)” の例文
新字:
油煙ゆえんがぼうつとあがるカンテラのひかりがさういふすべてをすゞしくせてる。ことつた西瓜すゐくわあかきれちひさなみせだい一のかざりである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
結構けつこうらしい、ことばかりおもひます、左樣さういふことおもふにつけて現在げんざいありさまがいやいやで、うかして此中このなかをのがれたい、此絆このきづなちたい
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
みち兩側りやうがはしばらくのあひだ、人家じんかえてはつゞいたが、いづれも寢靜ねしづまつて、しらけた藁屋わらやなかに、何家どこ何家どこひと氣勢けはひがせぬ。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つぎ著意ちやくいしてみちもとめるひとがある。專念せんねんみちもとめて、萬事ばんじなげうつこともあれば、日々ひゞつとめおこたらずに、えずみちこゝろざしてゐることもある。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
到底とても其の望は無いから、自分は淋しいやうなこわいやうな妙な心地で、えずびくつきながら、悄々しほ/\とおうちの方へ足を向けた。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ロミオ ちがはぬが、狂人きちがひよりもつら境界きゃうがい……牢獄らうごく鎖込とぢこめられ、しょくたれ、むちうたれ、苛責かしゃくせられ……(下人の近づいたのを見て)や、機嫌きげんよう。
「私にかまはず、其綱をつておしまひよ。私ア磔柱の上から、福屋の屋根にペンペン草の生えるのを見てやりたい」
ベアトリーチェはかくこのカントをうたひいで、言葉をたざる人のごとく、聖なる教へを續けていふ。 一六—一八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
午迄ひるまでこんな姑息こそく手段しゆだんえずひたひやしてたが、一向いつかうはか/″\しいげんもないので、御米およね小六ころくのために、わざ/\きて、一所いつしよ食事しよくじをする根氣こんきもなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その仇浪あだなみ立騷たちさわほとり海鳥かいてう二三ゆめいて、うたゝ旅客たびゞとはらわたつばかり、日出雄少年ひでをせうねん無邪氣むじやきである
私の心のち切りながら、あなたは、私の惡い根性こんじやう根絶ねだやしするとばかり思つていらつしやる。
龐涓はうけんおのれまさるをおそれてこれ(一六)ねたみ、すなは法刑はふけいもつ其兩足そのりやうそくちてこれ(一七)げいし、(一八)かくれて・からんことをほつす。せい使者ししや(一九)りやうく。
渠はもツと早くかの女をつ筈であつたのだとくやんだ。
はしちてつゝおしならべ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
ち切れぬ命の一筋に
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
春光臺はらわたちし若人を
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
獵箭さつや弓弦ゆづるつがごと
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
わたしはもう今宵こよひかぎりうしてもかへこといたしませぬとて、つてもてぬ可憐かわゆさに、奇麗きれいへどもことばはふるへぬ。
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そしてえず其の考に小突こづかかれるのであるから、神經は次第にひよわとなツて、ほゝの肉はける、顏の色は蒼白あをじろくなる
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
父樣おとつさんいおかたで、それきりあとえるやうなわること爲置しおかれたかたではありませんから、わたくしどもは甚麽どんなあぶなこは出會であひましても、安心あんしんでございます。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「今度は繪圖面が紛失ふんしつして、お家の安危にかゝはるから、つて御出府を願ひたいと仰しやればいいんで——」
彼方かなた、即ち諸〻の半圓の、空處にたるゝところには、降り給へるクリストに目をむけし者坐す 二五—二七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
小麥粉こむぎこすこしほれたみづねて、それをたまにして、むしろあひだれてあしんで、ぼういてはうすばして、さらいくつかにたゝんでそく/\と庖丁はうちやうつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あたま徃來わうらいとほるものは、無限むげん無數むすう無盡藏むじんざうで、けつして宗助そうすけ命令めいれいによつて、まることやすこともなかつた。らうとおもへばおもほど滾々こん/\としていてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
私は書齋にゐるのだつた——彼の椅子に掛けて——彼は私に近々とゐた。「もし私が今、餘りにするどい悲痛もなく、生命をつことが出來るのだつたら、私は嬉しいだらう、」
嗚呼あゝこの堂々たる手のうちに、金は無いか、銀將無きかとうれたがり、今にして、らずば、末を奈何いかに懸念貌けねんがほ、仔細らしく意味取りちがへて濫用する圍棋ことばの粘、塗、抑、約いと五月蠅うるさしと。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
つゞきつゝえつゝかな
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
この者二の翼を、中央なかの一と左右の三のすぢの間に伸べたれば、その一をもたずそこなはず 一〇九—一一一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
