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俛
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た
ふりがな文庫
“
俛
(
た
)” の例文
これを
言出
(
いひい
)
でたるのち、
命
(
いのち
)
を
終
(
をは
)
り、又これを言出でたるあとは、
頭
(
かしら
)
を胸に
俛
(
た
)
れて、
宛
(
あたか
)
も老僧が
聖祭
(
せいさい
)
を行ひつゝ絶命する如くならむ。
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
憐
(
あわ
)
れむべし過度の
馳騖
(
ちぶ
)
に疲れ果てたる馬は、力なげに
俛
(
た
)
れたる首を
聯
(
なら
)
べて、
策
(
う
)
てども走れども、足は重りて地を離れかねたりき。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
草刈籠
(
くさかりかご
)
を
脊負
(
せお
)
つて
巡査
(
じゆんさ
)
の
後
(
あと
)
に
跟
(
つ
)
いて
主人
(
しゆじん
)
の
家
(
いへ
)
の
裏庭
(
うらには
)
へ
導
(
みちび
)
かれた。
巡査
(
じゆんさ
)
が
縁側
(
えんがは
)
の
坐蒲團
(
ざぶとん
)
へ
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けた
時
(
とき
)
勘次
(
かんじ
)
は
籠
(
かご
)
を
脊負
(
せお
)
つた
儘
(
まゝ
)
首
(
くび
)
を
俛
(
た
)
れて
立
(
た
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
愁然として彼は
頭
(
かしら
)
を
俛
(
た
)
れぬ。大島紬は受けたる
盃
(
さかづき
)
を
把
(
と
)
りながら、更に佐分利が持てる
猪口
(
ちよく
)
を借りて荒尾に差しつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
芳子もその
傍
(
そば
)
に
庇髪
(
ひさしがみ
)
を
俛
(
た
)
れて談話を聞いていた。父親の眼に映じた田中は元より気に入った人物ではなかった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
欝金草賣は謹んで無言のままに
頭
(
くび
)
を
俛
(
た
)
れた。壁際高くホルバインの傑作、アルバ公爵の肖像畫が掛けてあつて、そこより
瞰
(
にら
)
む糺問法官の眼光に
竦
(
すく
)
んで了つた。
欝金草売
(旧字旧仮名)
/
ルイ・ベルトラン
(著)
とそう言われると青年はにわかに
怯
(
ひる
)
んで、すみませんと言ったきり、首を
俛
(
た
)
れてしまった。そしてその瞬間、男性的なマスタアへのハルミの信頼が強められた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
少しは
慚
(
は
)
ぢてや首を
俛
(
た
)
れ
掌
(
て
)
を揉みながら、
自己
(
おのれ
)
が発頭人なるに是非なく、有し次第を我田に水引き/\申し出れば、痩せ皺びたる顔に深く長く
痕
(
つ
)
いたる法令の
皺溝
(
すぢ
)
をひとしほ深めて
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
(男首を
俛
(
た
)
れて辻馬車のたまりをさして行く。昔のおろかなりし事の
苦澀
(
くじゅう
)
なる記念のために、その面上には
怜
(
あわれ
)
むべき苦笑の影浮べり。灰いろの空よりは秋めける雨しとしとと降れり。)
辻馬車
(新字新仮名)
/
フェレンツ・モルナール
(著)
首を
俛
(
た
)
れては、梢の下を潜った、枝は人を見ると、ひしひしと身を寄せかけて、しがみつきそうにする、私は引き締まった、用心ぶかい態度になって、木の葉の
呟
(
つぶや
)
きも聞き洩らすまいとした
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
大尽王香以、清兵衛を立つるときは、微塵数のパルヴニュウは皆守銭奴となって
懺悔
(
ざんげ
)
し、おいらん王を立つるときは、貞婦烈女も賢妻良母も皆わけしらずのおぼことなって首を
俛
(
た
)
るるであろう。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼等黙然として頭
俛
(
た
)
れ、
齎
(
もた
)
らす処只幻惑の悲音のみ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
前足を組んで、首を
俛
(
た
)
れて沈黙しています。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そんな
料簡
(
れうけん
)
でなく
私
(
わたし
)
は
自分
(
じぶん
)
のが
伐
(
き
)
つたんですつていへば、そんでいゝやうに
始末
(
しまつ
)
してやるだから」
内儀
(
かみ
)
さんが
力
(
ちから
)
を
附
(
つ
)
けて
見
(
み
)
ても
勘次
(
かんじ
)
は
只
(
ただ
)
首
(
くび
)
を
俛
(
た
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
四
肢
(
し
)
を
弛
(
ゆる
)
めて
地
(
つち
)
に
領伏
(
ひれふ
)
し、身動きもせでしばらく横たわりたりしが、ようよう
枕
(
まくら
)
を返して、がっくりと
頭
(
かしら
)
を
俛
(
た
)
れ、やがて草の根を力におぼつかなくも立ち
起
(
あ
)
がりて
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ありし
往時
(
そのかみ
)
、玉の
御座
(
みくら
)
に
大政
(
おほまつりごと
)
おごそかにきこしめさせ玉ひし頃は、三公九
卿
(
けい
)
首
(
かうべ
)
を
俛
(
た
)
れ百官諸司袂をつらねて恐れかしこみ、
弓箭
(
きうぜん
)
の
武夫
(
つはもの
)
伎能の士、あらそつて君がため心を傾ぶけ操を励まし
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
舌を吐き首を
俛
(
た
)
れていうようは
鬼桃太郎
(新字新仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
犬は神妙に首を
俛
(
た
)
れております。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
芳子は顔を
俛
(
た
)
れた。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「
能
(
よ
)
く
喚
(
よ
)
び
出
(
だ
)
してくれたぞよう……」と
極
(
きま
)
つたやうな
句
(
く
)
を
反覆
(
くりかへ
)
しつゝまだ十
分
(
ぶん
)
の
意味
(
いみ
)
を
成
(
な
)
さないのに
勘次
(
かんじ
)
は
整然
(
ちやん
)
と
坐
(
すわ
)
つた
膝
(
ひざ
)
へ
兩手
(
りやうて
)
を
棒
(
ぼう
)
のやうに
突
(
つ
)
いてぐつたりと
頭
(
かしら
)
を
俛
(
た
)
れた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
然らざるも尾を
垂
(
た
)
れ首を
俛
(
た
)
れて制を受くるに至つたのが多いのである。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
を
俛
(
た
)
れていふやうは、
某
(
それがし
)
は
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
俛
漢検1級
部首:⼈
9画
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