髪切虫かみきりむし
桐の青葉が蝙蝠色に重なり合って、その中の一枚か二枚かが時折り、あるかないかの夕風にヒラリヒラリと踊っている。 うるんだ宵星の二つ三つが、大きく大きくその上にまばたき初めると、遠く近くの魂がヒッソリと静まり返って、世界中が何となく生あたたかい …