二人ふたりあひだにはあきらめとか、忍耐にんたいとかふものがえずうごいてゐたが、未來みらいとか希望きばうふものゝかげほとんどさないやうえた。彼等かれらあまおほ過去くわこかたらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たかなみだかほうらめしげに、おなさけなしまだ其樣そんなこと自由まゝにならば此胸このむねなかつて御覽ごらんれたし。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そして寢床ねどこに入ツても、誰かと話してゐるうちにも、また散歩さんぽしてゐる時、色を此うして出さうとか、人物の表情は此うとか、えず其の製作にいてのみ考えてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
らはあ、しばらくやんねえから、煙草たばこ身體からだ工合ぐえゝりいからつたんだからなんだが、さけぜねかせげねえし、ちつとでもめばまたみたくなつからめつちやつたな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もうわたしところだつたの。またわらふでせうけれども、七日なぬかばかりなんにもしほのものはいたゞかないんですもの、うやつておかゝりたいとおもつて、煙草たばこつてたんですよ。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
二つの感情のもつれも切り拔け、或ひはち切つて——人間の弱さとの最後の戰ひです、それを征服することは分つてゐます、征服すると誓つたのですから——そして僕は東洋へ向けて
義憤ただしきいかりの爲に汝等を殺し汝等の樂しき生活をち、かくして汝等の嘆を生み出せる家は 一三六—一三八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そしてえず其の考に小突こづかかれるのであるから、神經は次第にひよわとなツて、ほゝの肉はける、顏の色は蒼白あをじろくなる、誰が見てもカラ元氣のない不活發ふくわつぱつな青年となツて[#
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
しかも、先方さきは、義理ぎり首尾しゆびで、差當さしあたつてはわるところを、お前樣まへさま突詰つきつめて、つて、かきへいも、押倒おしたふ突破つきやぶる、……ちからで、むね掻毮かきむしるやうにあせるから、をなごせまつて
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つゆといへばほろりとせしもの、はかないのうへなしなり、おもへばをとこ結髮いひなづけつまある、いやとてもおうとても浮世うきよ義理ぎりをおもひつほどのこと此人このひと此身このみにしてかなふべしや
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いまはとおもちて四ぐわつのはじめつかた浮世うきよはなはるあめふる別居べつきよむねをいひわたしぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
西國船さいこくぶね難船なんせんにおいらが叔父的をぢき彌次郎兵衞やじろべゑ生命懸いのちがけ心願しんぐわん象頭山ざうづざんさけつたを、咽喉のどもとぎた胴忘どうわすれ、丸龜まるがめ旅籠はたご大物屋だいもつやくとや、茶袋ちやぶくろ土瓶どびん煮附につけ、とつぱこのおしる
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひとりの女夢にわが許に來れり、口どもり目すがみ足まがり手たれ色蒼し 七—九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ことなく高砂たかさごをうたひおさむれば、すなはあたらしき一つい夫婦めをと出來できあがりて、やがてはちゝともはるべきなり、諸縁しよゑんこれよりかれてちがたきほだし次第しだいにふゆれば、一にん野澤桂次のざわけいじならず
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おそる/\「御料理おんれうりくださるだん冥加みやうがあまさふらへども、此中このなかにてたまはるは、ひら御免ごめんくだされたし」とわびしげに申上まをしあぐれば、幼君えうくん、「なになぐさみなり、辭退じたいせず、其中そのなかにて相伴しやうばんせよ」とつてのおほせ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かるヽこヽろちたきものと、决心けつしん此處こヽりし今宵こよひめては妻戸つまどごしのおこゑきヽたく、とがめられんつみわすれて此處こヽしのそでにすがりてさとしなげヽば、これをはろ勇氣ゆうきいま
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とないだふしくがごとく、うらむがごとく、いつも(おう)のきたりて市街しがい横行わうかうするにしたがうて、くだん童謠どうえう東西とうざいき、南北なんぼくし、言語ごんごえたる不快ふくわい嫌惡けんをじやう喚起よびおこして、市人いちびとみゝおほはざるなし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はいにしへの齋藤主計さいとうかずへむすめもどらば、くともわらふとも再度ふたゝび原田太郎はらだたらうはゝとはばるゝことるべきにもあらず、良人おつと未練みれんのこさずともあいちがたくははなれていよ/\ものをもおもふべく
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたし冷汗ひやあせながして、一生いつしやう足袋たびたうとおもつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きたり辛苦しんくさこそなるべけれど奉公大切ほうこうだいじつとたまへとおほせられしがみゝのこりてわすられぬなりれほどにおやさしからずばれほどまでにもなげかじとがたきづなつらしとてひとひまには部屋へやのうちにづみぬいづおとらぬ双美人そうびじんしたはるゝうれしかるべきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)