“嶮岨”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
けんそ97.9%
けわし2.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こうして、さしもの嶮岨けんそものぼり切ってしまうと、彼は厚ぼったい唇をいて、陶山の前に、強欲な手のひらをすぐつき出した。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その北は遠眼鏡スパイグラース山の傾斜した南の肩に接し、南の方へ向ってはまた隆起して、後檣ミズンマスト山と言われているごつごつした嶮岨けんそな高地になっていた。
文角鷲郎もろともに、彼の聴水が教へし路を、ひたすら急ぎ往くほどに、やがて山の峡間はざまに出でしが、これより路次第に嶮岨けわしく。荊棘けいきょくいやが上にひ茂りて、折々行方ゆくてさえぎり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
少しは路の嶮岨けわしけれど、幸ひ今宵は月冴えたれば、辿たどるに迷ふことはあらじ。その間道は……あれみそなはせ、彼処かしこに見ゆる一叢ひとむらの、杉の森の小陰こかげより、小川を渡りて東へ行くなり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)