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名殘
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なごり
ふりがな文庫
“
名殘
(
なごり
)” の例文
新字:
名残
深閑
(
しんかん
)
として、
生物
(
いきもの
)
といへば
蟻
(
あり
)
一
疋
(
ぴき
)
見出せないやうなところにも、
何處
(
どこ
)
となく祭の
名殘
(
なごり
)
を
留
(
とゞ
)
めて、人の
香
(
か
)
が
漂
(
たゞよ
)
うてゐるやうであつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
伏拜
(
ふしをが
)
むこそ道理なれ又長兵衞夫婦は川崎宿まで送らんと同道なしけるに後藤も其志操の
厚
(
あつ
)
きを
感
(
かん
)
じ
何時迄
(
いつまで
)
も
名殘
(
なごり
)
は
盡
(
つき
)
ねども
又
(
また
)
跡々
(
あと/\
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
幾
(
いくばく
)
もあらぬに、ベルナルドオが
痍
(
きず
)
は
名殘
(
なごり
)
なく
癒
(
い
)
え候ひぬ。彼人も君の御上をば、いたく
氣遺
(
きづかひ
)
居たれば必ず惡しき人と御思ひ
做
(
な
)
しなさるまじく候。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
歎
(
なげ
)
くべきことならずと
嫣然
(
につこ
)
と
笑
(
ゑ
)
みて
靜
(
しづ
)
かに
取出
(
とりいだ
)
す
料紙
(
りやうし
)
硯
(
すゞり
)
、
墨
(
すみ
)
すり
流
(
なが
)
して
筆先
(
ふでさき
)
あらためつ、
書
(
か
)
き
流
(
な
)
がす
文
(
ふみ
)
誰
(
た
)
れ/\が
手
(
て
)
に
落
(
お
)
ちて
明日
(
あす
)
は
記念
(
かたみ
)
と
見
(
み
)
ん
名殘
(
なごり
)
の
名筆
(
めいひつ
)
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
月
(
つき
)
は
白晝
(
まひる
)
のやうに
明
(
あきらか
)
だが、
小蒸滊船
(
こじようきせん
)
の
形
(
かたち
)
は
次第々々
(
しだい/\
)
に
朧
(
おぼろ
)
になつて、
殘
(
のこ
)
る
煙
(
けむり
)
のみぞ
長
(
なが
)
き
名殘
(
なごり
)
を
留
(
とゞ
)
めた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
五日ほどして、私は「
行春
(
ゆくはる
)
の
名殘
(
なごり
)
」と題した自叙傳とも云ふべき一篇を
懷中
(
ふところ
)
にして、若し此れを發表するならば私の死後明治の文壇は如何なる驚嘆の聲を發するであらう。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
瀧口
今
(
いま
)
は、誰れ知れる人もなき跡ながら、昔の盛り忍ばれて、盡きぬ
名殘
(
なごり
)
に
幾度
(
いくたび
)
か
振𢌞
(
ふりかへ
)
りつ、持ちし
錫杖
(
しやくぢやう
)
重
(
おも
)
げに打ち鳴らして、何思ひけん、小松殿の
墓所
(
ぼしよ
)
指
(
さ
)
して立去りし頃は、
夜明
(
よあ
)
け
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
人車
(
じんしや
)
は
徐々
(
じよ/\
)
として
小田原
(
をだはら
)
の
町
(
まち
)
を
離
(
はな
)
れた。
僕
(
ぼく
)
は
窓
(
まど
)
から
首
(
くび
)
を
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
る。
忽
(
たちま
)
ちラツパを
勇
(
いさ
)
ましく
吹
(
ふ
)
き
立
(
た
)
てゝ
車
(
くるま
)
は
傾斜
(
けいしや
)
を
飛
(
と
)
ぶやうに
滑
(
すべ
)
る。
空
(
そら
)
は
名殘
(
なごり
)
なく
晴
(
は
)
