“ま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
語句割合
19.7%
8.5%
6.9%
6.7%
6.1%
5.1%
3.6%
3.5%
2.5%
2.4%
2.2%
2.2%
2.0%
1.9%
1.8%
1.7%
1.6%
1.5%
1.4%
1.4%
1.2%
1.2%
1.0%
0.9%
0.9%
0.8%
0.7%
0.7%
0.6%
0.5%
0.5%
0.4%
0.4%
0.4%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
仕舞0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
播種0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
真実0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
老成0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
退0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
𢌞0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「それは、ともかく、こんなところでマゴマゴしていると、また客にとっつかまる。このに提灯を消して急いで逃げ出しましょう」
「何が無くとも、熱い雑炊でも進ぜよう。ず先ず炉端へくつろがれるがい、夜が明けたら、早速麓の村まで送り届けて進ぜよう」
それじゃあ砂をいて置いたらどうでしょう。その男が空でも飛んで来れば別ですが、歩いて来るのなら足跡はのこる筈ですからね。
青年と死 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やがて大きなつめでひっかくようなおとがするとおもうと、はじめくろくもおもわれていたものがきゅうおそろしいけもののかたちになって
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おじいさんは、来年らいねんはるになるのをったのです。ついに、そのはるがきました。すると、常夏とこなつは、ぐんぐんとおおきくなりました。
花と人間の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひもも、紙鳶に相応ふさはしい太いいとだし、それがかれてあるわくも、子供では両手で抱へてゐなければならぬ程、大きな立派なものである。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
「ああ、いい事があらあ」釈迦しゃかの十蔵と云うだ二十二三の男が叫んだ。彼は忠次のさかずきを貰ってから未だ二年にもなっていなかった。
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
相接する機会が多く、じっさい、何だかんだとしじゅう一しょに噂の種をいて世間の脚下灯きゃっかとうに立っているんだから、むを得ない。
必ず坐して守り以てそのむるをつ、その醒むるを俟つにあらず、その懼るるを俟つなり〉とある、自分を懼れぬ者を食わぬのだ。
この意見は、本来はなんの根拠もないものではあるが、のあたり眺めたときには私の想像力がすぐなるほどと思ったものであった。
光秀は恩を謝して、それを持つと、歩卒にじって、前線に出、乱軍となると、敵地へふかく駈けこんだまま姿をかくしてしまった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かぜがきますと、いままでの、うつくしいあかは、ぱたりとえだからそらはなれて、ひらひらとって、したかわなかちてしまいました。
三匹のあり (新字新仮名) / 小川未明(著)
眼玉をいて、ばたきをこらえて見せる。目や鼻や口を、皺苦茶しわくちゃに寄せて見せる。長いベロを伸ばして、鼻の頭まで届かせて見せる——
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしまもるところのものは、権利、自然の大法、一歩もぐることのできない各人の自己に対する主権、正義、真理、などである。
そんな素直すなおかんがえもこころのどこかにささやかないでもなかったのですが、ぎの瞬間しゅんかんにはれいけぎらいがわたくし全身ぜんしんつつんでしまうのでした。
で、旅宿やどやの一で出来るだけ小さくなつて、溜息ばかりいてゐると、次の日曜日の朝、夫人は金糸雀かなりやのやうな声ではしやぎ出した。
草がからだをげて、パチパチったり、さらさら鳴ったりしました。霧がことしげくなって、着物きものはすっかりしめってしまいました。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
朝霧あさぎりがうすらいでくる。庭のえんじゅからかすかに日光がもれる。主人しゅじんきたばこをくゆらしながら、障子しょうじをあけはなして庭をながめている。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「なんの、ばかばかしい。なんとか名を付けておもしでも取ろうとするのは駕籠屋の癖だ」と、外記は直ぐに思い直して笑った。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
教会へは及ばずながら多少の金を取られてる、さうして家庭かない禍殃わざはひ種子たねかれでもようものなら、我慢が出来るか如何どうだらう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
してお金の事など、どうして頼む事が出来よう。意気地のない私はお金を儲ける事などは無論のこと、借りに行く所さえないのだ。
愛の為めに (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
