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傷痕
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きずあと
ふりがな文庫
“
傷痕
(
きずあと
)” の例文
それは迷信に発したにもせよ、確かにスパルタ式の訓練だった。このスパルタ式の訓練は彼の右の膝頭へ一生消えない
傷痕
(
きずあと
)
を残した。
大導寺信輔の半生:――或精神的風景画――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「これ、こんなに
後足
(
あとあし
)
に
傷痕
(
きずあと
)
があります。」と
叫
(
さけ
)
びました。お
母
(
かあ
)
さんも、
姉
(
ねえ
)
さんも、みんなそばにきて、それを
見
(
み
)
て、びっくりしました。
おじいさんの家
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼は弟の頭を
撫
(
な
)
でようとして、そこにも深い
傷痕
(
きずあと
)
を感じ、自分の痛い所へでも触れたような顔をしたが声だけは明るく云った。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
どちらも人相のよくない男である、三十がらみの人足は髭だらけの頬に大きな
傷痕
(
きずあと
)
があり、そこだけ髭を
剃
(
そ
)
ったようにみえる。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ただその
腰
(
こし
)
に大きい
傷痕
(
きずあと
)
が見られたのは、前日タンナリーがロボがりにきたとき、その
猟犬
(
りょうけん
)
がかみついたあとと知られた。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
▼ もっと見る
もうすっかりよくなったつもりでも、土を踏んで歩いてみると、左の脚の
刀痕
(
とうこん
)
がまだ
傷
(
いた
)
む。腕にうけた
傷痕
(
きずあと
)
にも、山風が
滲
(
し
)
み入るここちがする。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
頑丈
(
がんじょう
)
な手足、その手や足の上には、剣の
傷痕
(
きずあと
)
である黒い筋と弾丸の穴である赤い点とが、そこここに見えていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
怺
(
こら
)
えつつ春琴の門に通っていたところある日撥で頭を打たれ泣いて家へ
逃
(
に
)
げ帰ったその
傷痕
(
きずあと
)
が
生
(
は
)
え
際
(
ぎわ
)
に残ったので当人よりも
親父
(
おやじ
)
がカンカンに腹を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その男の手の甲に、
斜
(
はす
)
かけに、
傷痕
(
きずあと
)
らしい黒い
筋
(
すじ
)
のあったのが、いつまでも、いつまでも、私の目に残っていました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
趙は
凄
(
すご
)
い目つきで
睨
(
にら
)
みつけた。——
顎
(
あご
)
のところに生々しい
傷痕
(
きずあと
)
があった。巡警は気味悪さにすこしひるんだが
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「格子縞の鳥打帽を
眼
(
ま
)
ぶかにかぶって口を曲げてものをいう
傷痕
(
きずあと
)
の男」も、「誘拐されてくる社長の令嬢」も
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
煙管
(
きせる
)
の
雁首
(
がんくび
)
でお
撲
(
う
)
ちになつた
傷痕
(
きずあと
)
が幾十と数へられぬ程あなた
方
(
がた
)
御兄弟の頭に残つて居ると云ふやうなことに比べて、寛容をお誇りになるあなたであつても
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
少し離れて南辻橋の
袂
(
たもと
)
に立っていた、頬に古い
傷痕
(
きずあと
)
のある遊び人風の男が、どこやらと合図を交しているのが、物に馴れた平次の眼には、実によく判るのです。
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、蛇は
尻尾
(
しっぽ
)
の切れた青く
生
(
なま
)
なました
傷痕
(
きずあと
)
を見せながら姿を消してしまった。武士は気が
注
(
つ
)
いたように
髯
(
ひげ
)
を
剃
(
そ
)
った
痕
(
あと
)
の
蒼
(
あお
)
あおとした
隻頬
(
かたほお
)
に笑いを見せながら歩いた。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それから、医師の検案書によると、後頭部と
肩胛骨
(
けんこうこつ
)
の部分とにひどい打撲傷があるばかりで、火器や刃物の
傷痕
(
きずあと
)
もなければ毒殺の形跡もまったくないというのです。
五階の窓:02 合作の二
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「喜劇役者ですよ。ニュウヨーク座の。けれどもヒルガードには眉間にあんな
傷痕
(
きずあと
)
がありません。」
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
単に
溺死
(
できし
)
した場合にあるような
泡
(
あわ
)
は出ていなかった。細胞組織の変色はなかった。
咽喉
(
のど
)
のあたりには
傷痕
(
