
(
かま
)
わず帰れと翁が云うので、翁を茶店の前に残し、少し用を
達
(
た
)
して
戻
(
もど
)
りかけると、馬車はすれ
違
(
ちが
)
いに通ったが、車中に翁の影が見えない。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
十時ころにいちど用を
達
(
た
)
させ、それから少しうとうとしたと思うと、痛いほど激しくまた乳を吸われた。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
日曜日には、御機嫌伺いと号して課長殿の私邸へ伺候し、囲碁のお相手をもすれば御私用をも
達
(
た
)
す。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
山にはただこの
家
(
や
)
一軒あるばかりだ。麓の村に下りる迄は二三丁程あった。太吉は日に幾回となく、この
赤地
(
あかつち
)
の山道を下りて遊びにも行き、家の用事をも
達
(
た
)
しに行った。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ああ、わしはちょっとソノ……食事のあとで用を
達
(
た
)
すことがあるので、そちだけでいってくれ」
大使館の始末機関:――金博士シリーズ・7――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ですからお俊ばかりでなくお神さんたちが頼みもせぬ用を
達
(
た
)
してくれるのでございます。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼は、用を
達
(
た
)
したあとは、疲労と
疼痛
(
とうつう
)
とで失心したような状態に陥るのであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
丁度今から三年前、おれが
盆茣蓙
(
ぼんござ
)
の上の
達
(
た
)
て
引
(
ひ
)
きから、江戸を売つた時の事だ。
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あんな有様でお
逝
(
な
)
くなりになり、どうも死因が変だというので、マリア姫のお父様の外務大臣とは、以前政治上の問題で、御用を
達
(
た
)
したことがありました所から、大臣が私に御依頼になり
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
女は
室
(
へや
)
を出て往っちまう、で、便所へ往くふりをして、そっと広間へ往って、その皿鉢の中の残り肴を平げてしまい、中を鼻紙で
美麗
(
きれい
)
に拭いて、出口の障子際へ持ち出し、それから用を
達
(
た
)
して
幽霊の自筆
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
台所働きの下女はあるが、ほかに手廻りの用を
達
(
た
)
してくれる小間使いのような若い女がほしい。年頃は十七、八で、あまり育ちの悪くない、行儀のよい、おとなしい娘がほしいというのである。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
龍介はちょっと来てから道ばたの雪に小用を
達
(
た
)
した。用を達しながら、今の家の方を見た。往来をウロウロしていた四十
恰好
(
かっこう
)
の貧相な女がさっきの女と、家の側の薄暗いところに立って話をしていた。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
ボートで釣りに出たついでに、用
達
(
た
)
しでもしているのだろう。
肌色の月
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
とうっかり向うを向いて便を
達
(
た
)
そうとする処をシュウと抜討ちに
胴腹
(
どうばら
)
を掛けて斬り、又
咽元
(
のどもと
)
を斬りましたから首が半分落るばかりになったのを
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ちょいちょい用を
達
(
た
)
しに外へ出て行っては、帰って来た。浅井はそのころいろいろのことに手を拡げはじめていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
はツと
唾
(
つば
)
をのみ、
胸
(
むね
)
を
反
(
そら
)
して
退
(
すさ
)
つたが、やがて
思切
(
おもひき
)
つて
用
(
よう
)
を
達
(
た
)
して
出
(
で
)
るまでは、まづ
何事
(
なにごと
)
もなかつた
處
(
ところ
)
。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
達
(
た
)
つて所望いたす、すぐに持参いたすやうに」忠興は前にある小壺の列に、ちらと眼をくれながら
小壺狩
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
時にはまた、用を
達
(
た
)
すための彼が天井裏から床下に降りて行って、下男に見つけられることもある。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
翌日は逢って
達
(
た
)
って
諌
(
いさ
)
めてどうしても京都に
還
(
かえ
)
らせるようにすると言って、芳子はその恋人の
許
(
もと
)
を
訪
(
と
)
うた。その男は停車場前のつるやという
旅館
(
はたごや
)
に
宿
(
とま
)
っているのである。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
己はそれを突き留めて置いて、広小路で用を
達
(
た
)
して、
暫
(
しばら
)
く立ってから伊予紋へ押し掛けて行った。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
暫くして用を
達
(
た
)
しに
行
(
い
)
こうと思って、ヒョイと私が部屋を出ると、
何時
(
いつ
)
来たのか、お糸さんがツイ其処で、着物の裾をクルッと
捲
(
まく
)
った下から、
華美
(
はで
)
な長襦袢だか腰巻だかを出し掛けて
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
しかも今度の縁談は先方から
達
(
た
)
っての
所望
(
しょもう
)
だと云う事、校長自身が進んで
媒酌
(
ばいしゃく
)
の労を
執
(
と
)
る以上、悪評などが立つ
謂
(
い
)
われのないと云う事、そのほか日頃私の希望している東京遊学のごときも
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それはなにかにつけて惣兵衛がお石に用を
達
(
た
)
させるからで、それまではたいてい母のそばにじっとしていたのが、屋敷うちのどこにでも、まめまめと立ちはたらく姿が見られるようになったのだ。