「叔母さん、どんなに私は是方こっちへ参るのが楽みだか知れませんでしたよ。お近う御座いますから、たこれから度々たびたび寄せて頂きます」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかし、俺は、悟空の(力と調和された)智慧ちえと判断の高さとを何ものにもして高く買う。悟空は教養が高いとさえ思うこともある。
いまさら、けツこはないでせう……。こゝまで来て敗けたりしちやア眼もあてられない。私は、敗けるなンざア考へてもみない。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
行くゆく沿道の村落で聞く風説などにも、ずいぶん戒心かいしんを要するものがある。その中には多分に、敵の流言もじっているからだった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次第に日はかたむいて、寺院のあたりを徘徊はいかいする人の遠い足音はいよいよれになってきた。美しい音色の鐘が夕べの祈祷きとうを告げた。
御蔭おかげられた品物しなものまたもどりましたよ」とひながら、白縮緬しろちりめん兵兒帶へこおびけた金鎖きんぐさりはづして、兩葢りやうぶた金時計きんどけいしてせた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もののようにえた呂宋兵衛は、すでに、味方みかたなかばはきずつき、半ばはどこかへ逃げうせたのを見て、いよいよ狼狽ろうばいしたようす。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かたわら卓子テーブルにウイスキーのびんのっていてこっぷの飲み干したるもあり、いだままのもあり、人々はい加減に酒がわっていたのである。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
男もた余り我儘わがまゝ過ぎると思ひますの——梅子さん、是れは世界の男に普通のでせうか、其れとも日本の男の特性なのでせうか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
あの人のるいそうと目標にされるような、大女優にして残したかった。こういうのも貞奴の舞台の美を愛惜するからである。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
其後そのご雲飛うんぴ壮健さうけんにして八十九歳にたつした。我が死期しききたれりと自分で葬儀さうぎ仕度したくなどをとゝの遺言ゆゐごんして石をくわんおさむることをめいじた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
『十八丁だすて、東光院まで。……この道をぐに行きますと、駐在所ちうざいしよがあつて、其處そこから北へ曲るんやさうだす。』
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
甲州小判大判取りぜ、数万両、他に、刀剣、名画等を幾何いくばくともなく強奪したのを最後に、世の中から姿を消してしまったそうじゃ
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
眼がう。隣歩きで全然すっかり力が脱けた。それにこのおッそろしい臭気は! 随分と土気色になったなア! ……これで明日あす明後日あさってとなったら——ええ思遣られる。
本草経の所謂神農本草経であることは論をたない。しかし当時此名の下に行はれてゐて信頼すべき書は存在してゐなかつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「何があるもんか、少しのお賽銭で自然法を自分の都合の好い方へげようという横着な料簡があるばかりさ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
何らかの意味において基底的なるものが考えられるかぎり、それは自ら働くものではない。自己否定を他にたなければならない。
デカルト哲学について (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
『ボズさん!』とぼくおもはず涙聲なみだごゑんだ。きみ狂氣きちがひ眞似まねをするとたまふか。ぼくじつ滿眼まんがんなんだつるにかした。(畧)
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
かれ出雲いづもに到りまして、大神おほかみを拜みへて、還り上ります時に、の河一八の中に黒樔くろすの橋一九を作り、假宮を仕へまつりて、さしめき。
げてのわびごとなんとしてするべきならずよしやひざげればとて我親わがおやけつしてきゝいれはなすまじく乞食こつじき非人ひにん落魄おちぶるとも新田如につたごときに此口このくちくされてもたすけを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
而も、手を挙げて合図した彼の胸のポケットには、幼い英司君の写真が収められてゐたのだと思ふと、たしても、涙を誘はれるのである。
旧友の死 (新字旧仮名) / 辰野隆(著)
心のすみ何処どこかにだ残ってる政治的野心の余燼よじん等の不平やら未練やら慚愧やら悔恨やら疑惑やらが三方四方から押寄せて来て
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
他力易行と教えて来たが、思いにさる事実の応験。愛慾泥裏の誑惑きょうわくの男と女がそのままに、登る仏果の安養浄土、恐ろしき法力ではあるなあ。
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
