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『春風遍し』
ふりがな文庫
『
春風遍し
(
はるかぜあまねし
)
』
春先になれば、古い疵痕に痛みを覚える如く、軟かな風が面を吹いて廻ると、胸の底に遠い記憶が甦えるのであります。 まだ若かった私は、酒場の堅い腰掛の端にかけて、暖簾の隙間から、街頭に紅塵を上げて走る風に眼を遣りながら独り杯を含んでいました。そし …
著者
小川未明
ジャンル
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆
文字種別
新字新仮名
読書目安時間
約4分(500文字/分)
朗読目安時間
約6分(300文字/分)
作品に特徴的な語句
偶々
(
たまたま
)
巷
(
ちまた
)
暖簾
(
のれん
)
朧気
(
おぼろげ
)
甚
(
はなは
)
疵痕
(
きずあと
)
紅塵
(
こうじん
)