きん)” の例文
抜け駈けは軍紀ぐんききんだが、みすみす、目のまえに敵の首将がいる! 大隅は後日のとがめを覚悟で単騎斬り込みのきょに出たものだった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人びとがおのおのもくして仕事しごとをしてるのを見ると、自分はのけものにされてるのじゃないかという考えをきんずることができない。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そこで、だれからの反対もなく、追放の刑が言いわたされました。こうして、ズルスケはスコーネにむことをきんじられました。
他国にてもする事なり。或人あるひとはなしに、此事百余年前までは江戸にもありしが、火災くわさいをはゞかるためにきんくだりてやみたりとぞ。
じつ感謝かんしやえません。』とわたくし不測そゞろ憘涙うれしなみだながるゝをきんなかつた。無邪氣むじやきなる日出雄少年ひでをせうねんをまんまるにして、武村兵曹たけむらへいそう肩上かたをどると。
第四 長日ちやうじつあひだは、午後一時ごゞいちじころ半時計はんじばかり晝眠ひるねやしなひたすけとなることあれども、其他そのたけつして日中につちゆう睡臥すゐぐわきんこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
(三六)かうきよき、(三七)かたちそむいきほひきんずれば、すなはおのづかめにけんのみいまりやうてう相攻あひせむ。輕兵けいへい鋭卒えいそつかならそとき、(三八)老弱らうじやくうちつかれん。
いぢることがあぶないので與吉よきちひとりでかまどをつけることはきんぜられてる。はひなかれたばかりで與吉よきち
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かれはたゞ饗宴きやうえんまねかれない局外者きよくぐわいしやとして、こときんじられたごとくに、またことまぬかれたひとであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかし、さすがによろこびをきんじられなかったのです。そして、そこに、やっと十二、三の少年しょうねんが、ぬれねずみになってっているのをると、目頭めがしらあつくなりました。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
置き番人は麻上下あさがみしもの者と下役は黒羽織くろはおりを着し者をつめさせ檀家だんかの者たりとも表門の通行つうかうきん裏門うらもんより出入させ墓場への參詣さんけいをば許せども本堂ほんだうへの參詣はかたく相成ざる由を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
若い男は、クレーンがひとりで動き出す大恐怖だいきょうふの前に、永い間、ひきえられていた。さらに、戦慄せんりつきんないクレーンの上へ、引張り上げられたり、又降ろされたりした。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
保安上ほあんじやう容易よういならぬ問題もんだいであるといふので(それにみだりに神社呼じんじやよばはりをこと法律はふりつゆるさぬところでもあるので)奉納ほうのう旗幟はたのぼり繪馬等ゑまとうてつせしめ、いはやから流出りうしゆつする汚水をすい酌取くみとるをきん
福島正則の如きまできんを承知で家康と婚を結ぼうとする、いわんや黒田如水などはわざわざ九州から出ばってきて家康を護衛する、名目は三成の天下の野望やぼうふうずるためとあるのだが
家康 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
むかし支那しなにおいて塞外さくぐわい鮮卑族せんひぞくの一しゆなる拓拔氏たくばつし中國ちうごく侵入しんにふし、黄河流域こうかりうゐき全部ぜんぶ占領せんれうしてくにせうしたが、漢民族かんみんぞく文化ぶんくわ溺惑できわくして、みづか自國じこく風俗ふうぞく慣習くわんしふをあらため、胡語こごきん
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
連盟員は発砲をきんじられている、それなのにラマは銃丸でたおれている。海蛇うみへびらのしわざにちがいない! 敵はもうこの付近をさまよっているのだ。こう思うとドノバンはがくぜんとした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
弓杖ゆんづゑ炎天えんてんいはほいて、たまなす清水しみづをほとばしらせて、かわきあへぐ一ぐんすくつたとふのは、けだ名将めいしやうことだから、いま所謂いはゆる軍事衛生ぐんじゑいせい心得こゝろえて、悪水あくすゐきんじた反対はんたい意味いみ相違さうゐない。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれ不順序ふじゆんじよたいしては、さのみめた樣子やうすはなく、たゞ看護婦かんごふなどの病室びやうしつることをきんじ、機械きかいれる戸棚とだな二個ふたつ備付そなへつけたばかりで、代診だいしんも、會計くわいけいも、洗濯婦せんたくをんなも、もとまゝいた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さうして走つてゐると彼は何となくむねのときめくのをきんじえない。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
きんまもりて愚鈍者ぐどんじや
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
運わるく、そのなかに、伊那丸の容貌かおかたちを見おぼえていた者があった。かれらは、おもわぬ大獲物おおえものに、武者むしゃぶるいをきんじえない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