忘れんとして躊躇ちゅうちょする毛筋の末を引いて、細いえにしに、絶えるほどにつながるる今と昔を、のあたりに結び合わすにおいである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「おはんも何かないと、お困りだろうからね、わーさんなら、堅くてさっぱりしていて、世話の焼けない方だから、よかろうと思ってね。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あるいは例の消極的修養に必要な道具かも知れない。むかし或る学者が何とかいう智識をうたら、和尚おしょう両肌を抜いでかわらしておられた。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
われは身の既に死して無際空間の氣海に漂へるを覺えたり。我身はまさに昇りて天にせる父のもとに往かんとす。然るに一物の重く我頭上を壓するあり。是れ我罪障なるべし。
乳が止まることのあるものだと聞くと、乳母は、胸へ手を当て、眼をるくした。「ともかく明日わたしが又来るから、そのとき模様を見てあげよう。」
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
何者であるか更に想像は附かぬけれど確かに帽子を深に冠り、目には大きな目鏡を掛けて居た様に思われる、通例の人ではなく、他人に認められるを厭う人だと云う事は是だけで分って居る。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
そうすると嫁にいって三日目にたった一人の下女が急に病気になって宿へ下がりました。良人やどは社へ出て不在るすですし、晩になっても御飯の副食物おかずこしらえる事が出来ません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
こう極端になってはもう物頭ものがしらたちのおさえもきかない。帷幕いばくからの厳命も、部将にかせておいたのでは、到底収拾しゅうしゅうはつくまいと、勝家は思い極めたものとみえる。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私もいつかその口ねを覚えて、天幕の店へ坐っていた。
雨の回想 (新字新仮名) / 若杉鳥子(著)
よくも案内を知らないので半分はひ子になりながら、この騒ぎのなかを怪我けがもしないで見てあるくうち、とう/\宮城へ入り込んでしまひました。
拾うた冠 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
次に右の御髮の輪にかれていた珠をお請けになつて囓みに囓んで吹き棄てる息の霧の中からあらわれた神はアメノホヒの命
女にしてみると、こうして見出されるよりは、いままでのように誰にも気づかれずに婢としてはかなく埋もれていた方がどんなにしか知れなかった。……
曠野 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
かなしむ者はさいわいなり、其故如何? さに現われんとする天国に於て其人は安慰なぐさめを得べければ也とのことである。
看板の宣伝かたがた札びらを切って歓を交し、多勢の女中にも余分の祝儀しゅうぎをばらき、お母さんお母さんとあおりたてられて、気をよくしているのであったが
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
げて、自分一存の計らいを取りおきましたことは罪万死にあたいいたしまする。法はみだすべからずです。今日参上いたしましたのも、まったくは唯、そのご処分を
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何か知らぬがだ/\金ピカ/\の本が大きな西洋書棚に一杯あるさうで、大抵な者は見たばかりでけむに巻かれるさうだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
寛畝さんのものはわりによくねてあると思いますが、真物はまだまだずっと筆に勁烈けいれつなところがあります。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
かれ天皇、その謀をらしめさずて、その后の御膝をきて、御寢したまひき。
「須磨口からしぐらに、街道をすすんでくる一軍こそ、足利直義ただよしの主力。だが、あわてるなと申せ」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼はむしろ懸崖けんがいの中途が陥落して草原の上に伏しかかったような容貌ようぼうであった。細君は上出来の辣韮らっきょうのように見受けらるる。今余の案内をしている婆さんはあんぱんのごとくるい。
カーライル博物館 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかも裁判長の態度には、その教養あるものに対するのとはるでちがつた同情があるのですから、その点でも当然もう少しの理解はあつてもいゝものだと私は考へたのです。
ある女の裁判 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
それから私の手の下で、小さな咽喉仏のどぼとけを二三度グルグルとわして、唾液つばきをのみ込むと、頬を真赤にしてニコニコ笑いながら、いかにも楽しそうに眼をつむった。
冗談に殺す (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ホコリにみれた素跣足すはだしの上に、背縫せぬいの開いた囚人服を引っかけて、太い、新しい荒縄をグルグルと胸の上まで巻き立てている彼の姿を見たら、大抵の者が震え上がったであろう。
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しどろの足をねされて、飛行ひぎやうの空にあこがるゝ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
正面は群集で身動きもならないので、うまいたのだ。
アリゾナの女虎 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