れた。
海風
(
かいふう
)
は
横
(
よこ
)
さまに
窓
(
まど
)
を
吹
(
ふ
)
きつける。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
ロミオ おさらば、おさらば! これを
名殘
(
なごり
)
に(と接吻して)
降
(
お
)
りて
去
(
いな
)
う。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
尾上
(
をのへ
)
に
遙
(
はるか
)
に、
崖
(
がけ
)
に
靡
(
なび
)
いて、
堤防
(
どて
)
に
殘
(
のこ
)
り、
稻束
(
いなづか
)
を
縫
(
ぬ
)
つて、
莖
(
くき
)
も
葉
(
は
)
も
亂
(
みだ
)
れ
亂
(
みだ
)
れて
其
(
それ
)
は
蕎麥
(
そば
)
よりも
赤
(
あか
)
いのに、
穗
(
ほ
)
は
夢
(
ゆめ
)
のやうに
白
(
しろ
)
い
幻
(
まぼろし
)
にして
然
(
しか
)
も、
日
(
ひ
)
の
名殘
(
なごり
)
か、
月影
(
つきかげ
)
か、
晃々
(
きら/\
)
と
艶
(
つや
)
を
放
(
はな
)
つて、
山
(
やま
)
の
袖
(
そで
)
に、
懷
(
ふところ
)
に
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
とお
名殘
(
なごり
)
を
惜
(
を
)
しむやうに
鳴
(
な
)
きました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
池のこころに懷かしき
名殘
(
なごり
)
の光
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
いでわれ
親
(
みづか
)
ら往いて求めんとて、朝まだきに力強き
漕手
(
こぎて
)
四人を
倩
(
やと
)
ひ、
湊
(
みなと
)
を
舟出
(
ふなで
)
して、こゝかしこの洞窟より巖のはざまゝで、
名殘
(
なごり
)
なく尋ね給ひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
遣
(
つかは
)
し殘りの金子は
葬
(
はうむ
)
りし寺へ
祠堂金
(
しだうきん
)
に寄進なし其外跡々の事共殘る方なく
取片付
(
とりかたづけ
)
暇乞
(
いとまごひ
)
して出立に及ばんとするに門弟中一同に
名殘
(
なごり
)
を
惜
(
をし
)
み
暫時
(
しばらく
)
當所に足を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
令孃
(
ひめ
)
が
部屋
(
へや
)
の
戸
(
と
)
一
枚
(
まい
)
を
隔
(
へだ
)
てに、
今宵
(
こよひ
)
かぎりの
名殘
(
なごり
)
を
惜
(
を
)
しまんとて、
心
(
こヽろ
)
も
空
(
そら
)
も
宵闇
(
よひやみ
)
の
春
(
はる
)
の
夜
(
よ
)
、
落花
(
らくくわ
)
の
庭
(
には
)
に
踏
(
ふ
)
む
足
(
あし
)
の
音
(
おと
)
なきこそよけれ、
切
(
せ
)
めては
夢
(
ゆめ
)
に
入
(
い
)
れかしと
忍
(
しの
)
びぬ。
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
扨はとばかり瀧口は、折紙の
面
(
おもて
)
を
凝視
(
みつ
)
めつゝ
暫時
(
しばし
)
茫然として居たりしが、何思ひけん、
豫
(
あらか
)
じめ祕藏せし昔の
名殘
(
なごり
)
の
小鍛冶
(
こかぢ
)
の鞘卷、
狼狽
(
あわたゞ
)
しく取出して
衣
(
ころも
)
の袖に隱し持ち、麓の方に急ぎける。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
遠
(
とほ
)
き
島
(
しま
)
は
近
(
ちか
)
く
見
(
み
)
え、
近
(
ちか
)
き
船
(
ふね
)
は
却
(
かへつ
)
て
遠
(
とほ
)
く
見
(
み
)
え、
其爲
(
そのため
)
に
數知
(
かずし
)
れず
不測
(
ふそく
)
の
禍
(
わざはひ
)
を
釀
(
かも
)
して、
此
(
この
)
洋中
