あき)” の例文
また小奇用こぎようで、何一ツ知らぬという事の無い代り、これ一ツ卓絶すぐれて出来るという芸もない、ずるけるが性分であきるが病だといえばそれもそのはずか。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
丁度花を持って遊ぶ子が、遊びあきてその花を打捨うっちゃってしまうように、貴方はわたしを捨てておしまいなさいました。
彼女は、なおもその無意味なすないたずらを二三度くり返したようであったが、それにもあきたのか、顔にかかった砂を払おうともせず、ぐったりと「干物」のようにのびていた。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
指導役しどうやくのおじいさんからそうわたされましたが、じつをいうとわたくしほうでも近頃ちかごろはそろそろやまあききて、どこぞべつのところへうつってたいような気分きぶんがしてたのでございました。
其所そこへ別荘をたてると申して出ました切り手紙を一通送ってよこさず、まるで音信おとづれがございませんから、悋気ではございませんが、万一ひょっとほか増花ますはながあってわたくしあきが来て見捨てられやしないかと
四國の丸龜までもどる者なりと答るに彼男私しは江州がうしうにて候が江戸表へあきなひに參り只今歸り道也是からまた尾州びしう名古屋へいたり夫より京大坂へ仕入しいれに登り候つもりに付幸ひ御供同樣に御召連下おめしつれくださるべし一人の道中と云者いふものは道にあきるものゆゑ御咄相手おはなしあひてに御同道仕つり度と然も馴々なれ/\しく申すにぞ後藤は否々いな/\某はまた道連みちづれの有は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)