かれたゞ自分じぶん心配しんぱいだけをそこからふたからけてしまはねばへられなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
して初めより、如何あらんと疑弐ぎじする日に出でゝ、興趣を感ずべき筈なし、ただに時間と金銭を費すに過ぎず。
研堂釣規 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
聡明にして感情を有したる地下の故人、さに余の依然として呉下蒙ごかもうたるを笑ふなるべし。地下の故人よ、嗚呼あゝ余は依然として呉下蒙たるなり。
透谷全集を読む (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
鷲尾が畳みかけると、微笑わらっている無邪気そうな眼の中を、おそろしくせたものが一瞬キラリとよぎったと思われた。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
『かしこきやすめら御國みくにはうまし國うら安の國くにのまほくに』『百八十ももやそと國はあれども日の本のこれのやまとにます國はあらず』『天地のそきへのきはみぎぬとも御國みくににましてよき國あらめや』
愛国歌小観 (旧字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
ぐさ小屋ごやの中の高いびきは、さだめし心地ここちよい熟睡うまいにおちているだろう。お長屋ながやもみんなえて、卜斎ぼくさいの家のなかも、あるじのこえなく、きゃくわらいもたえて、シンとしてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
己酉つちのととり(二十八日)……さらに日本やまと乱伍らんご中軍ちゅうぐんの卒を率いて進みて大唐の軍をつ。大唐、便すなわち左右より船をはさみてめぐり戦う。須臾とき官軍みいくさ敗績やぶれぬ。水におもむきて溺死しぬる者おおし。
金将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
また竹は勢よく割れるものであるから人間たるものの気性もさにそうあるべきものだとそれに比較せられます。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
上に述べた通り、古エジプトや西アジアや古欧州の竜は、あるいは無足の大蛇、あるいは四足二翼のものだったが、中世より二足二翼のもの多く、またれに無足有角のものもある。
やぶれた床の下を水だけがもとの儘せせらぎの音を立てて流れてゐるやうなのもじつてゐた。
ふるさとびと (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
哭きつつぎしかば、すなはち見得て、その木をきて、取り出で活して、その子に告りて言はく、「汝ここにあらば、遂に八十神にころさえなむ」
知らせに驚いて出先から、兄が飛んで来ますし、ひっそりとした田舎の家が、たちまち人の大群に取りかれて、れるような騒ぎになりました。
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
が身はけし
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
黄昏たそがれ家を出で、暫らく水際に歩してた田辺に迷ふ。螢火漸く薄くして稲苗まさに長ぜんとす。涼風葉をうごかして湲水くわんすゐ音を和し、村歌起るところに機杼きじよを聴く。
客居偶録 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
夫れ大人ひじりのりを立つる、ことわり必ず時に随ふ。いやしくも民にくぼさ有らば、何ぞ聖造ひじりのわざたがはむ。まさ山林やま披払ひらきはら宮室おほみや経営をさめつくりて、つゝしみて宝位たかみくらゐに臨み、以て元元おほみたからを鎮むべし。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
すなわちこの様に解釈してこそこの歌、すなわち、「いもすがりにきし山路やまぢどひくらしつ」
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
半島の東側面には方言にと称する大小の入江が多く、西海岸は反対にほとんと一続きの砂浜であるが、その砂浜に尻を塞がれて今も小さな潟が残り
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
往反ノ者ノ路ニしたがラザルハナシ矣、ノ俗天下ニ女色ヲてらヒ売ル者、老少提結シ、邑里ゆうり相望ミ、舟ヲ門前につなギ、客ヲ河中ニチ、わかキ者ハ脂粉謌咲かしょうシテ以テ人心ヲまどハシ
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
何とも思わんな。さ、おとっさまの前で一度言って見なさい、さ言って見なさい。御先祖代々のお位牌も見ておいでじゃ。さ、一度言って見なさい、不孝者めが‼
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
菊五郎の松王丸、「やれたれよ玄蕃殿」と声かけ駕籠かごより出で、左手に刀をき、下手の床几しょうぎにかかり「助けて返す」にて咳入り「つら改めて」にて右手を懐に入れ、後へ体をのしてきまる。
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
お附の者に連れられて自分のへやに帰って、昨日にもして結構な朝御飯を済ました。ところがその御飯が済むと、やがて一人の立派な軍人が這入って来て藍丸王に最敬礼をながら——
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
彼は、女にけない程度に冷静を装ったつもりだけれど、その文束を持った指先が無残にふるえていた。
