)” の例文
仮装会はだ鹿鳴館の一夕だけでなくて、この欧化時代を通ずる全部が仮装会であった。結局失態百出よりは滑稽百出の喜劇に終った。
生をけ、人間じんかんに出でゝ、心を労して荊棘けいきよくすぐる、或は故なきに敵となり、或は故なきに味方となり、恩怨ふたつながら暴雨の前の蛛網ちゆまうに似て、いたづらにだ毛髪の細き縁を結ぶ
哀詞序 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
だに死を恐怖しないのみでなく、或は恋の為めに、或は名の為めに、或は仁義の為めに、或は自由の為めに、扨は現世の苦痛から遁れんが為めに、死に向って猛進する者すら有るではない歟。
死生 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
短かい飜訳であるがだ飜訳界の新生面を開いたばかりでなくて、新らしい文芸の路を照すの光輝ともなった。その文壇に与えた効果は『浮雲』よりもかえって偉大であったかも知れない。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
奇なるかな一は侠勇を尊び、一は艶美をたふとびて、各自特異の旗幟きしてたるや。その始めは、共に至粋の宿れるなり、だ一は之を侠勇に形成し、一は之を艶美(所謂粋)に形成したるの別あるのみ。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
だ数量ばかりでなく優品をも収得したので、天筠居はおっては蒐集した椿岳の画集を出版する計画があったが、この計画が実現されない中に、おしかな、この比類のない蒐集は大震災で烏有うゆうに帰した。
当時の欧化熱の急先鋒たる公伊藤、侯井上はその頃マダ壮齢の男盛りだったから、だ国家のための政策ばかりでもなくて、男女の因襲の垣を撤した欧俗社交がテンと面白くて堪らなかったのだろう。