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低
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た
ふりがな文庫
“
低
(
た
)” の例文
と正面よりお顔を
凝視
(
みつ
)
めて、
我良苦多
(
がらくた
)
の
棚下
(
たなおろし
)
。貴婦人は恥じ且つ憤りて、
頭
(
こうべ
)
を
低
(
た
)
れて無念がれば、鼻の先へ指を出して、不作法千万。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
而して咬まれる。悲鳴をあげる。二三疋の聯合軍に囲まれてべそをかいて歯を
剥
(
む
)
き出す。己れより小さな犬にすら尾を
低
(
た
)
れて恐れ入る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
けれどもやがて何かに心付いた事でもあるのか、ホッと深いため息を
吐
(
つ
)
いて、
頭
(
かしら
)
を
低
(
た
)
れて両方の拳を固く握り締めて申しました——
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
『あゝ、月がある!』然う言つて私は空を見上げたが、後藤君は黙つて首を
低
(
た
)
れて歩いた。痛むのだらう。吹くともない風に肌が
緊
(
しま
)
つた。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
あなやと驚く
隙
(
ひま
)
もあらせず、
赫然
(
かくぜん
)
たる電光は身邊を
繞
(
めぐ
)
り、次いで雷聲大に震ひ、我等二人をして覺えず首を
低
(
た
)
れて、十字を空に畫かしめつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
鳴く虫は音をしのび、荒い獣も
首
(
こうべ
)
を
低
(
た
)
れて、茂太郎の傍へと慕い寄る……
真紅島田
(
しんくしまだ
)
の十八娘、茂太郎のために願かけて、可愛の可愛のこの美竹
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そんな時には
常蒼
(
つねあお
)
い顔に
紅
(
くれない
)
が
潮
(
ちょう
)
して来て、別人のように能弁になる。それが過ぎると反動が来て、
沈鬱
(
ちんうつ
)
になって頭を
低
(
た
)
れ手を
拱
(
こまね
)
いて黙っている。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼はそこで山々の前に、思わず深い息をつくと、
悄然
(
しょうぜん
)
と頭を
低
(
た
)
れながら、洞穴の前に懸っている
藤蔓
(
ふじづる
)
の橋を渡ろうとした。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一二一
鬼畜
(
きちく
)
のくらき
眼
(
まなこ
)
をもて、
一二二
活仏
(
くわつぶつ
)
の
一二三
来迎
(
らいがう
)
を見んとするとも、
一二四
見ゆべからぬ
理
(
ことわり
)
なるかな。あなたふとと、
頭
(
かうべ
)
を
低
(
た
)
れて
黙
(
もだ
)
しける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
郎女は尊さに、目の
低
(
た
)
れて来る思ひがした。だが、此時を過ぐしてはと思ふ一心で、その御姿から目を外さなかつた。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
猿は途方に暮た様子で頭を
低
(
た
)
れて視線を船の甲板の上に落してゐて、艦長の顔を一目も仰ぎ見る事が出来なかつた。
猿
(新字旧仮名)
/
ジュール・クラルテ
(著)
見れば男は露一厘身動きなさず無言にて思案の
頭
(
こうべ
)
重く
低
(
た
)
れ、ぽろりぽろりと膝の上に散らす
涙珠
(
なみだ
)
の
零
(
お
)
ちて声あり。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼の病は
未
(
いま
)
だ快からぬにや、
薄仮粧
(
うすげしやう
)
したる顔色も散りたる
葩
(
はなびら
)
のやうに衰へて、足の
運
(
はこび
)
も
怠
(
たゆ
)
げに、
動
(
とも
)
すれば
頭
(
かしら
)
の
低
(
た
)
るるを、
思出
(
おもひいだ
)
しては努めて梢を
眺
(
なが
)
むるなりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
我は彼の語れる間、いたく
異
(
あや
)
しみて
頭
(
かうべ
)
を
低
(
た
)
れしも、語るの願ひに燃されて、後再び心を強うし 八八—九〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
商人はかう云つて再びセルギウスの前に跪いて皿のやうに重ねた両手の上に頭を
低
(
た
)
れて、動かずにゐる。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
猫属の輩は羞恥という念に富んでいるもので、虎や豹が獣を搏ち損う時は大いに恥じた風で
周章
(
あわて
)
て首を
低
(
た
)
れて這い廻り逃げ去るは実際を見た者のしばしば述べたところだ。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「おや、そう、ちっとも知らなかったわ。それじゃ御忙い訳ね。そうですか。そうとも知らずに、飛んだ失礼を申しまして」と
