トップ
>
閉
>
た
ふりがな文庫
“
閉
(
た
)” の例文
「貸家ですか。そこはJさんが雇い婆さんに一週間一ポンドずつやって、窓の
開
(
あ
)
け
閉
(
た
)
てをさせていたんですがね。もういけませんよ」
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
「
其
(
その
)
代
(
かは
)
り
小六
(
ころく
)
さん、
憚
(
はゞか
)
り
樣
(
さま
)
。
座敷
(
ざしき
)
の
戸
(
と
)
を
閉
(
た
)
てて、
洋燈
(
ランプ
)
を
點
(
つ
)
けて
頂戴
(
ちやうだい
)
。
今
(
いま
)
私
(
わたし
)
も
清
(
きよ
)
も
手
(
て
)
が
放
(
はな
)
せない
所
(
ところ
)
だから」と
依頼
(
たの
)
んだ。
小六
(
ころく
)
は
簡單
(
かんたん
)
に
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
義雄はわざとがたびしと玄關の土間にある下駄箱の蓋を明け
閉
(
た
)
て、自分の兩
削
(
ぐ
)
り下駄を出して足に突ツかけ、逃げ出すやうに家を出た。
泡鳴五部作:01 発展
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
只
一四二
烈婦
(
さかしめ
)
のみ
主
(
ぬし
)
が秋を
約
(
ちか
)
ひ給ふを守りて、家を出で給はず。翁も又
一四三
足
(
あし
)
蹇
(
なへ
)
ぎて百
歩
(
ほ
)
を
難
(
かた
)
しとすれば、深く
閉
(
た
)
てこもりて出でず。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
あたりを活気づけるようなものは何ひとつ見あたらず——扉が
開
(
あ
)
け
閉
(
た
)
てされるでもなければ、何処からひとり出て来る人影もなく
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
▼ もっと見る
「はっ……」すすんで
後
(
あと
)
を
閉
(
た
)
て切ると、上人のまわりをつつんでいる暖かな部屋の空気が、やがて、四郎の
凍
(
こご
)
えている心をもつつんだ。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「だいぶ前から金具が
錆
(
さ
)
びていて、
開
(
あ
)
け
閉
(
た
)
てに歯の浮くような音を立てましたが、二三日こっち不思議にそんな音が聞えなくなりました」
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
又
(
また
)
そつと
戸
(
と
)
を
閉
(
た
)
てゝ
出
(
で
)
る
時
(
とき
)
頸筋
(
くびすぢ
)
の
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
をこそつぱい
手
(
て
)
で
一攫
(
ひとつか
)
みにされるやうに
感
(
かん
)
じた。おつぎは
外
(
そと
)
の
壁際
(
かべぎは
)
の
草刈籠
(
くさかりかご
)
を
脊負
(
せお
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
如何
(
いか
)
なる罪やあらげなく
閉
(
た
)
てらるる扉に
袂
(
たもと
)
を
介
(
はさ
)
まれて、もしもしと
救
(
すくひ
)
を呼ぶなど、
未
(
いま
)
だ都を離れざるにはや旅の
哀
(
あはれ
)
を見るべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「世間の口に戸は
閉
(
た
)
てられねえ。
粗相
(
そそう
)
で死んだのか、身を投げたのか、自然に人が知っているのさ。高巌寺でもそんなことを云っていたっけ」
半七捕物帳:24 小女郎狐
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
閉
(
た
)
て切つた障子に秋の陽が明るくあたつてゐる午後三時過ぎ、
懶
(
ものう
)
さうな蟋蟀の歌に混つて、ふとこんな声を私は聴きつけた。
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
いつも部屋の中でも帽子を取ることをしない小さな森村が、眉と眉との間をびくびく動かしながら、乾ききった唇を大事そうに開け
閉
(
た
)
てした。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
『
屹度
(
きつと
)
間
(
ま
)
もなくお
直
(
なほ
)
りでせう。』と、ニキタは
復
(
また
)
云
(
い
)
ふてアンドレイ、エヒミチの
脱捨
(
ぬぎすて
)
た
服
(
ふく
)
を
一纏
(
ひとまと
)
めにして、
小腋
(
こわき
)
に
抱
(
かか
)
へた
儘
(
まゝ
)
、
戸
(
と
)
を
閉
(
た
)
てゝ
行
(
ゆ
)
く。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
杉戸
(
すぎど
)
を
閉
(
た
)
てゝ店へ往って寝てしまいましたが翌日になって見ると、まさか死ぬにも死なれず、
矢張
(
やっぱり
)
顔を見合せて居ります。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
渠は成るべく音のしない樣に、入口の硝子戸を
開
(
あ
)
けて、
閉
(
た
)
てて、下駄を脱いで、上框の障子をも開けて閉てた。
此室
(
こゝ
)
