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其処此処
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そこここ
ふりがな文庫
“
其処此処
(
そこここ
)” の例文
旧字:
其處此處
十二時にならないと店を
開
(
あ
)
けない
贅沢
(
ぜいたく
)
な料理屋も
其処此処
(
そこここ
)
にある。芝居帰りの正装で上中流の
男女
(
なんによ
)
が夜食を食べに来るのだ
相
(
さう
)
である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
山が漸次に深くなり、山道を荷を負うて通う牛が
其処此処
(
そこここ
)
に群をなしている。道の両側の坂地をならして小さな麻畑がいくつも出来ている。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
乃
(
すなわ
)
ち社内へ
進入
(
すすみい
)
ッて、左手の方の
杪枯
(
うらが
)
れた桜の樹の植込みの間へ這入ッて、両手を背後に合わせながら、顔を
皺
(
しか
)
めて
其処此処
(
そこここ
)
と
徘徊
(
うろつ
)
き出した。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そしてこれも顔を赤くホテらした断髪の娘は、土堤から畑の中へ飛び下りると、
其処此処
(
そこここ
)
の嫌いなく、麦の芽を、踏みしだきながら、
喚
(
わ
)
めいた。
麦の芽
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
婦燭を
執
(
と
)
りて
窟壁
(
いわ
)
の
其処此処
(
そこここ
)
を示し、これは蓮花の岩なり、これは無明の滝、乳房の岩なりなどと
所以
(
いわれ
)
なき名を告ぐ。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
定刻に近づくと、さだめられた門から庭づたいに、拝観者の家族は
一群
(
ひとむれ
)
一群
(
ひとむれ
)
、
其処此処
(
そこここ
)
の庭を荒さぬように、秩序よく、またつつましく流れ入って来た。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女は唯
愈
(
いよい
)
よ
咽
(
むせ
)
びゐたり。音も立てず
臥
(
ふ
)
したりし貫一はこの時忍び起きて、障子の
其処此処
(
そこここ
)
より男を
隙見
(
すきみ
)
せんと為たりけれど、
竟
(
つひ
)
に
意
(
こころ
)
の如くならで止みぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
麹町
(
こうじまち
)
の
番町辺
(
ばんちょうへん
)
牛込御徒町
(
うしごめおかちまち
)
辺を通れば昔は旗本の屋敷らしい邸内の
其処此処
(
そこここ
)
に銀杏の大樹の立っているのを見る。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
両岸には、ドス黒い木の葉がうず高く空を覆って
積重
(
つみかさ
)
なり、その濃緑の壁に真赤な
椿
(
つばき
)
の花が、ポッツリにじんだ血の様に、一輪ずつ
其処此処
(
そこここ
)
に咲いていた。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
以前には
其処此処
(
そこここ
)
にちらばっていたのを、
西常央
(
にしつねのり
)
島司が
一纏
(
ひとまと
)
めにして、この通り碑を建てたという事や、昔
甲冑
(
かっちゅう
)
を着けた騎馬武者がこの辺に上陸したことや
土塊石片録
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
其処此処
(
そこここ
)
に赤や白の鼻緒の草履の山があって、おすしをもっていったものも、食べたものもあるので残りすくなになって、残った手伝いが跡片附けをはじめても
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
広い灰色の原には
処々
(
ところどころ
)
に黄色い、白い、赤い花が固って、砂地に白い葉を這って、地面から、浮き出たように、古沼に浮いているように
一固
(
ひとかたま
)
り
宛
(
ずつ
)
、
其処此処
(
そこここ
)
に咲いている。
日没の幻影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
紡績織の
浴衣
(
ゆかた
)
も少し色のさめたるを着て、至極そそくさと落つきの無きが差配のもとに来たりてこの家の見たしといふ、案内して
其処此処
(
そこここ
)
と戸棚の数などを見せてあるくに
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そこで声をかけながら皆は
其処此処
(
そこここ
)
を懸命に探したが、雪子の姿はどこにもなかった。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
其の
都度
(
つど
)
ヒヤリとして、針の
尖
(
さき
)
で突くと思ふばかりの液体を、
其処此処
(
そこここ
)
滴
(
したた
)
らすから、
幽
(
かすか
)
に覚えて居る
種痘
(
しゅとう
)
の時を、胸を
衝
(
つ
)
くが如くに思ひ起して、毒を射されるかと舌が
硬
(
こわ
)
ばつたのである。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
