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佳味
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うめ
「
此の
婆奴等、そつちの
方で
偸嘴してねえで、
佳味え
物有つたら
此方へ
持つて
來う」
先刻の
首へ
珠數を
卷いた
小柄な
爺さんが
呶鳴つた。
「
此りや
佳味えこたあ
佳味えが
餘りあまくつて
俺がにや
胸が
惡くなるやうだな」
勘次は
冷めた
湯を
幾杯か
傾けた。
勘次は
風呂敷から
袋を
出してお
品の
枕元へ
置いて
「どうせ
俺らあ、
佳味えつたつてさうだに
減る
程でも
食ふべぢやなし、
管やしねえが」
卯平は
皮肉らしい
口調でいつた。
勘次は
只默つてむしや/\と
不味相に
噛んだ。