)” の例文
君に言ふのも、な、その目的を変へよではない、だ手段を改めよじや。みちは違へても同じ高嶺たかねの月を見るのじやが
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
幾先云ふ、只だ是れ君が記得熟す、故に五月を以てまされりと為すも、実は然らず、だ六月と云ふも亦た豈に佳ならざらんや、と。(老学庵筆記、巻二)
そは折を得て送らんとにもあらず、又逢うては言ふ能はざるを言はしめんとにもあらで、だかくもはかなき身の上と切なき胸の内とをひとり自らうつたへんとてなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
にほひこぼるるやうにして彼はなみに漂ひし人の今打揚うちあげられたるもうつつならず、ほとほと力竭ちからつきて絶入たえいらんとするが如く、手枕てまくらに横顔を支へて、力無きまなこみはれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)