)” の例文
「いまごろ、ゆみなんかったかがしなんてあるものでない。どこのや、はたけでも、鉄砲てっぽうった、いさましいかがしをてている。」
からすとかがし (新字新仮名) / 小川未明(著)
「わたしはたびものですから、やおこめをもらってもこまりますが、せっかくおっしゃることですから、りかえっこをしましょう。」
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あるいは十月に返り花が咲くようにまだ冬の初めのに、日当りのいい処などに、若草が生えておるが、これはやがて来る寒さや
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
肩越かたごしに、のへりを、ゆき装上もりあがるやうに、しづくさへしと/\と……とき判然はつきりえたのは、きむらがつた真白まつしろはなである。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
毎年まいねんれがすむと、やはりいへつくりかへ、あるひ屋根やねへたりして、おなじく、新室にひむろのうたげをおこなひました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
勘次かんじいよ/\やとはれてくとなつたとき收穫とりいれいそいだ。冬至とうじちかづくころにははいふまでもなくはたけいもでも大根だいこでもそれぞれ始末しまつしなくてはならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
約四千は、そこを離れて、こおろぎ狭間はざまの低地を北方へ出て行った。そして、じりとよぶ高地の東南面に、陣をとった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むもの、野にむもの、しぎは四十八ひんと称しそろとかや、僕のも豈夫あにそ調てうあり、御坐ございます調てうあり、愚痴ぐちありのろけあり花ならば色々いろ/\あくたならば様々さま/″\
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
先年五月以来の長州藩が攘夷の実行は豊前ぶぜんうらにおけるアメリカ商船の砲撃を手始めとして、しもせき海峡を通過する仏国軍艦や伊国軍艦の砲撃となり
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
同僚吉田何某なにがしと共に近所へ酒を飲みに行つた帰途かえりみち、冬の日も暮れかゝる田甫路たんぼみちをぶら/\来ると、吉田は何故なぜか知らず、ややもすればの方へ踉蹌よろけて行く。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
たん以上いじやうかひつてはこしてある。其跡そのあとからは清水しみづ湧出ゆうしゆつして、たゞちにほどひくくなつてる。此所こゝ貝塚かひづかがあらうとは、今日けふまでらなかつた。
春日はるひすらつかきみかなしも若草わかくさつまきみつかる 〔巻七・一二八五〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「旦那、あの一本マストのは皆遠洋漁業船でございます。遠州から伊豆の漁業船が残らず寄りますから、魚の集まること清水港は蛙の小便じゃないがえしたもんですよ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そのそらあかるみをうつみづや、處處ところどころ雜木林ざふきばやしかげ蒼黒あをぐろよるやみなかあがつてした。わたしはそれをぢつと見詰みつめてゐるうちに、なんとなく感傷的かんしやうてき氣分きぶんちてた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
五 遠野郷より海岸のはま吉利吉里きりきりなどへ越ゆるには、昔より笛吹峠ふえふきとうげという山路やまみちあり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
またうみのつよいかぜ濱邊はまべすなばして、砂丘さきゆうつくつたり、その砂丘さきゆうすなをまた方々ほう/″\はこんで、大事だいじはたや、ときによると人家じんかまでもうづめてしまふことがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
なにしろ秋口あきぐちからふゆけてしぎなぞをちにくと、どうしてもこしからしたなかつかつて、二時間じかんも三時間じかんらさなければならないんですから、まつた身體からだにはくないやうです
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「ふと、気がつきますと、でかわずがたくさんいている」自分は今、目をその方に向けた時の様子をして、顔を少し横に突きだし、その時やってみたよりもずッと上手な具合ぐあいに
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
此頃はいまだはた平一面ひらいちめんの雪の上なれば、たはたの上をさらし場とするもあり、日の内にさらしふみへしたる処あれば、手頃てごろいたをつけたる物にて雪の上をたひらかにならしおく也。
ととかくへ水を引く。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
子供こどもいしひろって、わざわざ線路せんろほうまで、のあぜみちつたわってゆきました。そして、いしをつばめにかってげようとおもったのです。
長ぐつの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きました。ぼうさんはこわごわって、をあけて、裏手うらてをながめますと、そこにふか出来できていて、みずがいっぱいあふれていました。
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おほきな藁草履わらざうりかためたやうに霜解しもどけどろがくつゝいて、それがぼた/\とあしはこびをさらにぶくしてる。せまつらなつてたて用水ようすゐほりがある。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
利根川とねがはながれ汎濫はんらんして、に、はたけに、村里むらざとに、みづ引殘ひきのこつて、つきとしぎてもれないで、のまゝ溜水たまりみづつたのがあります。……
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
折ふし、勝入の子息紀伊守が、六千の兵をもって、じりへ移動したときなので、その陣容が成るのを待ち、菅沼藤蔵は、そっちへ駈けて行ったのである。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことに、二番にばんめの三番さんばんめのに、注意ちゆういなさい。おなじく趣向しゆこうこらしたところはあつても、さくらへのほうは、いかにもすっきりと、あたまひゞくように出來できてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
