“塗抹”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とまつ80.0%
なすく3.3%
3.3%
ぬりかく3.3%
ぬりけ3.3%
ぬりけし3.3%
ぬりつぶ3.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わずかに数筆を塗抹とまつした泥画の寸紙の中にも芸衛的詩趣が横溢おういつしている。造詣の深さと創造の力とは誠に近世にならびない妙手であった。
『だから下手が飛び付いて描くのですよ、自分の力も知らないで、ただ景色のいいに釣られてやるのですからでき上がって見ると、まるで景色の外面うわつら塗抹なすくった者になるのです。』
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
眞鍮しんちうへらそのくすりかみ塗抹つて患部くわんぶつてやつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
探偵の身にしては、賞牌しょうはいともいいつべき名誉の創痕きずあとなれど、ひとに知らるる目標めじるしとなりて、職務上不便を感ずることすくなからざる由をかこてども、たくみなる化粧にて塗抹ぬりかくすを常とせり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
世界の地図からは海の色一色に塗抹ぬりけされていた陸地……そして古来から未だただの一度も、我々の住んでいる世界とは交通のなかった国、と申し上げれば、定めし姉上はそこに住む原住民たちは
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
平常いつものごとく化粧して頬の三日月は塗抹ぬりけし居たれど、極暑の時節なりければ、絵具汗のために流れ落ちて、創のあらわれしに心着かず、大事の前に運悪くも悪人の眼に止まりたるなり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どうにでもなれ。」という気を出そうといてつとめてみた。が、絶えず何かにおびやかされているような気持ちでまた一週間待った。その夜姉から手紙が来た。それは所々塗抹ぬりつぶされた粗雑な文字で
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)