嘯
(
うそぶ
)
きながら頭を
低
(
た
)
れた。緑の髪がまた動く。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いかなる自由の意志を有する動物も、必要の前には必ずその首を
低
(
た
)
れざるべからず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
相手に
為
(
す
)
るものが無いので、
少時
(
しばし
)
頭を
低
(
た
)
れて黙つて居たが、ふと思出したやうに
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
かくて
半晌
(
はんとき
)
も過ぎると、
何
(
いず
)
れも漸く
飽
(
あき
)
が来て、思わず頭を
低
(
た
)
れると、あたかもその途端に石がバラリと落ちるという工合で、どうしても上に物あって下の挙動を窺っているとよりは見えぬ。
池袋の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
顔を
赧
(
あか
)
らめ、しばらく孔子の前に
突立
(
つった
)
ったまま何か考えている様子だったが、急に雞と豚とを
抛
(
ほう
)
り出し、頭を
低
(
た
)
れて、「
謹
(
つつ
)
しんで教を受けん。」と降参した。単に言葉に窮したためではない。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
斯う言つて、恰も小供の羞かむだ時のように、首を
低
(
た
)
れて笑はれた。
大野人
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
逆茂木
(
さかもぎ
)
がしつらえてあるので、頭を
低
(
た
)
れて、入ろうとしたが、入れそうもないので、恨めしそうに佇んで、ジッと見詰めている、私たちは逆茂木と牛の間に割り込んで、身を平ったく、崖につけて
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
野曠天低樹 野曠うして
天
(
そら
)
樹に
低
(
た
)
れ
閑人詩話
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
眉を
低
(
た
)
れ、手にまかせて 続々と
弾
(
ひ
)
き
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
欣弥は頷きたりし
頭
(
かしら
)
をそのまま
低
(
た
)
れて、見るべき物もあらぬ橋の上に
瞳
(
ひとみ
)
を凝らしつつ、その胸中は二途の分別を追うに忙しかりき。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あなたは
衷心
(
ちゅうしん
)
に確にソレを知ってお出です。夫人、あなたは其深い深い愛の
下
(
もと
)
に頭を
低
(
た
)
れて下さることは出来ないのでしょう乎。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その氣高かりし海の
女
(
むすめ
)
の今は頭を
低
(
た
)
れたるぞ哀なる。われ。フランツ帝の下にありて幸ありとはいふべからざるか。ポツジヨ。われは政治を解せず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
郎女は尊さに、目の
低
(
た
)
れて来る思いがした。だが、此時を過してはと思う一心で、
御姿
(
みすがた
)
から、目をそらさなかった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
藤田は
股栗
(
こりつ
)
した。一身の恥辱、家族の悲歎が、
頭
(
こうべ
)
を
低
(
た
)
れている青年の想像に浮かんで、目には涙が
涌
(
わ
)
いて来た。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
其勇ましい
唸
(
うめ
)
きの声が、真上の空を
劈
(
つん
)
ざいて、落ちて
四周
(
あたり
)
の山を動し、反ツて数知れぬ人の
頭
(
こうべ
)
を
低
(
た
)
れさせて、響の
濤
(
なみ
)
の
澎湃
(
はうはい
)
と、東に溢れ西に漲り、
甍
(
いらか
)
を圧し
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
是君を先にし、臣を後にするなり。汝
速
(
はや
)
く
他
(
ひと
)
の国に去りて害を
免
(
のが
)
るべしといへり。此の事、
一三五
士
(
し
)
と宗右衛門に
比
(
たぐ
)
へてはいかに。丹治只
頭
(
かしら
)
を
低
(
た
)
れて
言
(
ことば
)
なし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
夫
尺蠖
(
せきくわく
)
は伸びて而も
還
(
また
)
屈
(
かゞ
)
み、車輪は仰いで而も亦
低
(
た
)
る、射る弓の力窮まり尽くれば、飛ぶ矢の勢変り
易
(
かは
)
りて、空向ける鏃も地に立つに至らんとす、此故に欲界の六天
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼は
頭
(
かしら
)
を
低
(
た
)
れて足の向ふままに
汀
(
みぎは
)
の
方
(
かた
)
へ進行きしが、泣く泣く
歩来
(
あゆみきた
)
