“燃(た)” の例文
だって、あのガランとしたところ火であっためるのだって、いつかみたいに大きな薪をぶちこんで燃(た)くことは今出来ないのですもの。
冬の間に燃(た)き捨てた石炭殻の堆のほかには、靴のふみ立て場もないほどにクロヴァーが茂って、花が咲きほこっていた。
フランセスの顔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
『さあ、お前達は、私がお前達の為めにストオヴを燃(た)いたのだと思ふかい?』と叔父さんは子供達に云ひました。
『三隈』は二千五百噸の重油を燃(た)いて、七万五千浬走る力を持っている。一万噸の重油があったら、世界の七つの海を、片っぱしから征服することは何でもない。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
「どうぞ此方(こちら)へ」と案内した、導かれて二階へ上ると、煖炉(ストーブ)を熾(さかん)に燃(た)いていたので、ムッとする程温(あった)かい。煖炉(ストーブ)の前には三人、他の三人は少し離れて椅子に寄っている。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「そうか。このまま、どんどん火でもブッ燃(た)いて、函館さ帰ったらどうだ。面白いど」
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
『体もろくにきかん癖にかう火を燃(た)いて、あぶなくつて仕様がない、』
火つけ彦七 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
雄大な外洋に向って野島ケ崎の燈台が高く立っている下の浜辺にところどころ燃(た)き火をして、あがって来た海女のひとたちのひとむれが体を温めたりしていた。
漁村の婦人の生活 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
家に帰るや、炉に火を盛に燃(た)きてそのわきに紀州を坐らせ、戸棚より膳(ぜん)取り出だして自身(おのれ)は食らわず紀州にのみたべさす。紀州は翁のいうがままに翁のものまで食いつくしぬ。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「冗談じゃねえど。今火たいていねえ時で、こんだんだど。燃(た)いてる時なんて!」
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
そして、反抗や焦燥や、すべてほんとの心の足並みを阻害する瘴気(しょうき)の燃(た)き浄められた平静と謙譲とのうちに、とり遺された大切な問題が、考えられ始めたのである。
地は饒なり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
山とつまれている未解決の社会問題を燃(た)きつけにして怪火を出して、一般の人々が判断を迷わされているすきに、だから武装警察力を増大しなければならない、これだから
又どっかで水道パイプが破裂したのかと思って燃(た)き口へ来て見たら、どうでしょう、いい焔を上げていたカマの口から、地獄の洪水みたいに黒い水がザアザア流れ出して居ります。
では、と、一寸くらべて見たい本も出来ますが、ここには何もないし、私の頭の中に本棚、特に年表部は整備されていないから、いろいろ考えながらふろを燃(た)き、一寸座敷へ上ってこれを書き。
千世子はこの一月ほど燃(た)かない「すとーぶ」のがらんとした口を見た。
千世子(三) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
霧の濃いなかで燃(た)き火の火がボーと大きく見える夜もあります。「うるはしみすれ」というようないい表現を日本人ももっていたのだとおどろきます、心と感覚とが全く一つに発露して居ります。
ダーリヤは自分独りの時は石油ストウブを燃(た)かないことにしていた。それ故室内は暖かではない。然し、決して居心地悪い場所とは云えなかった。窓には白地に花模様の金巾(カナキン)のカーテンが懸っていた。
街 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
もろくて、燃(た)きつけ以外ではないのですもの。
今朝はストーブを燃(た)かず。