トップ
>
起
>
た
ふりがな文庫
“
起
(
た
)” の例文
広い清らかな
室
(
へや
)
があって酒や肴がかまえてあった。室の隅には四十前後の貴婦人が腰をかけていた。貴婦人は崔を見ると
起
(
た
)
ってきた。
崔書生
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
晴々した声がひびきわたると、麦畑の処々からぽつぽつ
起
(
た
)
ちあがった作男等は、皆んな木蔭に集まって来て、やがて
昼食
(
ちゅうじき
)
をはじめた。
麦畑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
幸いに咯血は五回で止みまして、その後の経過も順調に進み、凡そ一ヶ月半の静養で再び
起
(
た
)
って働くことが出来るようになりました。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
大鷲
(
おおとり
)
神社の傍の田甫の
白鷺
(
しらさぎ
)
が、一羽
起
(
た
)
ち二羽起ち三羽立つと、明日の
酉
(
とり
)
の
市
(
まち
)
の売場に新らしく掛けた小屋から二三
個
(
にん
)
の人が現われた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
と
泣々
(
なく/\
)
ずっと
起
(
た
)
って来ますと、
先刻
(
せんこく
)
から此の様子を聞いていまして、気の毒になったか、娘のおいさが紙へ三円包んで持ってまいり
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
「お気がつきましたか。——さっさっ、私の肩につかまってお
起
(
た
)
ちなさい。今逃げた兵が、徐栄の軍を呼んでくるに違いありません」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御米は特別の
挨拶
(
あいさつ
)
もしなかった。小六はそのまま
起
(
た
)
って六畳へ
這入
(
はい
)
ったが、やがて火が消えたと云って、火鉢を
抱
(
かか
)
えてまた出て来た。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
碑文に「辛未、宣教判官ニ拝ス。既ニシテマタ権大法官、五等判事ニ歴任ス。官廃セラレテ
罷
(
や
)
ム。マタ
起
(
た
)
ツテ司法少書記官ト
為
(
な
)
ル。」
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
起
(
た
)
ちかける葉子は彼の体に寄って来た。別れのキスでもしようとするように。庸三はあわてて両手でそれを
遮
(
さえ
)
ぎりながら身をひいた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
南天
(
なんてん
)
に
積
(
つも
)
っている雪がばらばらと落ちた。忠一は
衝
(
つ
)
と
起
(
た
)
って縁側の障子を明けると、外の物音は止んだ。忠一は続いて雨戸を明けた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
少時
(
しばらく
)
すると乳母やさんは達也様を小さい寝台の上にねかしつけ、ツト、
起
(
た
)
って廊下へ出ました、たぶんご不浄へでも行ったのでしょう。
美人鷹匠
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
と
背後
(
うしろ
)
からお才を呼んで、
前垂
(
まえだれ
)
の端はきりりとしながら、
褄
(
つま
)
の
媚
(
なま
)
めく白い素足で、
畳触
(
たたみざわ
)
りを、ちと荒く、ふいと座を
起
(
た
)
ったものである。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
顔も手も墨だらけな、八つと七つとの
重蔵
(
しげぞう
)
松三郎が重なりあってお
辞儀
(
じぎ
)
をする。二人は
起
(
た
)
ちさまに同じように帽子をほうりつけて
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
そんなことを思うと、身を
煎
(
い
)
られるような悩ましさに胸の動悸が躍って、ほとんどいても
起
(
た
)
ってもいられないほど女のことが思われる。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
一番先に蜂屋文太郎が
起
(
た
)
ち上りました。その後へ十一人の同勢、ぞろぞろ付いて行くと、道はうねりくねって城の裏手の山際へ出ます。
古城の真昼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「甚五郎は
怜悧
(
れいり
)
な若者で、武芸にも
長
(
た
)
けているそうな。手に合うなら、
甘利
(
あまり
)
を討たせい」こう言い放ったまま、家康は座を
起
(
た
)
った。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
傍にいる壮太を
起
(
た
)
たせた「是は僕の為に、いつも身命を賭して尽してくれる友、
拳骨
(
メリケン
)
壮太君です。今度の事件でも第一の功労者です‼」
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
癩人島の俗譚に十の
雛
(
ひな
)
もてる牝鶏が雛をつれて食を求め、ギギンボ(自然薯の一種)を見付けるとその薯根
起
(
た
)
