“痕迹”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こんせき86.7%
あとかた13.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかもその修養のうちには、自制とか克己こっきとかいういわゆる漢学者から受けいで、いておのれめた痕迹こんせきがないと云う事を発見した。
長谷川君と余 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その詩人が、五日ばかりで帰ってしまうと、その時もたらして来た結婚談けっこんばなしが、笹村の胸に薄い痕迹こんせきを留めたきりで、下宿はまたもとの寂しさにかえった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
こう云う記憶の、しだいに沈んで痕迹あとかたもなくなるまで、御互の顔を見ずに過すほど、宗助と安井とは疎遠ではなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たちまちその「ましん」も生徒もけぶりの如く痕迹あとかたもなく消えせて、ふとまた木目が眼に入った。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)