きずあと
)
と指の痕とがあった。両腕は胸の上に曲げられ、硬くなっていた。
マリー・ロジェエの怪事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
と忘れていた軽い
傷痕
(
きずあと
)
がうずきでもするように、忠相は
寂然
(
じゃくねん
)
と腕を組んで苦笑をおさえている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そして君は頭を振ったろう。君はその時たしかに、悲しさと恐ろしさと、それから人生の淋しさを感じていたに相違ないんだ。君の手は君の古い
傷痕
(
きずあと
)
のほうへのびていった。
入院患者
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
バーテン君は感心したようにうなずいて、(その首には
瘰癧
(
るいれき
)
かなんかの
傷痕
(
きずあと
)
があった。)
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
月日
(
つきひ
)
と
共
(
とも
)
に
傷
(
きず
)
の
疼痛
(
いたみ
)
は
薄
(
うす
)
らぎ、
又
(
また
)
傷痕
(
きずあと
)
も
癒
(
い
)
えて
行
(
ゆ
)
く。しかしそれと
共
(
とも
)
に
悔
(
くゐ
)
も
亦
(
また
)
消
(
き
)
え
去
(
さ
)
るものゝやうに
思
(
おも
)
つたのは
間違
(
まちが
)
ひであつた。
彼女
(
かのぢよ
)
は
今
(
いま
)
初
(
はじ
)
めて
誠
(
まこと
)
の
悔
(
くゐ
)
を
味
(
あぢ
)
はつたやうな
氣
(
き
)
がした。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
潸々
(
さんさん
)
と涙をながしている女囚のひとたちの深い
傷痕
(
きずあと
)
がおもいやられて来るのです。
新生の門:――栃木の女囚刑務所を訪ねて
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
大きな赤ら顔で、
頬
(
ほお
)
と
頤
(
あご
)
とに紫色の
傷痕
(
きずあと
)
があり、赤い口
髭
(
ひげ
)
を
生
(
は
)
やし、髪を平らになでつけて横の方で分け、金の鼻
眼鏡
(
めがね
)
をかけ、シャツの胸には金ボタンをつけ、太い指に指輪をはめていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そうして私の過去の
傷痕
(
きずあと
)
も、実は、ちっともなおっていはしないのである。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
よく気をつけてみると、
毛髪
(
もうはつ
)
の下の皮膚が、うすく
襞状
(
ひだじょう
)
になっているのが見えないこともないが、それが見えたとて、誰もそれを
傷痕
(
きずあと
)
と思う者がないであろう。じつにおどろくべき手術の進歩だ。
脳の中の麗人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
小鬢
(
こびん
)
の所に、
傷痕
(
きずあと
)
のある浅黒い顔が、一月に近い辛苦で、少し
窶
(
やつ
)
れが見えたため、一層
凄味
(
すごみ
)
を見せていた。乾児も、大抵同じような
風体
(
ふうてい
)
をしていた。が、忠次の外は、誰も菅笠を冠ってはいなかった。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
黒眼鏡をとると瞼がめくれこんで癒着した
傷痕
(
きずあと
)
のあいだから
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
そしてレールの
熱
(
あつ
)
くなった
体
(
からだ
)
を
冷
(
ひ
)
やして、その
傷痕
(
きずあと
)
を
洗
(
あら
)
ってやりながら、「まあ、かわいそうに……。」と、
雨
(
あめ
)
はいいました。
負傷した線路と月
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
暗灰色の空に突きたっている山岳の斜面へ、
傷痕
(
きずあと
)
のようにつけた赤黒い鉱山道で
蠢
(
うごめ
)
いていたのは、荷をつけた駄馬と小さな人間の行列だった。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
甲斐は肌着をひろげ、「くびじろ」の角にかけられた
傷痕
(
きずあと
)
を見せた。おくみはまあ、といって、いたましそうに眉をひそめながら、顔をそむけた。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大きな大八車が一つ、車軸を上にして横ざまに積まれて、紛糾した正面に一つの
傷痕
(
きずあと
)
をつけてるかのようだった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
主人の與兵衞は
漸
(
ようや
)
く繃帶を取つたばかりの、生々しい
傷痕
(
きずあと
)
を殘した、左の頬を見せ乍ら續けるのでした。
銭形平次捕物控:188 お長屋碁会
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
月代
(
さかやき
)
に十字の
傷痕
(
きずあと
)
、
髷
(
まげ
)
にマリヤの笄を刺された孫兵衛は、まったくひとつの呪縛にかかりました。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし口数の少い彼は、じっとその考えを持ちこたえていた。それだけに、一層戦友の言葉は、ちょうど
傷痕
(
きずあと
)
にでも
