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創痕
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きずあと
ふりがな文庫
“
創痕
(
きずあと
)” の例文
マリユスの美しい髪は
艶々
(
つやつや
)
として
薫
(
かお
)
っていた。その濃い巻き毛の下には所々に、
防寨
(
ぼうさい
)
での
創痕
(
きずあと
)
である青白い筋が少し見えていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
関東地震や北伊豆地震のときに崩れ損じたらしい
創痕
(
きずあと
)
が到る処の山腹に今でもまだ生ま生ましく残っていて何となく痛々しい。
箱根熱海バス紀行
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それは
無名
(
くすり
)
指の
尖
(
さき
)
から、手相見の謂わゆる生命線の基点へ走っている一
条
(
すじ
)
の
創痕
(
きずあと
)
なんですがね、実に鮮やかなもので見まいとしても目につくのです。
ペルゴレーズ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
やがてその手足の
創痕
(
きずあと
)
だの、
綻
(
ほころ
)
びの切れた夏羽織だのに気がついたものと見えて、「どうしたんだい。その体裁は。」と、呆れたように尋ねました。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この外の点は、皆おなじ事で、不思譲なことに、殺害の時間も、短刀の大きさも、致命傷の位置も同じで、ただ
創痕
(
きずあと
)
の深さが、すこし深いように報告されていた。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
「ああ、この
創痕
(
きずあと
)
の一つ一つがみな汝の忠魂と義心を語っている。みなも見よ。武人の
亀鑑
(
きかん
)
を」
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのまま、鮮血に染って倒れるやつを、足をあげて、脇腹を
蹴
(
け
)
ると、急所をやられたか、そのまま息絶えた様子。このさまを見て、他の水夫——
頬
(
ほお
)
に
創痕
(
きずあと
)
のある
物凄
(
ものすご
)
い男が
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
探偵の身にしては、
賞牌
(
しょうはい
)
ともいいつべき名誉の
創痕
(
きずあと
)
なれど、
衆
(
ひと
)
に知らるる
目標
(
めじるし
)
となりて、職務上不便を感ずること
尠
(
すくな
)
からざる由を
喞
(
かこ
)
てども、
巧
(
たくみ
)
なる化粧にて
塗抹
(
ぬりかく
)
すを常とせり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云うのは、上行大動脈に達している
創底
(
そうてい
)
を調べると、そこには
毫
(
ごう
)
も、兇器の先で印された
創痕
(
きずあと
)
がないばかりでなく、かえってその血管を、押し潰していることが判ったからだ。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「向う疵の兼」というのは恐ろしい
出歯
(
でば
)
だから一名「
出歯兼
(
でばかね
)
」ともいう。クリクリ坊主の
額
(
おでこ
)
が脳天から二つに割れて、又
喰付
(
くいつ
)
き合った
創痕
(
きずあと
)
が、
眉
(
まゆ
)
の間へグッと切れ込んでいるんだ。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
環境との争闘から生じた痛ましい
創痕
(
きずあと
)
を、雄々しくもむき出しに見せつけている。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
昔時
(
むかし
)
を繰返して新しく言葉を
費
(
ついや
)
したって何になろうか、ハハハハ、笑ってしまうに越したことは無い。云わば恋の
創痕
(
きずあと
)
の
痂
(
かさぶた
)
が時節到来して
脱
(
はが
)
れたのだ。ハハハハ、大分いい
工合
(
ぐあい
)
に酒も
廻
(
まわ
)
った。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
花子は定の腕の中に
仰向
(
あおむ
)
けに抱きかかへられたまま薄眼を開いてゐた。
脹
(
は
)
れぼつたい唇が暗紫色に染まりその間から小さな舌の
尖
(
さき
)
があらはれてゐた。定は
裳
(
もすそ
)
をひき上げて花子の
創痕
(
きずあと
)
をしらべた。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
私自身にはなんとも、痛みも、
痒
(
かゆ
)
みも、残るのではございませんが、人様がそうおっしゃって、私を慰めて下さるので気がつきます。着物の上からまで、そんな
創痕
(
きずあと
)
が見えるんでございますか知ら
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ひどく
指垢
(
ゆびあか
)
のついた書物がめちゃくちゃに積み重ねてあり、名前の頭文字や、略さないで書いた姓名や、怪異な形の絵や、その他さまざまな
小刀
(
ナイフ
)
で彫りつけたものなどの、
創痕
(
きずあと
)
をつけられているので
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
しかし
創痕
(
きずあと
)
は死ぬまで消えぬ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし顔にはむしろ柔和な、人の好さそうな表情があった。ただ額の真中に斜めに深く切り込んだような大きな
創痕
(
きずあと
)
が、見るも恐ろしく気味悪く引き釣っていた。
小さな出来事
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
また、
衝動
(
ショック
)
的な死に方をした場合には、全身の汗腺が急激に収縮する。そして、その部分の皮膚に閃光的な焔を当てると、そこには、
解剖刀
(
メス
)
で切ったような
創痕
(
きずあと
)
が残されるのだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それに耳の下から
頤
(
あご
)
へかけて斜に、二寸位の
創痕
(
きずあと
)
をありありと見た。おお、松風号に同乗した機関士
松井田四郎太
(
まついだしろうた
)
! もう二十年前に、どこかで死んでしまった筈の松井田機関士。
空中墳墓
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“創痕”の意味
《名詞》
創 痕(そうこん)
切り傷の痕。
(出典:Wiktionary)
創
常用漢字
小6
部首:⼑
12画
痕
常用漢字
中学
部首:⽧
11画
“創”で始まる語句
創
創口
創痍
創造
創立
創傷
創作
創業
創管
創所