きん)” の例文
この壁柱かべはしら星座せいざそびえ、白雲はくうんまたがり、藍水らんすゐひたつて、つゆしづくちりばめ、下草したくさむぐらおのづから、はなきんとりむし浮彫うきぼりしたるせんく。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
河また河、谷また谷、ぼうぼうたる草は身を没して怪きん昼もく、そのあいだ猛獣もうじゅう毒蛇どくじゃのおそれがある、蕃人ばんじん襲来しゅうらいのおそれもある。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
故に将士は営に至れば、すなわち休息するを得、いとまあれば王射猟しゃりょうして地勢を周覧し、きんれば将士にわかち、塁を抜くごとにことごとるところの財物をたまう。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
山村の家の壁には、遇然二三日まへに、知人が携へておいて行つた明末清初みんまつしんしよの畫僧八大山人の水墨畫が懸かつてゐる。梅花小きんと函題にある半切ほどな繪なのである。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
一二きんせいするはにあり。を制するは其のをつと々しきにありといふは、にさることぞかし。
かつは一を知って十を知る悧発りはつであるばかりでなく、四川弓しせんきゅうと呼ぶ短弓たんきゅう手挟たばさみ、わずか三本の矢を帯びて郊外に出れば、必ず百きんの獲物を夕景にはさげて帰るというのでも
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
静かに、春園しゅんえんきんは、昼を啼きぬいていた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)