は長火鉢の置いてある六疊間。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
こうした家の、裏口を、あけ
閉
(
た
)
てすることなんぞは、お初に取っては、苦でもない。まるで風が隙を潜るようなものだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
殊に秋の末から冬にかけては、よくよく穏やかな日和でないと、北風をおそれて硝子障子さえもぴたりと
閉
(
た
)
てきった。
窓
(新字新仮名)
/
鷹野つぎ
(著)
障子
(
しょうじ
)
の
開
(
あ
)
け
閉
(
た
)
てにその娘が欄干に
凭
(
もた
)
れて中庭越しにこっちの部屋を伏目で眺めて居る姿が無意識の眼に映るけれども
健康三題
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彦は何かぶつぶつ口の中で呟きながら表の板戸を
閉
(
た
)
てようとしていた時、その彦兵衛の足を
掬
(
すく
)
わん許りに
突然
(
いきなり
)
一匹の大きな四つ足が飛び込んで来た。
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
とにかく、老爺は突然目にも耳にも口にも、或いは心に迄、厚い
鎧戸
(
よろいど
)
を
閉
(
た
)
てて
了
(
しま
)
った。彼は今や古い
石の神像
(
クリツツム
)
だ。
南島譚:03 雞
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ズルズルと引っ張り込み、門の戸ピッシャリ
閉
(
た
)
ててしまうと、気絶している織江の躯を、女は奥へ抱いて行った。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼はこうして洋傘を
開
(
あ
)
け
閉
(
た
)
てしながらも、今熊が飛びかかるか、今飛びかかるかと冷々して、静かに近づいて行ったのです。やがて五間も進み寄りました。
熊
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
部屋のしきりを
閉
(
た
)
て切って刺青の道具を手にした清吉は、暫くは唯
恍惚
(
うっとり
)
としてすわって居るばかりであった。彼は今始めて女の
妙相
(
みょうそう
)
をしみ/″\味わう事が出来た。
刺青
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
やがて輕い跫音が階段をのぼり、廊下を行く
微
(
かす
)
かな
跫音
(
あしおと
)
、つゝましやかな樂しげな笑ひ、
扉
(
ドア
)
の
開
(
あ
)
け
閉
(
た
)
てなどが聞えてゐたが、しばらくすると、しんとしてしまつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
これまでこうして戸を
閉
(
た
)
てて古本を仕入れに出かけるのは折々のことで、最近は娘さんが帰って居て、こういうことはなかったが、娘さんがまた何処かへ行ったので
好色破邪顕正
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
襖の
明
(
あ
)
け
閉
(
た
)
てや前かゞまりの歩きつきが、斜に照らされるランプの光でいかにも物靜におとなしやかに服從と云ふ事より外には何にも知らない人形のやうに思はれた。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
宮崎運転士のいったように、賄部屋の後側になるしきりには、
開
(
あ
)
け
閉
(
た
)
ての出来るようになった
扉
(
ドア
)
が一枚はまっていた。
把手
(
とって
)
のない鍵穴のついていることが直ぐわかった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
清三は夕日のさし込んで来る座敷の
一隅
(
かたすみ
)
で、
誂
(
あつら
)
えの来る間を、大きな男が大釜の
蓋
(
ふた
)
を取ったり
閉
(
た
)
てたりするのを見ていた。釜の蓋を取ると、湯気が白くぱッとあがった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
深い木立ち際から舞い込んで来た虫が、薄暗いランプの笠に淋しい音を立てて
周
(
まわ
)
りを飛んでいた。お庄は帯を締めると、障子を
閉
(
た
)
てきって、暗い廊下の方へ出て行った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
襖
(
ふすま
)
やガラス障子でくぎられてゐるので——もちろん、これらは釘で打ちつけられてあけ
閉
(
た
)
てできぬやうにはしてあるが、お互ひの生活は半ば丸出しと云つてよいのである。
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
奥の部屋からは、あけさしの戸口をくぐって、煙草の煙が波のように流れてくるので、しきりに
咳
(
せき
)
が出るにもかかわらず、彼女は戸をぴっしゃり
閉
(
た
)
てようともしなかった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
さて残りたる米を粥に作りて何の
味
(
あじは
)
ひも無く腹を満たし、梅干、塩、味噌なぞを嘗めながら、日もすがら為す事も無く方丈に
閉
(
た
)
て籠もり、前の和尚の使ひ残したる罫紙を綴ぢ
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
門前払い同様にしたといわれ、ずっと前の家では
格子戸
(
こうしど
)
を
閉
(
た
)
