“あとかた”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
跡方48.6%
跡形27.8%
痕迹5.6%
痕形4.2%
迹方4.2%
跡型2.8%
痕跡2.8%
後片付1.4%
跡片1.4%
蹤跡1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし其処そこまで出ることは出られたが、数年前まで其処にごとごとと音立てながらまわっていた古い水車はもう跡方あとかたもなくなっていた。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
神樣にも流行廢はやりすたりで、今は跡形あとかたもありませんが、その頃大變流行つた徳藏稻荷の門前は、何があつたのか、朝から黒山の人だかりです。
たちまちその「ましん」も生徒もけぶりの如く痕迹あとかたもなく消えせて、ふとまた木目が眼に入った。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ところがまるで、追っかけるように、藤原の宮はもとより、目ぬきの家並みが、不意の出火で、其こそ、あっと言う間に、痕形あとかたもなく、そらものとなってしまった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
一定の時が経つと、憎悪後悔の念が迹方あとかたもなく胸にぬぐい去られて、女はまた新しいもののように笹村の目に映った。そんな時のお銀は、初めて逢った時の女の印象をび起さすに十分であった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
常識とか理智とかいうものは跡型あとかたもなくノック・アウトされたからっぽ同然のあたまを肩の上に乗せて、ふらふらと往来にさまよい出たに過ぎなかった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
住むべき家の痕跡あとかたも無く焼失せたりとふだに、見果てぬ夢の如し、ましてあはせて頼めしあるじ夫婦をうしなへるをや、音容おんようまぼろしを去らずして、ほとほと幽明のさかひを弁ぜず
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かあさんは、やっとゆうはん後片付あとかたづけがわって、りょうちゃんをつれて、市場いちばへいかれました。
少年の日二景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その吸取紙を課長が取ってみると、帳簿の上の水玉は跡片あとかたなく消え失せていた。課長の当面の仕事は終った。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
何者にか聞れし一向蹤跡あとかたなき事なり拙者毛頭もうとう左樣さやうの事存じ申さずと虚嘯そらうそぶにも不束ふつつかなる挨拶なるにぞ六郎右衞門はむつとし彼奴きやつ多分の金子を掘り出しながらすこしの配分を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)