)” の例文
ところがその夫が、或る日突然、ちょうど私が行ってる時に電話も何もかけんといて笠屋町の宿屋いンねて来たやありませんか。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
売るとなれば一寸の土も残らず渡して去らねばならぬので、最初から非常に憂惧ゆうぐし、ほとんど仕事も手につかず、昨日ずねて来た時もオド/\した斯老人の容子は余のむねいたましめた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「あての方からンねて行って、悪かったいうて堪忍してもろてん。」「何やて! なんであやまりに行くことある?」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
何せ今のとこ誰一人ンねたげる人もないのんで、『頼りにするのん姉ちゃんだけや』いわれると、なんぼ自業自得じごうじとくや思ても可哀そうになって来るねん。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)