てきり、水をぶっかけようとしたこともあるという。それは何かしら心の安定を失っていたときと見た方がよかろう。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
幾度も門を
開
(
あ
)
け
閉
(
た
)
てする音がしたあとで、門の中はひっそりとしてそよとの声もない。
白光
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
がたがただけれども、南瓜の蔓が
開
(
あ
)
け
閉
(
た
)
てする、その木戸が一つ附いていて、前長屋総体と区切があるから、およそ一百坪に余るのが、おのずから、糸七の背戸のようになっている。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
開
(
あ
)
け
閉
(
た
)
ての引手を撫でたりして見たが、これまで獨で出這入りした事がないのだから、探り/\、外の廊下まで出て見る事も、一つの變化を與へるやうな氣がして、そのまゝ外へ出て
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
ガラガラ……バタンバタン……暫く
扉
(
ドア
)
を開け
閉
(
た
)
てする音が聞えていたが、やがて悲しげな
顫
(
ふる
)
える声が「……せ、せんせいィ……大変だァ……」と四号室から一号室へ、続く廊下を押切って
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
閉
(
た
)
て切った雨戸の外側に筆太く「馬鹿」と書いてあるのをながめて居た。
二十三番地
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
目の前はやっぱりお庭先の植込らしく、木の枝に視線は
遮
(
さえぎ
)
られるが、それでも廻縁になった廊下が長くつづいて、
閉
(
た
)
てきった
障子
(
しょうじ
)
にあかあかと夕日の射しているさまが、手に取るように
窺
(
うかが
)
われた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
今周蔵のいる家は、全く変っていて前には、格子戸が
閉
(
た
)
っていた。
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
雨戸はいつも大かた
閉
(
た
)
てきりで、この東南の一隅だけが、側の高窓の障子で、わずかに明るい。四尺に二尺ほどの
画布
(
カンヷス
)
をのせた画架を、窓へ斜めに。後ろは浅い床の板壁に、ひげ題目の古びた掛け軸。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
誰が覗いていたのか、障子をぴしゃりと外から
閉
(
た
)
てた者がある。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
『早やう
閉
(
た
)
てゝお出でなはれ!』と継母は命ずる。
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
主任が
閉
(
た
)
てきるような調子でいった。
肌色の月
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
一人
(
ひとり
)
で
坐
(
すは
)
つて居ると、
何処
(
どこ
)
となく
肌寒
(
はださむ
)
の感じがする。不図気が付いたら、机の前の窓がまだ
閉
(
た
)
てずにあつた。障子を
明
(
あ
)
けると月夜だ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
戸は
閉
(
た
)
てられてあるが、窓は風を呼ぶためにあいていた。宵月のほの明りが揺れてくる。——と、眠りかけたかと思われる頃
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
正月は大師さまへのお参りは有りませんから客を致しませんので、表はピタリ障子が
閉
(
た
)
って居りまする、処へ小僧が参り
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
渠は成るべく音のしない様に、入口の硝子戸を開けて、
閉
(
た
)
てて、下駄を脱いで、
上框
(
あがりがまち
)
の障子をも開けて閉てた。
此室
(
ここ
)
は長火鉢の置いてある六畳間。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
唯
(
と
)
見る間に
出行
(
いでゆ
)
く貫一、
咄嗟
(
あなや
)
、
紙門
(
ふすま
)
は鉄壁よりも堅く
閉
(
た
)
てられたり。宮はその心に
張充
(
はりつ
)
めし望を失ひてはたと
領伏
(
ひれふ
)
しぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
閉
(
た
)
てきつた
鎧戸
(
よろひど
)
に鳥打帽の頭を当てがつて、こくり/\
居睡
(
ゐねむ
)
りをしてゐたが、電車が
大物
(
だいもつ
)
を出た頃に、ひよいと頭を持ち直して、ぱつちり眼を
開
(
あ
)
けた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“閉”の意味
《名詞》
(とず) 暦注の十二直の一つ。堤を築くことなどに吉、柱立て、婚姻、鍼灸などに凶という日。
(出典:Wiktionary)
閉
常用漢字
小6
部首:⾨
11画
“閉”を含む語句
閉塞
閉籠
幽閉
閉口
開閉
閉場
閉切
戸閉
閉込
閉鎖
開閉器
密閉
閉出
閉伊川
閉店
上閉伊郡
密閉室
大閉口
閉扉
本開閉器
...