“なごり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
名残72.8%
余波9.2%
名殘6.8%
餘波5.2%
余残2.0%
余光0.8%
残余0.8%
波凝0.8%
残懐0.4%
最後0.4%
殘懷0.4%
痕跡0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
清吉も姪が可愛さに、若殿さまを二階に忍ばせて、十分に名残なごりを惜しませた上で、二人を心中に出してやったんだろうと思われます。
ち得た所は物びてゐる。奈良の大仏だいぶつかねいて、其余波なごりひゞきが、東京にゐる自分の耳にかすかにとゞいたと同じ事である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
伏拜ふしをがむこそ道理なれ又長兵衞夫婦は川崎宿まで送らんと同道なしけるに後藤も其志操のあつきをかん何時迄いつまで名殘なごりつきねどもまた跡々あと/\
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こは彼翁の娘なりき。少女はチプリイの酒を汲みて我に與へぬ。我がこれを飮みて、少女がことほぎをなしゝとき、その頬にはサロモ王の餘波なごりの血こそ上りたれ。
仰向あおむい蒼空あおぞらには、余残なごりの色も何時しか消えせて、今は一面の青海原、星さえ所斑ところまだらきらめでてんと交睫まばたきをするような真似まねをしている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
少し急込せきこんで聞きながら、境はたてに取った上坂のぼりざかを見返った。峠をおおう雲の峰は落日の余光なごりに赤し。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこに焚落たきおとした篝火かがりび残余なごりである。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とどろ波凝なごりゆるがぬ岩根いはねなびく藻よ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
貞造は、無事に健かに産れた児の顔を一目見ると、安心をして、貴女の七夜の御祝いに酔ったのがお残懐なごりで、お暇を頂いて、お邸を出たんです。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
飯粒まんまつぶいてやった、雀ッ子にだって残懐なごりおしいや、蔦ちゃんなんか、馴染なじみになって、酸漿ほおずきを鳴らすと鳴く、流元ながしもとけえろはどうしたろうッてふさぐじゃねえか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……よ、よ、これが最後なごりぢゃぞ! かひなよ、け、これが最後なごりぢゃ! おゝ、いきくちびるよ、ひといのち長永とこしなへ買占かひしむる證文しょうもん天下てんがれた接吻せっぷん奧印おくいんせよ!……(毒藥の瓶を取り出し)さ、
終に別るゝ殘懷なごりなき
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
そのほか大卓子テーブルの上には、茶を飲んだ形跡あともなければ、物を喰べた痕跡なごりもない。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)