ふみたば (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
秩父宮召したまふなりあなかしこ麻布第三聯隊にゐのぼる我は
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
旅籠屋に帰ってから、半蔵らは珍客を取りいて一緒にその日の夕方を送った。正香というものが一枚加わると、三人はひざを乗り出して、あとからあとからといろいろな話を引き出される。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ツたくそれだ、其何物かだよ。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
代助は赤いくちびるの両はしを、少しゆみなりにしたの方へげてさげすむ様に笑つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うそおつしやい。ついでだから、みんなけて御仕舞しまひなさい」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
殆んど暴君のような逞しい勢いで払っているもなく襲ってくるのであった。
或る少女の死まで (新字新仮名) / 室生犀星(著)
乗り込んで来るのは真昼間まっぴるまである。鍋の底からは愛嬌あいきょういて出る。ただようは笑の波だと云う。ぜるのは親切の箸と名づける。鍋そのものからがひんよく出来上っている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やがて瑠美子たちの愛らしい一組の新舞踊も済み、親たちが自慢の衣裳いしょうをつけて、年の割りにひどくせた子も引っ込んで、見応みごたえのある粒の大きいのも、数番つづいた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼は佛教が尤も孝道を重んずることを主張し、儒教も佛教の協力をつて、一層孝道を完成することが出來ると主張して居る。されど彼の主張は、決して論爭的でなく、寧ろ妥協的である。
じっと、見詰めていると最初銀かニッケルと思った金属は、銀ほどは光が無くニッケルほど薄っぺらでないのに、気が付いた。彼は指先で、二三度でて見た。それは、ぎれもなく白金プラチナだった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そこは人間のあさはかさ! 火焔と見せて汝を偽むき、その間に大地を掘り返し、床板をねて廊下に出でしは、火竜土竜局地秘法! これより寝所にかり通り
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
我邦わがくに学問の独立せざる久し。王仁わに儒学を伝えてより以来、今日に至るおよそ二千余年の間、未だ曾て所謂いわゆる独立の学問なるものありて我が子弟を教授せしを見ず(謹聴)。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
卑劣と知って、人の手先にはならんでも、われに対する好意から、見損みそくなった母の意をけて、御互に面白からぬ結果を、必然の期程きてい以前に、家庭のなかにける事がないとも限らん。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この時瓦師土を取りに出ると駒随い行き、その土を袋に満ててしまうを見て背を低くす。袋を載せると負うて宅へかえる。因ってこれを留めぬか胡麻滓ごまかすぜて飼い置いた。
雕物ほりものした盆に蜜と粳米うるしねぜて入れたのを食うべきだ、明日また使が来たらこう言いなさい、瓦師は物をらぬと侮って、智馬と知りながら知らぬ真似まねして凡馬の値で買うとはずる
うむ、はたきふかくなくつちや收穫んねえものよそら、らあさかりころにや此間こねえだのやうにあさうなあもんだたあねえのがんだから、現在いまぢやはあ、悉皆みんな利口りこうんなつてつかららがにやわかんねえが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
れがにやえゝんだよ、隨分ずゐぶんつれつたから、おふくろことあねえこたねえが、悉皆みんな揶揄からけえ/\したからそんでさうだこといふやうんつたんだな、有繋まさかあれだつてこまつちやんだから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ところで、さように早速、大人の事が出来るものでない、自分のずさがはっきりとわかる、それで絵をかく事も詩を作る事も嫌になる子供が、先ずこの時期において大部分を占めてしまう。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
如何にずい西洋人の絵にしてもが、かなりの日本人の絵の側へ置いて見ると絵の心の高低は別として日本人の絵は存在を失って軽く、淡く、たよりなく、幽霊の如く飛んで行く傾向がある。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
由て今左に同氏の説を紹介するが、これは今からさに百二十一年前の文政四年〔一八二一〕に出版と成った同氏著の『槻の落葉信濃漫録』に載っている文章である。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
〔補〕今からさに六十二年前の明治十四年十二月に、東京大学の松村任三先生が「神樹果して日本に生ずるや」と題する一文を当時の『郵便報知新聞』に掲げて大いに気焔を揚げられた事があった。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
まことや、魔の睫毛まつげ一毫ひとすじに、いま、右の目に鏨を丁と打ったと思うと
魔の睫毛まつげ一毫ひとすじがきっとある。
吾背子わがせこをなこの山の喚子鳥君喚びかへせ夜の更けぬに (巻十、雑)
