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野澤桂次
事なく
高砂をうたひ
納むれば、
即ち
新らしき一
對の
夫婦出來あがりて、やがては
父とも
言はるべき
身なり、
諸縁これより
引かれて
斷ちがたき
絆次第にふゆれば、一
人一
箇の
野澤桂次ならず
三十
圓どりの
會社員の
妻が
此形粧にて
繰廻しゆく
家の
中おもへば
此女が
小利口の
才覺ひとつにて、
良人が
箔の
光つて
見ゆるやら
知らねども、
失敬なは
野澤桂次といふ
見事立派の
名前ある
男を