迹方あとかた)” の例文
翌朝になると早速さっそく裏木戸や所々ところどころと人の入った様な形跡あとを尋ねてみたが、いずれも皆固くとざされていたのでその迹方あとかたもない、彼自ら実は少し薄気味悪くなり出したが
暗夜の白髪 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)
一定の時が経つと、憎悪後悔の念が迹方あとかたもなく胸にぬぐい去られて、女はまた新しいもののように笹村の目に映った。そんな時のお銀は、初めて逢った時の女の印象をび起さすに十分であった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
何処どこからも入って来た様子もなし、また出た様な迹方あとかたもない、あまりに奇異なこともあると思いながら、それから起きて朝飯を食っていると、突然隣家となりから何か多くの人声が騒がしく聞こえてきた
闥の響 (新字新仮名) / 北村四海(著)