色廓
(
くるわ
)
はつい程近く絃歌は夜々に浮き立ちて
其処此処
(
そこここ
)
の茶屋小屋よりお春招べとの客も降るほどなれど、芸道専一と身を占めて、ついぞ
浮名
(
うきな
)
も流さぬ彼女も、ふと呉羽之介を
見初
(
みそ
)
めてより
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
沼南の味も
率気
(
そっけ
)
もない
実
(
み
)
なし
汁
(
じる
)
のような政治論には余り感服しなかった上に、
其処此処
(
そこここ
)
で見掛けた夫人の顰蹙すべき娼婦的
媚態
(
びたい
)
が妨げをして、沼南に対してもまた余りイイ感じを持たないで
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
維新の際には、若者達の出陣した後を守つて、
其処此処
(
そこここ
)
の番所を固めた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
疾
(
と
)
くに政治の改造までに個性の自由を延長して考え、政界の腐敗に対して公憤を
禁
(
とど
)
めかねている真成の新しい女たちが
其処此処
(
そこここ
)
の家庭に人知れず分布されているであろうとも想像されるのである。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
差し当りて
其処此処
(
そこここ
)
に宿泊せしめ置きたる壮士の手当てを
如何
(
いか
)
にせんとの先決問題起り、直ちに東都に打電したる上、石塚氏を使いとしてその状を
具陳
(
ぐちん
)
せしめ、ひたすらに
重井
(
おもい
)
の
来阪
(
らいはん
)
を
促
(
うなが
)
しけるに
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
其処此処
(
そこここ
)
に時々陽の光も落ちたとはいへ。
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
桟橋
(
かけはし
)
は十間に足りない短いものでした。渡ってみると
其処此処
(
そこここ
)
に、さらに数戸の人家が目につく。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水戸の御家人や旗本の
空屋敷
(
あきやしき
)
が
其処此処
(
そこここ
)
に
売物
(
うりもの
)
となっていたのをば、維新の革命があって程もなく、新しい時代に乗じた私の父は空屋敷三軒ほどの地所を一まとめに買い占め
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
昨年の夏、
東恩納
(
ひがしおんな
)
〔
寛惇
(
かんじゅん
)
〕君が帰省したので、二人で琉球語の金石文を読みに
浦添
(
うらそえ
)
の古城址を訪ずれたが、思いがけずも灰色の瓦の破片が
其処此処
(
そこここ
)
にころがっているのを見た。
土塊石片録
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
見渡す限りセピヤ色の
砂丘
(
しやきう
)
が連続し、
蘇西
(
スエズ
)
の市街や運河の
其処此処
(
そこここ
)
にある信号所の附近を除いては
全
(
まつた
)
く一草一木も
生
(
は
)
えて居ない。
埃及
(
エヂプト
)
の空に落ちる日の色は
紫褐色
(
しかつしよく
)
を
漲
(
みなぎ
)
らして居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
同じ下宿するなら、遠方がよいというので、本郷辺へ
往
(
い
)
ッて尋ねてみたが、どうも無かッた。から、
彼地
(
あれ
)
から小石川へ下りて、
其処此処
(
そこここ
)
と
尋廻
(
たずねまわ
)
るうちに、ふと
水道町
(
すいどうちょう
)
で一軒見当てた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
多くの僧俗に出迎はれて出て来た人は
田鶴子姫
(
たづこひめ
)
ではなくて、金縁の
目鏡
(
めがね
)
を掛けて
法衣
(
はふえ
)
の下に紫の
緞子
(
どんす
)
の
袴
(
はかま
)
を
穿
(
はい
)
た三十二三の
痩
(
やせ
)
て
脊
(
せ
)
の高い僧であつた。
御門主
(
ごもんしゆ
)
、
御門主
(
ごもんしゆ
)
と云ふ声が
其処此処
(
そこここ
)
から
起
(
おこ
)
つた。
御門主
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
其処此処
(
そこここ
)
の団欒を、微笑ましげにうしろから眺めている
容子
(
ようす
)
であった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其処此処
(
そこここ
)
に
紅葉
(
もみぢ
)
の旗を隠したる
木深
(
こぶか
)
き森の秋のたはぶれ
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
と、掃いて来た山道や崖の
其処此処
(
そこここ
)
を見まわしているらしい。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
処
常用漢字
小6
部首:⼏
5画
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
処
常用漢字
小6
部首:⼏
5画
“其処”で始まる語句
其処
其処等
其処辺
其処彼処
其処許
其処々
其処中
其処迄
其処是処
其処等中