はるまけてものがなしきにさけてぶきしぎにかむ 〔巻十九・四一四一〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
郊外は収穫とりいれの為にせはしい時節であつた。農夫の群はいづれも小屋を出て、午後の労働に従事して居た。の稲は最早もう悉皆すつかり刈り乾して、すでに麦さへ蒔付まきつけたところもあつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
気楽ならいけれども。与次郎のは気楽なのぢやない。気がうつるので——例へばなかを流れてゐる小川の様なものと思つてゐれば間違まちがいはない。あさくてせまい。しかしみづ丈は始終変つてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ゆきって、や、はたけをうずめてしまうと、すずめたちは、人家じんか軒端のきばちかくやってきました。もう、そとちているがなかったからです。
温泉へ出かけたすずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
為朝ためともはそこからがって、ずんずんおくはいってますと、一めん、いわでたたんだような土地とちで、もなければはたもありません。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
くるまよこに、つか/\と、くろへ、いて乗掛のつかけると、しろに、かげもなく、ぽんとつて、ぺこ/\と叩頭おじぎをした。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勘次かんじはおしなつただけはおつぎを使つかつてどうにか從來これまでつくつた土地とち始末しまつをつけようとおもつた。ことすぐうしろなので什麽どんなにしても手放てばなすまいとした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
味噌久みそきゅうのやつが、へ落ちてしまやがった。まっ暗で、引っ張り上げてやろうにも、見当がつかねえ」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さういふ場合ばあひに、そんなどもが、におりてつて、かりのこぼしてつたはねひろつてよろこんでゐるといふうたです。それをすっかり、大人おとながはからつくつてゐるのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
あき穂田ほだかりがねくらけくにのほどろにもわたるかも 〔巻八・一五三九〕 聖武天皇
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
今は夕靄ゆふもやの群が千曲川ちくまがはの対岸をめて、高社山かうしやざん一帯の山脈も暗く沈んだ。西の空は急に深い焦茶こげちや色に変つたかと思ふと、やがて落ちて行く秋の日が最後の反射をに投げた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
はしの ところまで くると、んぼの ほそみちを あるいて いく、ふたりの どもの うしろすがたが みえました。
うみぼうずと おひめさま (新字新仮名) / 小川未明(著)
あきになってれをするころになると、人にしたほうはあたりまえ出来できでしたが、自分じぶんぶんつくったほうたいそうよくみのりました。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「あれごろうじませや、あちらのの向こうから、裏方様の背におぶさった姫さまが、こちらを見て、可愛いお手々を振ってござらっしゃるではないか」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……あかいとで、あししるしをつけた幾疋いくひきかを、とほ淀橋よどばしはうみづはなしたが、三日みつか四日よつかごろから、をつけて、もとのいけおもうかゞふと、あしいとむすんだのがちら/\る。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふゆは、昼過ひるすぎになると、きゅうひかりがうすくなるのでした。のこったすすきの黄色きいろくなって、こんもりとなか一所ひとところしげっていました。
すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちにひと使つかってつくらせて、三ちょう半分はんぶん自分じぶん食料しょくりょうに、あとの半分はんぶんを人にして、だんだんこの土地とちくようになりました。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
祖父じいや父たちは、朝には、さかいの小ゼリ合いと聞いて合戦に駈け、夕べには、具足をぬぐやいな、すぐに入って田草を抜いたり、畑へ出てはくわを持って、ようやく
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ト、すぐうらえて、雨脚あまあし其処そこへ、どう/\とつよちて、にごつたみづがほのしろい。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「もう、三十にちあめらない。まだこのうえ、ひでりがつづいたら、や、はたけ乾割ひわれてしまうだろう。」といって、一人ひとりは、歎息たんそくをしますと
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たとへばじやうぬま裏返うらがへして、そらみなぎらしたよるいろ——をびれて戸惑とまどひをしたやうなふとつたつきが、みづにもうつらず、やま姿すがたらさず……うかとつて並木なみきまつかくれもせず
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
武田伊豆守の先鋒はすすんでくろから平野の湿地帯にまですきまもない兵をて、県下野守あがたしもつけのかみの一陣は飯盛山に、また佐々木入道道誉は生駒山の南に——といったふうに、無慮むりょ
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うらみずはあるか。」
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
じきに、おかえりなさらんでも、留守るすはだいじょうぶです。おじいさんがいられなくても、わたしたちだけでせいせば、はたけのことはできます。
銅像と老人 (新字新仮名) / 小川未明(著)