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疵痕
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きずあと
ふりがな文庫
“
疵痕
(
きずあと
)” の例文
骨でも肉でも豆腐のように切れる鋭い
小刀
(
ナイフ
)
も、まるで鉛か銀のように
和
(
やわ
)
らかく曲がり折れて、
疵痕
(
きずあと
)
さえ付ける事が出来ません。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
春先になれば、古い
疵痕
(
きずあと
)
に痛みを覚える如く、軟かな風が面を吹いて廻ると、胸の底に遠い記憶が甦えるのであります。
春風遍し
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
したがって、後日これを彼が
憶
(
おも
)
いだすとき、ただ憶いだしたと云うだけでも腹立たしくなるような
疵痕
(
きずあと
)
になった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
たてられ……誹謗の
疵痕
(
きずあと
)
……悪感情の
悪戯
(
いたずら
)
……侮辱と意地悪……
譏誚
(
きしょう
)
……嘲笑と挑戦……嫉妬?……嫉妬!……復讐……おれはおれの躯を愛しそこなった……
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
「黙らないか。二十八年前三千両の御用金を盗んだ四人組の一人、その左の耳の
瘤
(
こぶ
)
を取った
疵痕
(
きずあと
)
が何より証拠、浜松様の御屋敷に聞き合せての上だ、間違いはない」
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
但右の養蚕家入門中、桑を切るとて大きな桑切庖丁を左の
掌
(
てのひら
)
の
拇指
(
おやゆび
)
の根にざっくり切り込んだ其
疵痕
(
きずあと
)
は、彼が養蚕家としての試みの
記念
(
きねん
)
として今も三日月形に残って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
禿
(
は
)
げた頭の鉢は大きく開き、耳の後ろから眼尻にかけて貫通した流弾の
疵痕
(
きずあと
)
が残っている。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
只今
(
たゞいま
)
是へ
出
(
いだ
)
すべしと言れけば同心は
畏
(
かしこ
)
まり候と立て行けるが頓て身には
半※
(
はんてん
)
を
着
(
き
)
て
眞向
(
まむき
)
より
頬
(
ほゝ
)
へ掛て
切下
(
きりさげ
)
られし
疵痕
(
きずあと
)
あり
丈
(
せい
)
は
低
(
ひく
)
く
髭
(
ひげ
)
は
蓬々
(
ぼう/\
)
として如何にもみすぼらし
氣
(
げ
)
なる者を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私のこの胸の
疵痕
(
きずあと
)
を、お兄様以外のお方にどうしてお眼にかけることが出来ましょう……と思いまして……。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
樫
(
かし
)
の実が一つぽとりと落ちた。其
幽
(
かすか
)
な響が消えぬうちに、
突
(
つ
)
と入って縁先に立った者がある。
小鼻
(
こばな
)
に
疵痕
(
きずあと
)
の白く光った三十未満の男。駒下駄に
縞物
(
しまもの
)
ずくめの
小商人
(
こあきんど
)
と云う
服装
(
なり
)
。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
れ兩人并に町役人共下られける斯樣に嚴敷申渡されしは
何故
(
なにゆゑ
)
と云ふに勘兵衞は
大兵
(
だいひやう
)
にして色黒く
眼
(
まなこ
)
大きく
額
(
ひたひ
)
より口へ掛て
大疵
(
おほきず
)
の
痕
(
あと
)
一ヶ所又
小鬢
(
こびん
)
の
外
(
はづ
)
れより目尻に
疵痕
(
きずあと
)
二ヶ所有り至つて
惡相
(
あくさう
)
なれば奉公人の
欠落
(
かけおち
)
合點
(
がてん
)
行
(
ゆか
)
ずと思はれ斯は申されしなり夫より勘兵衞は
早速
(
さつそく
)
彦兵衞方へ
行
(
ゆき
)
勿々
(
なか/\
)
三日の中に三十兩の品は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかし母親の屍体を調べて見ると、首の
周囲
(
まわり
)
の
疵痕
(
きずあと
)
は細帯と一致しないし、寝床も取り乱してあるしするのだから、たしかに絞殺した後で首を
縊
(
くく
)
ったように見せかけたものに違いない。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
付られし痕も御座候へば
縱令
(
たとへ
)
首
(
くび
)
はなくとも悴と申者は
確
(
たしか
)
と見
留
(
とめ
)
しと申ければ大岡殿シテ其
疵痕
(
きずあと
)
は何れに有やと尋問らるゝに左りの
肩
(
かた
)
より脊へかけ四寸程もありと云へば大岡殿又
里
(
さと
)
が
死骸
(
しがい
)
の
證據
(
しようこ
)
は何ぢやとあるにお深是は
嫁
(
よめ
)
とは申ながら私しには
聢
(
しか
)
と知れませぬと答へしかば大岡殿は九郎兵衞に向はれコレ其方は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
取除いて行きましたが……御覧なさい……その蒼黒い少女の皮膚の背中から胸へ、胸から股へと、縦横にタタキ付けられている大小長短色々の
疵痕
(
きずあと
)
を……殴打、
烙傷
(
らくしょう
)
、
擦傷
(
さっしょう
)
の痕跡を……それらの褐色
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……右の手の甲に大きな
疵痕
(
きずあと
)
……。
涙のアリバイ:――手先表情映画――
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
疵
漢検1級
部首:⽧
10画
痕
常用漢字
中学
部首:⽧
11画
“疵”で始まる語句
疵
疵口
疵物
疵所
疵瑕
疵付
疵病
疵等
疵傷
疵処