日本婦道記:墨丸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
夜中に林蔵は眼をさまし、用を
達
(
た
)
すため部屋を出た。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
霊岸島川口町
(
れいがんじまかわぐちちょう
)
で
橋本
(
はしもと
)
幸
(
こう
)
三
郎
(
ろう
)
と申して、お
邸
(
やしき
)
へお出入を致して、昔からお大名の
旗下
(
はたもと
)
の御用を
達
(
た
)
したもので、只今でも御用を達す処もござりますが
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この兄は短い上京の日取の間に自分の用事も
達
(
た
)
さなければ成らずと言ったように坐り直して、やがて四方八方を
円
(
まる
)
く治めて行きたいという口調で、更に言葉を継いで
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
迎方
(
むかへかた
)
とは新任の奉行を迎へに江戸に往つて、
町与力
(
まちよりき
)
同心
(
どうしん
)
の総代として
祝詞
(
しゆくし
)
を述べ、引き続いて其奉行の在勤中、
手許
(
てもと
)
の用を
達
(
た
)
す与力一
人
(
にん
)
同心二
人
(
にん
)
で、朝岡は其与力である。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
朝から晩まで家の雑用を
達
(
た
)
してくれている忠実な男がいて、郵便物に注意し、女からのだと見ると、母に気取られぬように、そっと若主人に手渡しすることになっていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
便所
(
かわや
)
があるのだが、夫人が寝たから、大廻りに玄関へ出て、鞠子の
婢
(
おさん
)
の寝た
裙
(
すそ
)
を通って、板戸を開けて、
台所
(
だいどこ
)
の片隅の
扉
(
ひらき
)
から出て、小用を
達
(
た
)
して、手を洗って、
手拭
(
てぬぐい
)
を持つと
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
用を
達
(
た
)
してから出て来て見ると、
手水鉢
(
ちょうずばち
)
に水が無い。
小女
(
ちび
)
は居ないかと
視廻
(
みまわ
)
す向うへお糸さんが、もう
雑巾掛
(
ぞうきんがけ
)
も済んだのか、バケツを提げてやって来たが、ト見ると、直ぐ気が附いて
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
Bは
昨夜
(
ゆうべ
)
もある宴会から
達
(
た
)
つて戻つて来ようとすると
犬
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
私は全く橋本幸三郎と申して少々ばかり御用を
達
(
た
)
す身の上でございまして…この岡村由兵衞と申すものは奉公人てえ訳ではない、日頃宅へ出入りを致すもので
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
杉山は
河内国
(
かはちのくに
)
衣摺村
(
きぬすりむら
)
の庄屋で、何か
仔細
(
しさい
)
があつて
所払
(
ところばらひ
)
になつたものださうである。手近な用を
達
(
た
)
すのは、格之助の若党
大和国
(
やまとのくに
)
曾我村生
(
そがむらうまれ
)
の曾我
岩蔵
(
いはざう
)
、
中間
(
ちゆうげん
)
木八
(
きはち
)
、
吉助
(
きちすけ
)
である。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
或る時I子は
達
(
た
)
してもらひたい用事があるのに、来べき筈の寿美子が、二三日姿を見せないので、少し苛ついてゐた。I子はその時旅館にゐた。G——も多くの時間をそこで過した。
彷徨へる
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
と声をかけると、ちょうどおまんは小用でも
達
(
た
)
しに立って行った時と見えて、日ごろ姑がかわいがっている毛並みの白い
猫
(
ねこ
)
だけが麻の
座蒲団
(
ざぶとん
)
の上に背を
円
(
まる
)
くして、うずくまっていた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
やがて
小用
(
こよう
)
を
達
(
た
)
した様子、雨戸をばたりと開けるのが聞えた、
手水鉢
(
ちょうずばち
)
へ
柄杓
(
ひしゃく
)
の
響
(
ひびき
)
。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さう言つて
達
(
た
)
つて勧めたりして
島の唄
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
渡邊祖五郎は
頻
(
しき
)
りに様子を探りますが、少しも分りません、
夜半
(
よなか
)
に客が
寝静
(
ねしずま
)
ってから廊下で
小用
(
こよう
)
を
達
(
た
)
しながら
唯
(
と
)
見ますと、垣根の向うに
小家
(
こや
)
が一軒ありました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
幼君
(
えうくん
)
「さて
何
(
なん
)
にても
食
(
しよく
)
を
好
(
この
)
むべし、いふがまゝに
與
(
あた
)
ふべきぞ、
退屈
(
たいくつ
)
ならば
其中
(
そのなか
)
にて
謠
(
うたひ
)
も
舞
(
まひ
)
も
勝手
(
かつて
)
たるべし。たゞ
兩便
(
りやうべん
)
の
用
(
よう
)
を
達
(
た
)
す
外
(
ほか
)
は
外
(
そと
)
に
出
(
い
)
づることを
許
(
ゆる
)
さず」と
言棄
(
いひす
)
てて
座
(
ざ
)
を
立
(
た
)
ち
給
(
たま
)
ひぬ。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そこへ浅井も、一日会社や自分の用を
達
(
た
)
しに歩いていたその足で、寄って来た。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
“達”の解説
達(「たっし」または「たつ」)とは、江戸時代に上位の役所・役人から下位の役所・役人、その他管下の者に対して出される指示・命令のこと。御達(おたっし)・達物(たっしもの)・御沙汰(おさた)などの別名がある。
転じて、明治政府初期に行政立法としての令達名として用いられ、陸海軍においてはそれ以後も軍政 (行政)の令達名として用いられている文書の名称である。
(出典:Wikipedia)
達
常用漢字
小4
部首:⾡
12画
“達”を含む語句
先達
汝達
御達
私達
調達
達者
前達
手前達
用達
友達
伊達者
曹達
己達
曹達水
人達
上達部
暢達
俺達
上達
悉達多
...