ち出て一雛を食うた。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
例えば『
浮草
(
うきくさ
)
』の如き丁度関節炎を憂いて
足腰
(
あしこし
)
が
起
(
た
)
たないで
臥
(
ね
)
ていた最中で、病床に
腹這
(
はらんばい
)
になって病苦と闘いながらポツポツ訳し
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と読み上げた瞬間、ジャアク先生は、憤然として
起
(
た
)
ち上がり、こう
怒鳴
(
どな
)
りました——「早く席に着いて! なにぐずぐずしとる!」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
しかるに少し気の小さな人が、自分のことを
噂
(
うわさ
)
され、あるいは新聞雑誌に悪く掲げらるれば、再び
起
(
た
)
つ
能
(
あた
)
わざる窮地に
陥
(
おちい
)
るごとく
歎
(
なげ
)
く。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「首じゃ、首じゃ、首じゃア……一番首、二番首、三番首と十七の首じゃア!」
突如
(
とつじょ
)
起
(
た
)
ち上った神尾喬之助、晴ればれと
哄笑
(
こうしょう
)
して
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
和尚の眉が虫のやうに動いたと思ふと、ふいと
起
(
た
)
ち上つて帰つて往つた。そしてそれからといふもの一度も鉄斎翁を訪ねようとしない。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
よもや
起
(
た
)
つまいと言われた
西郷隆盛
(
さいごうたかもり
)
のような人までがたって、一万五千人からの血気にはやる子弟と運命を共にするようになった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
食堂の
扉
(
ドア
)
の開くのが聞えて、男が一人出て來た。急いで
起
(
た
)
ち上ると、私は彼と面と向ひ合つてゐた。それはロチスター氏であつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ボルシェビキ党は工場委員会、ソヴェト、その他の団体のうちへ、「すべての権力をソヴェトへ」のスローガンを掲げて
起
(
た
)
った。
労働者農民の国家とブルジョア地主の国家:ソヴェト同盟の国家体制と日本の国家体制
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「自然主義とは何ぞや? その中心はどこにありや?」かく我々が問を発する時、彼らのうち一人でも
起
(
た
)
ってそれに答えうる者があるか。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
あの人は、やはりいつものように手紙を読みおわってから、ゆっくり
煙草
(
たばこ
)
をふかした。だが五分間ほどすると急に
起
(
た
)
ち上がった。
オパール色の手紙:――ある女の日記――
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
陪審官のある者は好奇心にかられて、それをよく見定めようとして
起
(
た
)
ちかかったのもあったが、彼らはたちまちに顔をそむけてしまった。
世界怪談名作集:04 妖物
(新字新仮名)
/
アンブローズ・ビアス
(著)
起
(
た
)
ちて野に出で、種播く人を見よ。そしてイエス様のあのすばらしい種播きの譬話を思い出せ。我らも種を育て給う生ける神を信じよう。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
感傷の場合、私は
坐
(
すわ
)
って眺めている、
起
(
た
)
ってそこまで動いてゆくのではない。いな、私はほんとには眺めてさえいないであろう。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
もぬけの
殼
(
から
)
なりアナヤとばかり
蹴
(
け
)
かへして
起
(
た
)
つ
枕元
(
まくらもと
)
の
行燈
(
あんどん
)
有明
(
ありあけ
)
のかげふつと
消
(
き
)
えて
乳母
(
うば
)
が
涙
(
なみだ
)
の
聲
(
こゑ
)
あわたゞしく
孃
(
ぢやう
)
さまが
孃
(
ぢやう
)
さまが。
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
やがて食卓から立って妻児が下りて来た頃は、北天の一隅に
埋伏
(
まいふく
)
し居た彼濃い
紺靛色
(
インジゴーいろ
)
の雲が、
倏忽
(
たちまち
)
の中にむら/\と
湧
(
わ
)
き
起
(
た
)
った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
いかにも
爽々
(
さは/\
)
した、一刻千金といふ言葉がふつと頭に浮ぶやうな夕暮である。遠くの
賄部屋
(
まかなひべや
)
では、夕食の用意の皿の音を勢よく
起
(
た
)
ててゐる。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
して圧制者に反抗して
起
(
た
)
たしめるのは此の憎悪である。私は或る男が他の人々を圧制しているのを見れば、私は其の事を憤慨する。其の男を
新しき世界の為めの新しき芸術
(新字新仮名)
/
大杉栄
(著)
すぐに顔を見ないと、
起
(
た
)
