きん)” の例文
われは声を忍びて、かたく顔をきんに押し当てて欷歔すすりあげしに、熱涙綿わたに透りて、さながら湯をば覆えしたるごとく、汗は流れて、熱をやみたる人のごとく、いとあつし。
一夜のうれい (新字新仮名) / 田山花袋(著)
又曰く未茗椀換觥船、何復繊腰伴酔眠、家有縞衣侍吾返、孤衾如水已三年と。彼は喪に在るの間其愛妻とすらきんを共にせざりし也。如何ぞ独り長崎に於てのみ堕落せんや。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)