(
やうちゆう
)
に
難破
(
なんぱ
)
せる
沈沒船
(
ちんぼつせん
)
の
船體
(
せんたい
)
は
既
(
すで
)
に
海底
(
かいてい
)
に
朽
(
く
)
ちて、
名殘
(
なごり
)
の
檣頭
(
しやうとう
)
のみ
波間
(
はかん
)
に
隱見
(
いんけん
)
せる
其
(
その
)
物凄
(
ものすご
)
き
光景
(
くわうけい
)
を
吊
(
とふら
)
ひつゝ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ときめきし胸の
名殘
(
なごり
)
の波のかげ
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
して
田舍者
(
ゐなかもの
)
と笑はれなと心の有たけかき
口説
(
くどき
)
また夫十兵衞に打向ひ
隨分
(
ずゐぶん
)
道中
(
だうちう
)
を用心して
濕氣
(
しつけ
)
に當り給はぬ樣娘の事は呉々も
能
(
よき
)
やうに
計
(
はか
)
らひ給へと
懇切
(
ねんごろ
)
に言
慰
(
なぐ
)
さめ互ひに
名殘
(
なごり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
もう
逢
(
あ
)
つては
下
(
くだ
)
さらぬかなどヽ
敷居
(
しきゐ
)
の
際
(
きわ
)
にすり
寄
(
よ
)
つてお
園
(
その
)
の
泣
(
な
)
けるも
知
(
し
)
らず、
學士
(
がくし
)
はその
時
(
とき
)
つと
起
(
た
)
つて、
今日
(
けふ
)
はお
名殘
(
なごり
)
なるに
切
(
せ
)
めては
笑
(
わら
)
ひ
顏
(
がほ
)
でも
見
(
み
)
せて
給
(
たま
)
はれとさらり
障子
(
しようじ
)
を
明
(
あ
)
くれば
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
はい、
兄
(
あに
)
の
病氣
(
びやうき
)
は、
妾
(
わたくし
)
が子ープルスに
歸
(
かへ
)
つてから、
三月
(
みつき
)
程
(
ほど
)
※
(
すぎ
)
て、
名殘
(
なごり
)
なく
全快
(
ぜんくわい
)
して、
今
(
いま
)
は
人一倍
(
ひといちばい
)
に
健全
(
すこやか
)
に、
英國
(
エイこく
)
から
新造軍艦
(
しんざうぐんかん
)
の
廻航中
(
くわいかうちう
)
、
此
(
この
)
「
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
」に
乘
(
の
)
つて
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
は
貴方
(
あなた
)
も
御覽
(
ごらん
)
の
通
(
とう
)
りです。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
瀧口入道と
法
(
のり
)
の名に浮世の
名殘
(
なごり
)
を
留
(
とゞ
)
むれども、心は
生死
(
しやうじ
)
の境を越えて、瑜伽三密の行の外、月にも露にも唱ふべき哀れは見えず、荷葉の三衣、秋の霜に堪へ難けれども、一杖一鉢に法捨を求むるの外
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
我は生れながらの清白なる身を
涜
(
けが
)
すが如くおもひき。かゝる懸念は今や
名殘
(
なごり
)
なく失せたり。今こそ我は一人前の男にはなりたるなれ。かの教育の滓を身に帶びたる限は、その人小兒のみ、卑怯者のみ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
かかる日を
名殘
(
なごり
)
のしらべ。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
ぶら/″\あるきに
立
(
たち
)
ならしたる
處
(
ところ
)
なれば、
今歳
(
ことし
)
この
度
(
たび
)
とりわけて
珍
(
めづ
)
らしきさまにもあらぬを、
今
(
いま
)
こん
春
(
はる
)
はとても
立
(
たち
)
かへり
蹈
(
ふむ
)
べき
地
(
ち
)
にあらずと
思
(
おも
)
ふに、こ〻の