れる宮と互に知らで行合ひたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
頭
(
こうべ
)
を
低
(
た
)
れて床のリノリウムを
凝視
(
みつめ
)
たまま、何回も何回もふるえた溜め息をして、舌一面に燃え上る強烈なウイスキーの
芳香
(
におい
)
を吹き散らし吹き散らししていたのであった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『瑣語』に周王太子宜臼を虎に
啗
(
くら
)
わさんとした時太子虎を叱ると耳を
低
(
た
)
れて服したといい
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「ふうん」と云って高柳君は首を
低
(
た
)
れた。文学は自己の本領である。自己の本領について、他人が答弁さえ出来ぬほどの説を
吐
(
は
)
くならばその本領はあまり
鞏固
(
きょうこ
)
なものではない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
外の闇夜へ揺ぎ
出
(
いだ
)
いたに、如何なこと、河のほとりには、年の頃もまだ十には足るまじい、みめ清らかな
白衣
(
びやくえ
)
のわらんべが、空をつんざいて飛ぶ稲妻の中に、頭を
低
(
た
)
れて唯ひとり
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
能登守が
低
(
た
)
れた首を上げて、その人の足音を気にすると
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
野曠天低樹 野曠うして
天
(
そら
)
樹に
低
(
た
)
れ
閑人詩話
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
(
貴僧
(
あなた
)
はほんとうにお優しい。)といって、
得
(
え
)
も
謂
(
い
)
われぬ色を目に
湛
(
たた
)
えて、じっと見た。
私
(
わし
)
も
首
(
こうべ
)
を
低
(
た
)
れた、むこうでも
差俯向
(
さしうつむ
)
く。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こゝに技倆すぐれたる俳優あり。その所作、その唱歌は萬客の心を奪へり。歌ひてこゝに至りたるとき、姫は頭を
低
(
た
)
れたり。そは我上とおもへばなるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「さにてもなし、」とまだいわけなくもいやしむいろえ包までいふに、皆をかしさに
堪
(
た
)
へねば、あかめし顔を
汁
(
ソップ
)
盛れる皿の上に
低
(
た
)
れぬれど、黒き
衣
(
きぬ
)
の姫は
睫
(
まつげ
)
だに
動
(
うごか
)
さざりき。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
蛇もまた人祖堕落の時まで
駱駝
(
らくだ
)
ごとき四脚を具え、人を
除
(
の
)
けてはエデン境内最も美しい物じゃったが、禁果を
偸
(
ぬす
)
み食った神罰たちまち至って、楽土諸樹木の四の枝が
低
(
た
)
れ下り
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
舌よりも真実を語る涙をば溢らす眼に、返辞せぬ夫の方を気遣ひて、見れば男は露一厘身動きなさず無言にて思案の頭重く
低
(
た
)
れ、ぽろり/\と膝の上に散らす
涙珠
(
なみだ
)
の
零
(
お
)
ちて声あり。
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
死人のような青い顔をして、私の寝台の前に突立った彼は、私の顔を
真正面
(
まとも
)
に見得ないらしく、ガックリと頭を
低
(
た
)
れた。間もなく長い房々した
髪毛
(
かみのけ
)
の蔭からポタポタと涙を
滴
(
た
)
らし初めた。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
対岸には
接骨木
(
にわとこ
)
めいた
樹
(
き
)
がすがれかかった黄葉を
低
(
た
)
れて力なさそうに水にうつむいた。それをめぐって黄ばんだ
葭
(
よし
)
がかなしそうに
戦
(
おのの
)
いて、その間からさびしい高原のけしきがながめられる。
日光小品
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
唯
(
と
)
見れば、直道は手を
拱
(
こまぬ
)
き、
頭
(
かしら
)
を
低
(
た
)
れて、在りけるままに凝然と坐したり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
印度衰亡史は云はずもの事、まだ一册の著述さへなく、茨城縣の片田舍で月給四十圓の歴史科中等教員たる不甲斐なきギボンは、此時、此歴史的一大巨人の前におのづから
頭
(
かうべ
)
の
低
(
た
)
るるを覺えた。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
頭を
低
(
た
)
れて故郷を思う
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
低
常用漢字
小4
部首:⼈
7画
“低”を含む語句
低声
低頭
低聲
高低
低音
最低
低唱
低徊
低地
次低音
中低
頸低
低語
低空
背低
低湿
最低音
低気圧
低書
低山
...