ぶすま)” の例文
スッポリ雪の厚ぶすまを着せられて、おかげで烈しい寒風はのがれるかわり、ありがたいお天道さまも直かには拝めず、ずいぶん淋しいといえば淋しいけれど、時おりは
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
頑固な気性がつひした借金の負目おひめとなつて、釜貞は、一月二月と経つうちに、破れ障子破れぶすまの夜寒に思案もなく、有る程のものを悉く売り尽して露の命を細〻と繋いでゐたが
名工出世譚 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
残んの雪ぶすまをはねのけて起き上ると、まず、長い重圧で硬直している肢体を、身にしみじみと温かい陽光に、やわらげほぐし、しどけなく寝みだれたもつれ髪を、南風に櫛けずり
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)