濡
(
ぬ
)
れ
佛
(
ぼとけ
)
さまにも
中々
(
なか/\
)
の
名殘
(
なごり
)
をしまれて
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
惜
(
を
)
しき
名殘
(
なごり
)
を
姫
(
ひめ
)
とも
言
(
い
)
はず、
生
(
うま
)
れかはらば
華族
(
くわぞく
)
にと
計
(
ばか
)
り、
此處
(
こヽ
)
を
出
(
い
)
でヽ
何處
(
いづこ
)
へ
行
(
ゆき
)
けん、
忘
(
わす
)
れぬ
姫
(
ひめ
)
のこと
忘
(
わす
)
れねばこそ、
義理
(
ぎり
)
といふ
字
(
じ
)
に
涙
(
なみだ
)
を
呑
(
の
)
んで、
心
(
こヽろ
)
は
邸
(
やしき
)
を
離
(
はな
)
れざりしが、
帳臺
(
ちやうだい
)
ふかくに
物
(
もの
)
おもふ
姫
(
ひめ
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
走
(
はし
)
れ
飛
(
と
)
ばせの
夕
(
ゆふ
)
べに
引
(
ひき
)
かへて、
明
(
あ
)
けの
別
(
わか
)
れに
夢
(
ゆめ
)
をのせ
行
(
ゆ
)
く
車
(
くるま
)
の
淋
(
さび
)
しさよ、
帽子
(
ぼうし
)
まぶかに
人目
(
ひとめ
)
を
厭
(
いと
)
ふ
方樣
(
かたさま
)
もあり、
手拭
(
てぬぐひ
)
とつて
頬
(
ほう
)
かぶり、
彼女
(
あれ
)
が
別
(
わか
)
れに
名殘
(
なごり
)
の一
撃
(
うち
)
、いたさ
身
(
み
)
にしみて
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
すほど
嬉
(
うれ
)
しく
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ましてや
他人
(
たにん
)
の
底
(
そこ
)
ふかき
計略
(
けいりやく
)
の
淵
(
ふち
)
知
(
し
)
るべきならねば
陷
(
おとしい
)
れられて
後
(
のち
)
の
一悔恨
(
ひとくわいこん
)
空
(
むな
)
しく
呑
(
の
)
む
涙
(
なみだ
)
の
晴
(
は
)
れ
間
(
ま
)
は
無
(
な
)
くて
降
(
ふ
)
りかゝる
憂苦
(
いうく
)
と
繋
(
つな
)
がるゝ
情緒
(
じやうちよ
)
に
思慮
(
しりよ
)
分別
(
ぶんべつ
)
も
烏羽玉
(
ぬばたま
)
の
闇
(
やみ
)
くらき
中
(
なか
)
にも
星明
(
ほしあか
)
りに
目
(
め
)
と
目
(
め
)
見合
(
みあは
)
せて
莞爾
(
につこ
)
とばかり
名殘
(
なごり
)
の
笑顏
(
ゑがほ
)
うら
淋
(
さび
)
しくいざと
促
(
うなが
)
せばいざと
答
(
こた
)
へて
流石
(
さすが
)
にたゆたは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
出
(
い
)
づる
大黒傘
(
だいこくがさ
)
の
上
(
うへ
)
に
雪
(
ゆき
)
つもるといふ
間
(
ま
)
もなきばかり
速
(
すみや
)
かに
立歸
(
たちかへ
)
りて
出入
(
でいり
)
の
車宿
(
くるまやど
)
名殘
(
なごり
)
なく
出拂
(
ではら
)
ひて
挽子
(
ひきこ
)
一人
(
ひとり
)
も
居
(
をり
)
ませねばお
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さまながらと
女房
(
にようばう
)
が
口上
(
こうじやう
)
其
(
その
)
まゝの
返
(
かへ
)
り
事
(
ごと
)
に
然
(
さ
)
らば
何
(
なに
)
とせんお
宅
(
たく
)
にお
案
(
あん
)
じはあるまじきに
明早朝
(
みやうさうてう
)
の
御歸館
(
ごきくわん
)
となされよなど
親切
(
しんせつ
)
に
止
(
と
)
められるれど
左樣
(
さう
)
もならず
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
名
常用漢字
小1
部首:⼝
6画
殘
部首:⽍
12画
“名殘”で始まる語句
名殘惜