トップ
>
燻
>
た
ふりがな文庫
“
燻
(
た
)” の例文
仰ぐと、高楼の一層、月あかるき処、
香
(
こう
)
を
燻
(
た
)
き、琴を調べ、
従容
(
しょうよう
)
として、独り
笑
(
え
)
めるかのような人影がある。まさに孔明その人にちがいない。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その光は聖壇の
蝋燭
(
ろうそく
)
から来ているのであって、三稜形をした大燭台の前には乳香が
燻
(
た
)
かれ、その
烟
(
けむり
)
と光とは、
火箭
(
かせん
)
のように林立している小円柱を
沿上
(
へのぼ
)
って行って
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
柔らかなその御動作に従って立つ香はことさら用意して
燻
(
た
)
きしめておいでになった匂宮らしかった。
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
が、縄目は見る目に忍びないから、
衣
(
きぬ
)
を掛けたこのまま、
留南奇
(
とめき
)
を
燻
(
た
)
く、絵で見た
伏籠
(
ふせご
)
を念じながら、もろ手を、ずかと袖裏へ。
驚破
(
すわ
)
、ほんのりと、暖い。
芬
(
ぶん
)
と薫った、石の肌の
軟
(
やわら
)
かさ。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何の樹のものとしもない若葉の匂で
燻
(
た
)
きこめられ、天鵞絨のやうに滑らかで、厚ぽつたい夜の暗闇に抱かれた、こんな静けさが、自分の身辺にあるのに、今までそれと少しも気がつかないで
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
仏前や墓前で
燻
(
た
)
く、あの
抹香
(
まっこう
)
を製造する原料にされているんだ。
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「は、は、
燻
(
た
)
きこめた香の匂いは、ゆかしいな」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
燻
(
た
)
きふかめて
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そして高楼の四障も開け払い、香を
燻
(
た
)
き、琴をすえて端然と坐した。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
燻
漢検1級
部首:⽕
18画
“燻”を含む語句
一燻
燻肉
蚊燻
燻蒸
黒燻
松葉燻
燻腿
燻製
燻銀
燻占
空燻
燻製鰊
余燻
燻々
銀燻
坐燻
股燻製
突燻
燻鰊
燻香
...