触
(
ふ
)
れられたような、腹立たしい悲しみを与えたのだった。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
白蝋
(
はくろう
)
のようなからだのうちに、ただ一か所美しくないところがあった。蘭子を殺したものは、美しくない部分であった。
喉
(
のど
)
のところにパックリと口をあいた赤黒い
傷痕
(
きずあと
)
。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
摂津大掾
(
せっつのだいじょう
)
亡き後の名人三代目
越路太夫
(
こしじだゆう
)
の
眉間
(
みけん
)
には大きな
傷痕
(
きずあと
)
が三日月型に残っていたそれは
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
苦しまぎれに水を呑みに流し許まで来たが、煮えくり返っていた鉄瓶の湯を被って、それが落命の直接の原因となったらしかった。勘次は俯伏しの死骸を直して
傷痕
(
きずあと
)
を調べようとした。
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そして、急に左の腕をまくり、太いみゝず
腫
(
ば
)
れの縦に長い
傷痕
(
きずあと
)
をみせて
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
平生も
眉間
(
みけん
)
へ
鈿
(
かんざし
)
をさげているので、気をつけてみると眉間に
傷痕
(
きずあと
)
があります、聞きますと、三つの歳に
乳母
(
うば
)
に抱かれて市中を歩いていて、狂賊に刺されたといいますから、乳母の容貌を聞きますと
涼亭:――序に代へて――
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
盛りあがった
傷痕
(
きずあと
)
の
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
まだ若い貧相な男で、右の高頬に長さ二寸ばかりの古い
傷痕
(
きずあと
)
がある、そのためにうっかりした者が見るとどすのきいた顔にみえるが、そして彼自身も
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ボンは
後足
(
あとあし
)
に
傷痕
(
きずあと
)
があったはずだから、そんなら
検
(
しら
)
べてみればわかるでしょう。」と、
姉
(
ねえ
)
さんはいいました。
おじいさんの家
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
顔はほとんど黒く頭髪はほとんどまっ白で、額から
頬
(
ほお
)
へかけて大きな
傷痕
(
きずあと
)
があり、腰も背も曲がり、年齢よりはずっと
老
(
ふ
)
けていて、手には
耡
(
すき
)
か
鎌
(
かま
)
かを持ち
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
痩
(
やせ
)
ッこけた手足、緑がかった青い皮膚、額から鼻のあたりまで酷い
傷痕
(
きずあと
)
があって、両眼がつぶれている。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
年恰好も四十そこ/\、
髯
(
ひげ
)
の跡が青くて、左の頬に色は薄くなつてゐるが、確かに古い
傷痕
(
きずあと
)
がある
銭形平次捕物控:181 頬の疵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二つに斬れた銭の数枚が、
刃
(
やいば
)
の両側へバッと飛び、しかも欄干には
傷痕
(
きずあと
)
も残さなかった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
背中一面、点々とむしり取ったようになって、
頸筋
(
くびすじ
)
の一とえぐりが致命傷らしく見えた。決して
噛
(
か
)
みつかれたのではない。何かしらするどい
爪
(
つめ
)
のようなものでひっ
掻
(
か
)
かれた
傷痕
(
きずあと
)
だ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
若松屋惣七は、
眉間
(
みけん
)
の
傷痕
(
きずあと
)
をふかくして、顔をしかめた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そのときの
傷痕
(
きずあと
)
も
古
(
ふる
)
びてしまって、
幹
(
みき
)
には、
雅致
(
がち
)
が
加
(
くわ
)
わり、
細
(
こま
)
かにしげった
緑色
(
みどりいろ
)
の
葉
(
は
)
は、ますます
金色
(
きんいろ
)
を
帯
(
お
)
び、
朝夕
(
あさゆう
)
、
霧
(
きり
)
にぬれて、
疾風
(
しっぷう
)
に
身
(
み
)
を
揺
(
ゆ
)
すりながら
しんぱくの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何でも、ポンマリーとかモンペルシーとか……言っていました。確か剣で切られた大きな
傷痕
(
きずあと
)
がありました。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“傷痕”の意味
《名詞》
傷 痕(しょうこん、きずあと)
きずあと 参照。
(出典:Wiktionary)
“傷痕”の解説
「傷痕」(きずあと)は、森川美穂の19枚目のシングル。1994年3月2日に東芝EMI/EASTWORLDから発売。
(出典:Wikipedia)
傷
常用漢字
小6
部首:⼈
13画
痕
常用漢字
中学
部首:⽧
11画
“傷”で始まる語句
傷
傷手
傷負
傷々
傷口
傷寒
傷心
傷所
傷痍
傷寒論