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奪
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た
ふりがな文庫
“
奪
(
た
)” の例文
やいやい、いくら
汝
(
てめえ
)
の物だって礼もいわずに、引ッ
奪
(
た
)
くるという奴があるか。もいちど、今の巾着を出せ。改めて三べん廻ってお辞儀を
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それからあの貴重な小さい靴だが、神も照覧あれ! たとい自分の生命を救うためだと云っても、私はそれを無理に引っ
奪
(
た
)
くるようなことはしないね。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
お光さんは、腰をおろすとすぐに、それを彼の手の下から
毮
(
むし
)
るように
引
(
ひ
)
っ
奪
(
た
)
くって、四、五枚、ペラペラと見ては
剥
(
め
)
くり返して
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ドカアンと弾音はたかく
反
(
そ
)
ッぽへ走った。
銃
(
つつ
)
は美少年の手に
引
(
ひ
)
っ
奪
(
た
)
くられているのだった。船客たちは、耳を抑えて
俯
(
う
)
つ伏した。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まるで、滅心したかのように、どすぐろい憤怒と、苦悶に、ぶるぶるとそれを睨んでいた理平は、いきなり彼女の手の物を引ッ
奪
(
た
)
くッて
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「しめたッ——」と三位卿、
翡翠
(
かわせみ
)
が
魚
(
うお
)
をさらったように、それをつかんで飛び立ったが、とたんに、目をつけた万吉が、横合から引っ
奪
(
た
)
くって
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのあいだに、二度三度、こう求めて、誰やらがひざまずいて、眼の前に捧げる弓を、引っ
奪
(
た
)
くるように
掴
(
つか
)
むや否
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
近習のささげる
青貝柄
(
あおがいえ
)
の
長刀
(
なぎなた
)
を、
引
(
ひ
)
っ
奪
(
た
)
くるように小脇にかかえ、ばらばらっと表方へ跫音を踏み鳴らしてゆくと
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すぐ彼の手から主人典厩の首を引っ
奪
(
た
)
くるやいな、顔中を涙にぬらして、武田方の陣地へと駈けこんで行った。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いきなり男のついている竹の杖をひッ
奪
(
た
)
くった。そして短刀の抜く手も見せず、杖を二つにぱんと割った。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武蔵の手から引っ
奪
(
た
)
くると、そのつまらない百姓鍛冶屋の女房がひたと鎖鎌を持って、体の
仕型
(
しかた
)
を見せた。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、浜田
某
(
なにがし
)
は、打って来る相手の天秤を引っ
奪
(
た
)
くり、それへ叩き伏せてしまうと、西瓜売りの背中へ天秤を背負わせ、有合う縄で、棒縛りに、ぎりぎり巻きつけた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
槍の千段を持って引っ張っていた薩兵は、勢いよく後ろへ引っくり
転
(
かえ
)
った。露八は、離した槍へまた飛びついて、
引
(
ひ
)
っ
奪
(
た
)
くるとすぐ、相手の者が
起
(
た
)
ち上がるところを
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一人の持っていた
棹
(
さお
)
を引っ
奪
(
た
)
くって、
蓑笠
(
みのかさ
)
を着けた男がすばやく彼の前へ小舟の先を着けて来る。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
数右衛門は、相手の槍を引ッ
奪
(
た
)
くった。そして、庄左衛門の体を振り飛ばすように振ッて
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう彼の手には、次にかかって来た賊の手から引っ
奪
(
た
)
くった刀があった。それで一人を浴びせ、一人を突くと、蜂の子の出るように、土匪はわれがちに土間の外へ跳び出した。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、そう叱咤すると、臣下の得物を引っ
奪
(
た
)
くって、獅子のように廻廊を走った。彼方の
欄
(
おばしま
)
に手をかけて、登ろうとした敵の一武者を見、その真っ向へ一撃を下したのである。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
刺叉を引っ
奪
(
た
)
くられた男が、真っ先にその得物の先で髪を引っかけられた。四、五人叩き伏せておいて、虚空へさっと
閃
(
ひらめ
)
かしたのは彼の腰に横たえていた
胴田貫
(
どうたぬき
)
らしい大太刀である。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
血が
焦々
(
いらいら
)
して、それを
引
(
ひ
)
っ
奪
(
た
)
くって、二つに折ってやりたいほどな心に駆られた。
野槌の百
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高氏は、彼女がそこへさし置いた目録の奉書を、すぐ引ッ
奪
(
た
)
くって、破り捨てた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
引っ
奪
(
た
)
くって、こんどは他の者が
覘
(
ねら
)
う。それは、谷の途中で沈んでしまった。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
半之丞とよばれた随行の武士は、久助の手から印籠を引ッ
奪
(
た
)
くって
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女の金時計やマフラを、ひつ
奪
(
た
)
くツて、こんな物が何だと、乘客たちの前も忘れて、叩きつけるのを、女が、拾はうとすると、そんなに虚榮心が捨てられないのかと云つて、横顏を、平手でなぐつた。
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
お袖は、ことばの下に、お燕の腰から、印籠を
毮
(
むし
)
り
奪
(
た
)
くった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、いいかけるのを
引
(
ひ
)
っ
奪
(
た
)
くって、小次郎は早口に
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主殿はやにわに、机の上の書物をひッ
奪
(
た
)
くッて
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頷
(
うなず
)
いて、小次郎の手から、それを
引
(
ひ
)
ッ
奪
(
た
)
くった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、竹竿を
引
(
ひ
)
ッ
奪
(
た
)
くった。
下頭橋由来
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奪
常用漢字
中学
部首:⼤
14画
“奪”を含む語句
奪取
掠奪
強奪
引奪
横奪
褫奪
奪回
奪還
剥奪
奪衣婆
奪掠
奪去
与奪
劫奪
簒奪
争奪
生殺与奪
簒奪者
物奪
纂奪
...