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
忘れはしい。たとえ彼等がその手段においては誤っていたとしても。
一にいはく、やはらぎを以て貴しとし、さかふこと無きをむねと為せ。人皆たむら有り、またさとれる者少し。これを以て、或は君父きみかぞしたがはずして隣里さととなりたがふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
れ遠謀禍殃かおうを招くをいかん 牆辺しようへん耳あり隄防を欠く 塚中血は化す千年みどりなり 九外屍は留む三日香ばし 此老しろうの忠心皦日きようじつの如し 阿誰あすい貞節りんとして秋霜 た知る泉下遺憾無きを ひつぎ
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
まへるとわたしんで仕舞ふであらう、ものはれると頭痛づつうがする、くちくとがまわる、れも/\わたしところてはやなれば、おまへ何卒どうぞかへつてとれい似合にあは愛想あいそづかし
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
過去に見事なものがあつたのは言ふをたない。だが現在でも、見事なものを得ることが出来、又産むことが出来る。
和紙の美 (新字旧仮名) / 柳宗悦(著)
推するに榛軒は貞白のしん定まるをつて金を授けたのであらう。自ら「嚢物常無半文儲」を歎じつゝも、友を救ふがためには、三十金を投じて惜む色がなかつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
いぬどもの、みゝにはて、きばにはみ、ほのほき、黒煙くろけむりいて、くるまともはず、ひとともはず、ほのほからんで、躍上をどりあがり、飛蒐とびかゝり、狂立くるひたつて地獄ぢごく形相ぎやうさうあらはしたであらう
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すると、弟の修造も自然、彼をねてやはりもう店を訪れようとはしないのであった。静三は後になって回想すると、この頃を境に彼は日向から日蔭へ移されたような気持がする。
昔の店 (新字新仮名) / 原民喜(著)
これ縁日えんにちへ行って買って来てやるから構わない。少し腰を痛めたから、其後それからは何にもしなかった。第一日はず成功だろう。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
竹屋たけやふぢ時節じせつにあらず、金格子きんがうし東海樓とうかいろうとほつたみち青樓おちややさの、ところ今日けふ腹工合はらぐあひと、懷中くわいちう都合つがふつて、天利てんりといふので午餉ひるにしよう、しろうめとやれ
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いつも悲鳴に似て、なにかが凶がしく心細い気のするものだ。大ぶん天気が続いたあとのせいか、これからしばらくは、ついぞ好い日に恵まれなかった。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
昨日は英語で一番綴りの長いことばの事を言つたが、今日は林檎の冤罪をそゝいだおけに、世界中で一番長い名前をお知らせする。
だから、使つかうものが、こうしてあつちゃや、しる安心あんしんしてべることができる。たとえ、世間せけんにいくらまえのこえた陶器師とうきしでも、そのしんせつなこころがけがなかったら、なんのやくにもたたない。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
わりを取巻いていた職工たちが、その揺れの拍子を捕えて、丁度足場の上へ押して行った。
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
加之、識る人も識らぬ人も醉うては無禮講の風俗をかしく、朱欒ざぼんの實のかげに幼兒と獨樂こまはし、戸ごとに酒をたづねては浮かれ歩く。祭のあとの寂しさはまた格別である。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ろやかに馬手めては胸の上に置き左苺の草つむ少女
短歌 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
大原君はたといお代さんと婚礼するにしても形だけの婚礼で心は独身をもるつもりだといっています。大原君の心は何事があっても貴嬢あなたを離れる事がありません。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
保つ事は覚束おぼつかないが(国にいれば高等官一等から五つ下へ勘定かんじょうすれば直ぐ僕の番へわってくるのだからね。もっとも下から勘定すれば四つで来てしまうんだから日本でもあまり威張れないが)とにかくこれよりもさっぱりした家へ這入はいれる。
倫敦消息 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まあ、けときねえな。それを、お前、大先生に叱られたって、柔順すなおに別れ話にした早瀬さんも感心だろう。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まことに彼はさも思へらんやうにいさみ、喜び、誇り、楽める色あり。彼のおもては為にふばかり無く輝ける程に、常にもして妖艶あでやかに見えぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あらがみ束髮そくはつ薔薇ばらはなかざりもなき湯上ゆあがりの單衣ゆかたでたち、素顏すがほうつくしきなつ富士ふじひたひつきのこりて、をぎ秋風あきかぜふけどほたるねきし塗柄ぬりゑ團扇うちは面影おもかげはなれぬ貴公子きこうしあり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
い寄ると解釈すりゃ、ダンスでもする奴かな。」
