“甘(うめ)” の例文
「時に、オイ、熊の野郎め久しく顔を見せねエが、どうしたか知つてるかイ、何か甘(うめ)い商売でも見付けたかな」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
丁寧にむしって出すのを、甘(うめ)え/\と喰うくらいの事じゃねえ、余(あんま)り仲が好過(よす)ぎてネ、遂々(とう/\)赤ん坊が出来た
「折角(せつかく)甘(うめ)え酒(さけ)臺(でえ)なしにして可惜物(あつたらもん)だな、此(こ)らこんで餘程(よつぽど)えゝ酒(さけ)だぞ」抔(など)といふ聲(こゑ)が雜然(ざつぜん)として聞(きこ)えた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
東海道膝栗毛(ひざくりげ)もすさまじいや、尾張名古屋は城で持つと、雲助までも唄っていらあな、宮重(みやしげ)大根がどのくらい甘(うめ)えか、尾州味噌がどのくらいからいか、それを噛みわけてみねえことにゃ
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
第一、君あの辺の景色が素晴しいぜ、山があり、森があり、河原がひろく、昔の道中絵の通りだぜ——蛇籠にでも腰を降して弁当を喰つたりするのは、それあもう甘(うめ)えぜ。頭が休まるねえ。
村のストア派 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「世の中には甘(うめ)い物(もん)が有れば有るもんだあ!」
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
そんでも先刻(さつき)はがや/\一杯(ぺえ)居(え)るやうだつけがあつちぢや甘(うめ)え物(もの)あつて爺等(ぢいら)とつ返(けえ)しとつたんべなあ
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
大芳の若棟梁は今に立派なものになんなさる、親方さんも好(い)い養子をもらい当てゝ仕合せだ、あゝ甘(うめ)え塩梅しきに行(ゆ)けば実子がなくっても心配(しんぺえ)することはないなどと申して居ります。
俺(お)ら朝(あさ)つぱら出掛(でかけ)つちやつてまあだ行逢(えきや)えもしねえから、どうするつちんだか分(わか)んねえが、どうせ甘(うめ)え面付(つらつき)もしちや居(え)らんめえな、此(こ)んで怪我(けが)なんぞさせてえゝ心持(こゝろもち)ぢやあんめえな
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
甘(うめ)え仕事もねえのサ……親方御免なせえ……お爺さん熱くして一本酣(つ)けておくれ、お爺さん、カラどうも酔(えい)が醒めちゃア生地(いくじ)がねえんだ、寒い時と怖(こえ)え時は酒でなくッちゃア凌(しの)げねえから