トップ
>
跡形
>
あとかた
ふりがな文庫
“
跡形
(
あとかた
)” の例文
その
跡形
(
あとかた
)
が残っているのか、両方の
氏神様
(
うじがみさま
)
に特別厳重な工作が認められる。扉に大きな錠前が七つかけてある。これにも
経緯
(
いきさつ
)
がある。
ある温泉の由来
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
神樣にも
流行廢
(
はやりすた
)
りで、今は
跡形
(
あとかた
)
もありませんが、その頃大變流行つた徳藏稻荷の門前は、何があつたのか、朝から黒山の人だかりです。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
風
(
かぜ
)
は、ますます
強
(
つよ
)
く
吹
(
ふ
)
いてきました。
黒
(
くろ
)
い
雲
(
くも
)
が
出
(
で
)
ると、せっかく、のぞいた
清
(
きよ
)
らかな
星
(
ほし
)
の
光
(
ひかり
)
も、
跡形
(
あとかた
)
もなくかくしてしまいました。
美しく生まれたばかりに
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
棺桶
(
かんおけ
)
なぞは無論、
跡形
(
あとかた
)
もなく腐って、ただバラバラの白骨が、小さく固っているのが、星の光りでほの白く見えるばかりです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
カロチ教授たちは、みんな
死滅
(
しめつ
)
してしまって
跡形
(
あとかた
)
もない。川上、山ノ井の二少年だけはさいわいにも一命を拾った。
宇宙の迷子
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
直線から成る
割菱
(
わりびし
)
模様が曲線化して花菱模様に変ずるとき、模様は「
派手
(
はで
)
」にはなるが「いき」は
跡形
(
あとかた
)
もなくなる。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
「それは、ぽつりとやんで
跡形
(
あとかた
)
もないのだから、こいつ、我々の来ることを知って、怖れをなして隠れたな」
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
申せしに長庵儀右樣の金子預りし覺え無之
殊
(
こと
)
に
逢
(
あひ
)
しことも
無
(
なき
)
人
(
ひと
)
なりとて更に取合申さず餘りのことに千太郎段々と掛合に及び候處
却
(
かへ
)
つて長庵大いに
立腹
(
りつぷく
)
なし
跡形
(
あとかた
)
も無事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
親兄弟もある人物、出来る限り、手を尽くして捜したが、皆目
跡形
(
あとかた
)
が分らんから、われわれ友だちの間にも、
最早
(
もは
)
や世にない、死んだものと
断念
(
あきら
)
めて、都を出た日を命日にする始末。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此間
(
このあひだ
)
迄
向
(
むかふ
)
の土手にむら
躑躅
(
つゝぢ
)
が、
団団
(
だんだん
)
と紅
白
(
はく
)
の模様を青い
中
(
なか
)
に印してゐたのが、丸で
跡形
(
あとかた
)
もなくなつて、のべつに草が
生
(
お
)
い茂つてゐる高い傾斜の
上
(
うへ
)
に、大きな
松
(
まつ
)
が何十本となく並んで
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
奈良の大仏よりは一丈ほど小さいが、鎌倉の大仏よりよほど大きなもの、今日では佐竹の原も
跡形
(
あとかた
)
なくちょっと今の人には想像もつかないし、無論その大仏の影も形もあることではない。
幕末維新懐古談:62 佐竹の原繁昌のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「おのれを知り、敵を
測
(
はか
)
るためには、どこの国とも睨みあわせておらねばならぬ必要からです。——武田に比せば中国の毛利というものは、なかなか
跡形
(
あとかた
)
もなく亡ぼし去ることはできません」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幾日
(
いくにち
)
かの
後
(
のち
)
「
眠
(
ねむ
)
い
町
(
まち
)
」にきました。けれども、いつのまにか
昔
(
むかし
)
見
(
み
)
たような
灰色
(
はいいろ
)
の
建物
(
たてもの
)
は
跡形
(
あとかた
)
もありませんでした。
眠い町
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「しかし博士の部屋は、
跡形
(
あとかた
)
なくなってしまったので、博士はもうそこにはいられず、或るところへ移った」
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大岡殿打聞れ斯ては長庵其方の
僞
(
いつは
)
りに相違なし
子宮病
(
まへのやまひ
)
と有ばよも
奸通
(
かんつう
)
は致されまじ然る上は其方先月
密會
(
みつくわい
)
の
折
(
をり
)
忠兵衞に見顯はされしと言ひしは
跡形
(
あとかた
)
も
無事
(
なきこと
)
ならんと言はれるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかし、あの海を畳同様に心得ている奴等が、ああやってオゾケをふるうのだから、全く
跡形
(
あとかた
)
のないことでもあるまい。何か怪しいものか、見慣れないものが、この浦に漂いついているかも知れぬ。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
若
(
も
)
しや、
昨夜
(
ゆうべ
)
の幽霊の足跡はついていないかと行って見ると、ほんのそれらしい
跡形
(
あとかた
)
もなかったという。
北の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
相勤めます殊に惣内
歸役
(
きやく
)
の
相談
(
さうだん
)
の儀などは一向承まはりし事も御座なく假令右體の儀御座ればとてそれを
遺恨
(
ゐこん
)
に思べき
筈
(
はず
)
もなく右體の儀は
跡形
(
あとかた
)
もなき
僞
(
いつは
)
り事と存ずると云語を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そうすれば、あの
怖
(
おそ
)
ろしい
車
(
くるま
)
や、
馬
(
うま
)
にふまれて、わたしの
体
(
からだ
)
は、
跡形
(
あとかた
)
もなく
砕
(
くだ
)
かれてしまうでしょう。
山へ帰りゆく父
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
けるのを
待
(
ま
)
ちました。やがて、あらしの
名残
(
なごり
)
をとめた、
鉛色
(
なまりいろ
)
の
朝
(
あさ
)
となりました。
浜辺
(
はまべ
)
にいってみると、すでに
箱
(
はこ
)
は
波
(
なみ
)
にさらわれたか、なんの
跡形
(
あとかた
)
も
残
(
のこ
)
っていません。
希望
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
海
(
うみ
)
の
水
(
みず
)
はますます
増
(
ま
)
してきて、その
夜
(
よ
)
のうちに、
塔
(
とう
)
ものみつくしてしまいました。
明
(
あ
)
くる
日
(
ひ
)
になると、一
面
(
めん
)
に
海
(
うみ
)
となっていました。もう、
昔
(
むかし
)
の
街
(
まち
)
は
跡形
(
あとかた
)
もなかったのです。
黒い塔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
全く昔の建物は
跡形
(
あとかた
)
もなく亡びている。旧家の人々は何処にいるか? 座敷牢に入れて人目に触れさせるのを恥じたという、凄い美しい不思議な娘は、姿を何処に隠しているか。
薔薇と巫女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
跡
常用漢字
中学
部首:⾜
13画
形
常用漢字
小2
部首:⼺
7画
“跡”で始まる語句
跡
跡方
跡目
跡取
跡絶
跡切
跡部
跡戻
跡押
跡役