うめ)” の例文
甚「え、成ったって宜いや、不人情な事をいうな、手前てめえが殺したなら黙ってうめるてえのだ、殺したら殺したと云いねえ、殺したか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もつともと一面いちめん竹藪たけやぶだつたとかで、それをひらとき根丈ねだけかへさずに土堤どてなかうめいたから、存外ぞんぐわいしまつてゐますからねと
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
およそ竹材には「竹の色許由きょゆうがひさごまだ青し」とか「うめられたおのが涙やまだら竹」というように、それ自身に情趣の深い色っぽさがある。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
(埋葬)というのは三千子さんの死体をどっかへうめたことかも知れませんね。それから、この(と小生と蕗屋の三人のみ)の前には奥さんの名前がある訳ですね
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
息苦しくしてって、お前は来年の一月一じつから二月一じつまでの間に土の下にうめられるのだといって聞かせて、其上そのうえでどんな哲学を説き出すか、聞いてりたい。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
かれ日中につちう甘藷畑さつまいもばたけそばぎては自分じぶんあらしたあとこゝろひどいとはおもふのであるがそれをうめくにはこゝろとがめた。ういふ伴侶なかま千菜荒せんざいあらしといふ名稱めいしようもとばれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さゝくたらしを、ほう/\といてうまがつて、燒豆府やきどうふばかりを手元てもと取込とりこみ、割前わりまへときは、なべなか領分りやうぶんを、片隅かたすみへ、群雄割據ぐんゆうかつきよ地圖ちづごとしきつて、眞中まんなかうめざうもつを
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すきは要らん、うめちゃいかん、いきて居るよ!」
船「おかが近けりゃア伝馬てんまへ積んで陸へうめるだが、何処どこだか知んねえ海中じゃア石ウ付けて海へ打投ぶっぽり込むだ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どこかの静かな墓地の土の下にうめられて、次第に朽ちて行くのに、その土の上では何事もない日が立って行く事だろう。そして自分は生き残って、人交ひとまじわりもするだろう。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
だが爺やが若し犯人だったと仮定したら、彼は何もこれを花壇にうめる必要はない。そ知らぬ顔をして使用していればよい訳です。誰も現場にサックが落ちていたことは知らないのですからね。
何者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しばらくすると裏庭で、子供が文鳥をうめるんだ埋るんだと騒いでいる。庭掃除にわそうじに頼んだ植木屋が、御嬢さん、ここいらが好いでしょうと云っている。自分は進まぬながら、書斎でペンを動かしていた。
文鳥 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何う云う訳でお前まア此様こんな棺桶へ入れられてうめられたのか知らんけれども死んだ人なれば穴を掘って墓場へ埋めなければならんが、本堂の石室せきしつの中へ入れて
わしはあれを読んで、生きうめの恐ろしさをよく知っていたのだ。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
眞「出来でけぬたって殺さいでもいじゃないか、仮令たとい殺しても墓場へでもうめれば知れやアせんのじゃ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これから着物を借りて山三郎は穴掘の扮装なりになりまして、手拭はスットコ被りにして、井桁屋と二人でうめるときの手伝となって行って様子を見ていると、向うも急ぐとみえて
山「おい/\お前は是から其の穴を掘った処へ棺をうめる手伝いをするのか」
それを綱で張ってありますが、乗損のりそくなって落ちて死んだ時には、ツクの下へ其の死骸をうめるのがの祭の法だと云いますが、危険けんのんわざであります。なれども慣れて上手なものでございます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
○「早桶はやおけうめちまった奴が桶の中でお前さんを呼んだのかね」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ツクの下へ死骸をうめるのが法だと云いますが妙でげすねえ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)