出発)” の例文
旧字:出發
僕は朝早く弟と共に草鞋わらじ脚絆きゃはんで元気よく熊本を出発った。その日はまだ日が高いうちに立野たてのという宿場まで歩いてそこに一泊した。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
そうして、一端そう思い立つともう矢も楯もたまらなくなって、恰度その日から一週間目に出る便船で、出発つことに決めてしまったものです。
象牙の牌 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
で、樵夫夫婦に礼を述べ、丹生川平への道筋を、夫婦の者に教えられ、今朝方出発って来たのであった。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『ヘエ、見込通りに、七時四十分の汽車で巴里パリー出発ったのを見届けました』とジルベールが答えた。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
そうだとも、俺は遠からずこの地を出発とう。数週ののち、しからざれば数カ月の後、……そして今度こそは本当に勇敢に餓死と戦うのだ。……万物はみんなそうしているのだ。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
貴方様のお出発ちなされた後、大旦那様の御介抱を致しておりますると、二日目の晩になって、入口の方で何やら足音が致しまするで、必然てっきり貴方様が御帰りなされた事と存じまして
月世界競争探検 (新字新仮名) / 押川春浪(著)