“きずあと”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
傷痕53.9%
創痕18.6%
疵痕10.8%
傷跡3.9%
2.0%
痕跡2.0%
瘡痕2.0%
瘢痕2.0%
創跡1.0%
損所1.0%
疵跡1.0%
痍跡1.0%
1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「これ、こんなに後足あとあし傷痕きずあとがあります。」とさけびました。おかあさんも、ねえさんも、みんなそばにきて、それをて、びっくりしました。
おじいさんの家 (新字新仮名) / 小川未明(著)
関東地震や北伊豆地震のときに崩れ損じたらしい創痕きずあとが到る処の山腹に今でもまだ生ま生ましく残っていて何となく痛々しい。
箱根熱海バス紀行 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
春先になれば、古い疵痕きずあとに痛みを覚える如く、軟かな風が面を吹いて廻ると、胸の底に遠い記憶が甦えるのであります。
春風遍し (新字新仮名) / 小川未明(著)
別に特別の発見もなかったが、唯一つ、右の拇指ぼしの腹に針でついたほどの浅い傷跡きずあとがあって、その周囲だけが疣状いぼじょう隆起りゅうきし、すこし赤味が多いのを発見した。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
陽焦ひやけのした骨太の顔に薄あばたがあり、耳の下から顎にかけて四半分ほど顔がない。ないというのはおかしいが、太刀で斬られたきずあとの肉が変に縮んでしまったのかも知れない。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どんな毒薬で人を殺したら、後に痕跡きずあとが残らないかなどとな
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
額の左口に物凄い瘡痕きずあとのある、その仲間では顔の利いた男でした。
その手の甲から腕の関節にかけて、二寸程の細長い瘢痕きずあとのあるのをぢつと見つめた。
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
然しこの梵字の創跡きずあとだけは、人間の手では到底不可能な芸でしょうな
夢殿殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「敷居にのみを押し込んだ損所きずあとがあるとか、雨戸に破れがあるとか、格子に動くか拔けるのがあるとか——」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
ところが、調査の結果は、はたして彼の云うがごとく、その茎には六個所ほど、最近に葉をもぎ取ったらしい疵跡きずあとが残されていた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
しかも古来たびたび、匈奴きょうどの南下に侵された歴史の古い痍跡きずあとは、今とて、どこかここの繁華に哀しい陰翳いんえいを消していない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その像は巡礼の衣を著しももに黒死病のきずあとを帯び、麪包を啣えた犬を従えたものだ。