つても坐つてもゐられない。日比谷と聞いて飛んで来た。すると、女房の奴が、こんなところで……。
職業(教訓劇)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
今
(
いま
)
は
彼女
(
かのぢよ
)
の
顏
(
かほ
)
に
驕
(
をご
)
りと
得意
(
とくい
)
の
影
(
かげ
)
が
消
(
き
)
えて、ある
不快
(
ふくわい
)
な
思
(
おも
)
ひ
出
(
で
)
のために
苦々
(
にが/\
)
しく
左
(
ひだり
)
の
頬
(
ほゝ
)
の
痙攣
(
けいれん
)
を
起
(
おこ
)
してゐる。
彼女
(
かのぢよ
)
は
起
(
た
)
つて
行
(
い
)
く。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
私は
直
(
すぐ
)
に
起
(
た
)
ってそこの廊下の雨戸を一枚
明
(
あ
)
けて、立って待っておると
戸外
(
おもて
)
は
朧
(
おぼろ
)
の夜で庭の
面
(
おも
)
にはもう薄雪の一面に降っていた。
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
「オー!」と、僕は
起
(
た
)
ちあがって、はなはだ不格好に両腕をひろげながら叫んだ。「私はあなたが私のものでありしことを天に祈ります!」
世界怪談名作集:17 幽霊の移転
(新字新仮名)
/
フランシス・リチャード・ストックトン
(著)
臨むに諸侯の威をもってし招くに春岳の才をもってし、しこうして一曙覧をして破屋
竹笋
(
ちくしゅん
)
の間より
起
(
た
)
たしむるあたわざりしもの何がゆえぞ。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
と言ひかけしが、
起
(
た
)
ちて、椽側の上に釣れる
竿架棚
(
さおだな
)
の上なる袋より、六尺程の竿一本を
抽
(
ぬ
)
き取り来りて、之を振り廻しながら
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
重ね重ねの不思議に姫は全く狐に
憑
(
つま
)
まれた形で、ぼんやりと突立って見ていると、その内に又もや風が一しきり
渦巻
(
うずま
)
き
起
(
た
)
って
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
そういう悲嘆に圧倒された魂は、痛ましい努力をもってしだいに
起
(
た
)
ち上がって、自分の苦しみを
供物
(
くもつ
)
として神へささげていた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
私は
脹
(
ふく
)
れ
面
(
つら
)
をして容易に
起
(
た
)
たない。すると、
最終
(
しまい
)
には渋々会いはするが、後で金を
持
(
もっ
)
てかれたといって、三日も
沸々
(
ぶつぶつ
)
言ってる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
積年の病
終
(
つい
)
に医する
能
(
あた
)
わず、
末子
(
ばっし
)
千秋
(
ちあき
)
の
出生
(
しゅっしょう
)
と同時に、人事不省に
陥
(
おちい
)
りて終に
起
(
た
)
たず、三十六歳を
一期
(
いちご
)
として、そのまま
永
(
なが
)
の別れとなりぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
またたとへば喜ぶ
處女
(
をとめ
)
が、その
短處
(
おちど
)
の爲ならず、たゞ
新婦
(
はなよめ
)
の祝ひのために、
起
(
た
)
ち、行き、踊りに加はるごとく 一〇三—一〇五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
はや足音は次の間に
来
(
きた
)
りぬ。母は
慌
(
あわ
)
てて出迎に
起
(
た
)
てば、一足遅れに
紙門
(
ふすま
)
は外より開れて
主
(
あるじ
)
直行の高く幅たき
躯
(
からだ
)
は
岸然
(
のつそり
)
とお峯の
肩越
(
かたごし
)
に
顕
(
あらは
)
れぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
水戸中学校長菊池謙二郎氏が
起
(
た
)
って大隈内閣の
居据
(
いすわ
)
りと立憲思想との関係の説明を求めて文相に肉薄した事とは、著しく世間の耳目を惹いた。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
私学校の変に次いで、西郷
起
(
た
)
つとの報が東京に達すると、政府皆色を失った。大久保利通は、
悒鬱
(
ゆううつ
)
の余り、終夜
睡
(
ねむ
)
る事が出来なかったと云う。
田原坂合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
杯がしげくまわりはじめると、座に一人の老人が
起
(
た
)
って大きな声で、『二十年振りで会う木村義雄君にご挨拶を申しあげる』
淡紫裳
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
“起”の意味
《名詞》
起(き)
漢詩の起承転結の最初。起句。
(出典:Wiktionary)
“起”の解説
起(おこし)は、愛知県一宮市の地名。
(出典:Wikipedia)
起
常用漢字
小3
部首:⾛
10画
“起”を含む語句
起居
起重機
起出
想起
惹起
起臥
起伏
起立
躍起
縁起
起上
起因
起請
早起
隆起
凸起
突起
起床
起源
蹶起
...