他国にてもする事なり。或人あるひとはなしに、此事百余年前までは江戸にもありしが、火災くわさいをはゞかるためにきんくだりてやみたりとぞ。
かへつて(四八)浮淫ふいんげて・これ(四九)功實こうじつうへくはふるをうれへ、以爲おもへらく、(五〇)儒者じゆしやぶんもつはふみだし、しかうして(五一)侠者けふしやもつきんをかす。
無論むろん偶然ぐうぜん符合ふがふではありますまい。』とわたくし感嘆かんたんさけびきんなかつた。武村兵曹たけむらへいそう前額ぜんがくでゝ
じゅうぶん心得こころえている花前は、なんのもなくはね牛の乳をしぼってしまった。主人は安心あんしんすると同時どうじに、つくづく花前の容貌風采ようぼうふうさい注視ちゅうしして、一種の感じをきんじえなかった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
一先ひとまづ一どうは、地主ぢぬしの一にんたる秋山廣吉氏あきやまひろきちしたくき、其所そこから徒歩とほで、瓢簟山ひようたんやまつてると、やま周圍しうゐ鐵條網てつでうもうり、警官けいくわん餘名よめい嚴重げんぢゆう警戒けいかいして、徽章きしやうなきもの出入しゆつにふきんじてある。
本目ほんめひつけたときかれ不安ふあんねんきんないのであつた。……不思議ふしぎ伴侶みちづれである。姿すがたいろらした、朦朧もうろうとしたをんな抱合だきあつたかげは、汽車きしや事變じへんのあるべき前兆ぜんてうではないのであらうか。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「そんぢやまあかつた、わしそんなこたあちつともわかんねえから、それからはあお内儀かみさんにいてんべとおもつてたのせ」といつて何處どことなくそわ/\とよろこばしさをきんないものゝごとくである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かれはこの不順序ふじゅんじょたいしては、さのみめた様子ようすはなく、ただ看護婦かんごふなどの病室びょうしつることをきんじ、機械きかいれる戸棚とだな二個ふたつ備付そなえつけたばかりで、代診だいしんも、会計かいけいも、洗濯婦せんたくおんなも、もとのままにしていた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あつなみだ玉砂利たまじゃりうえにあふれちるのをきんじえませんでした。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このてんむかつては我輩わがはい衷心ちうしん歡喜くわんききんぬのである。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
御米およね微笑びせうきんなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此玉栗をつくるに雪にすこしほを入るればかたくなること石の如し、ゆゑに小児たがひに塩を入るをきんずるなり。こゝを以てみる時は、しほは物をかたむる物なり。
肋骨材等ろくこつざいとう諸般しよはん構造こうざうながめ、また千變萬化せんぺんばんくわなる百種ひやくしゆ機關きくわん説明せつめいいたときは、ほとんどこれ人間にんげんわざかとうたがはるゝばかりで、吾知われしらず驚嘆きやうたん叫聲さけびはつすることきんなかつた。
かねてから謹慎中の赤橋殿が、無断、きんをやぶってこれへ出仕してまいられ、しかも家の子郎党を連れた御出陣のていである。「いかがしたもので?」と台下の命を仰ぐのだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
主人は以上いじょうの話を総合そうごうしてみて、残酷ざんこく悲惨ひさん印象いんしょうを自分の脳裏のうりきんじえない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「さうか、そんぢやだれたれたえ、まあださかりだからそんでも何處どこへかこしらえたかえ」輕微けいび瘡痍きずあまりに大袈裟おほげさつゝんだ勘次かんじ容子ようすこゝろから冷笑れいせうすることをきんじなかつた醫者いしやはかう揶揄からかひながら口髭くちひげ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
胡服こふくきんじ、姓名せいめい漢式かんしきにした。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
此玉栗をつくるに雪にすこしほを入るればかたくなること石の如し、ゆゑに小児たがひに塩を入るをきんずるなり。こゝを以てみる時は、しほは物をかたむる物なり。
いまの現在げんざい位置いちすらも、そろそろゆれだしたような気がする。ものに屈託くったくするなどいうことはとんと知らなかった糟谷も、にわかに悔恨かいこんねんきんじがたく、しばしばられない夜もあった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
と思う想像そうぞうが、みんなの顔に、きんじえないほほえみをのぼせた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我国わがくに頸城郡くびきこほり米山よねやまふもと医王山いわうさん米山寺べいさんじは和同年中の創草さう/\なり。山のいたゞきに薬師堂あり、山中女人をきんず。此米山の腰を米山たふげとて越後北海の駅路えきろなり、此ほとり古跡こせき多し。
我国わがくに頸城郡くびきこほり米山よねやまふもと医王山いわうさん米山寺べいさんじは和同年中の創草さう/\なり。山のいたゞきに薬師堂あり、山中女人をきんず。此米山の腰を米山たふげとて越後北海の駅路えきろなり、此ほとり古跡こせき多し。