渦巻ける烏の群 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「あはやといふところで、けてしまつた。」と唸りながら卓子に突ツ伏した。
競馬の日 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
体に合わせて作るための力強いげ方、その皮を固く緊着せる帯の織物としての柔らかさなどが、実に細かく表現せられている。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
忌々いまいましげに、顔をゆがめ、角三郎は小石を拾って、梢へ投げた。——ぱっと、すごい羽搏はばたきが、そこを離れ、枯野の上を、ゆるった。
御鷹 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
譜本ふほんうたうたふやうに、距離きょり釣合つりあひちがへず、ひいふういて、みッつと途端とたん敵手あひて胸元むなもと貫通ずぶり絹鈕きぬぼたんをも芋刺いもざしにしようといふ決鬪師けっとうしぢゃ。
『では、だおまへはそれをらないんだわ』とつてあいちやんは、『でも、おまへさなぎつてから——何時いつかしら屹度きつとわかるわ——それからてふになるときに、 ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
犬烏あつまむ。天皇此のいざによぶ声を聞きて、心に悲傷いたみす。群卿にみことのりして曰く、それ生くるときにめぐみし所を以て亡者なきひとしたがはしむ。これ甚だいたきわざなり。それ古風といへども良からずば何ぞ従はむ。
本朝変態葬礼史 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
まりなげ、なわとびのあそびにきやうをそへてながるゝをわすれし、其折そのをりこととや、信如しんによいかにしたるか平常へいぜい沈着おちつきず、いけのほとりのにつまづきて赤土道あかつちみちをつきたれば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
為世は晩年にその子にみな先立たれ、それから未曾有みぞうの大乱に遭遇し、そして吉野朝と京方との対立が持久的状態にふみ入ろうとするところまでに見て死んだのである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
わが歌は腹の醜物しこものあさるとかはやの窓の下に詠む歌
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
究竟つまり君の方に損の掛らん限はけてもらひたいのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
すぐ人波にき込まれた。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
天下の羣小ぐんしょうさしまねいで、いたずらにタイモンのいきどおりを招くよりは、らんを九えんき、けいを百けいえて、ひとりそのうち起臥きがする方が遥かに得策である。余は公平と云い無私むしと云う。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その弟子がぬすみ聴いてその咒をおぼえて、道士の留守をうかごうて鬼をんだ。鬼は現われて水をき始めた。
鴎外漁史とは誰ぞ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
お艶は肩をすくめて、自分の袖をさぐって居ります。少し伏目に、八五郎を讃歎させた白い額を見せて、柔らかい公卿眉くげまゆと、美しい鼻筋、ほのかな唇の紅が、幾人かに恋患いをさせた魅力でしょう。
〔凝リテ花ヲ成サザルハ霿淞ニ異ナリ/著来シテ物物おのオノ容ヲ異ニス/柳条ハ脆滑ニシテ蓴油ノゴトクなめラカナリ/松葉ハ晶瑩ニシテ蛛網ノゴトクヅ/氷柱四檐繖角ニ垂レ/真珠万点裘茸ニ結ブ/詩人何ゾ管セン休徴ノ事/奇景ノアタリニ驚ク老イニ至リテ逢フトハ〕あんズルニ曾南豊そうなんほうノ集中ニ霿淞むしょうノ詩アリ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一度ならず二度までも軽々と、あの母親のいうことを真実に受けて、この貴重な脳神経を、どんなに無駄むだに浪費したか知れぬ
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
神は鴉を養い給うとは詩篇にたびたびずる思想であり、また主イエスは「鴉を思い見よかずらず倉をも納屋なやをもたず、されども神はなおこれらを養い給う」というた(ルカ伝十二の二四)。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
この鏈頸より下をめぐりてその身のあらはれしところをくこと五囘いつまきに及べり —九〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
き、放つ湯津爪櫛ゆづつまぐし
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
そう思いながら、彼はさすがに人通りのれな日本堤の上を歩いていた。後から「ほい、ほいッ!」と威勢のいい懸声をしながら、桐油とうゆをかけた四つ手籠が一丁そばをり抜けて行く。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
高々と空にひすましてゐる鷹の聲である。
みなかみ紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
新吉がやっと気がついて、その調子に合せようとすると、案外ずるく調子を静め、それからステップの合間/\ママ老成せたさゝやきを新吉の耳に聞かせ始めた。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その九時頃くじごろ濱野はまのさんがて、ちやはなしながら、ふと「いつかのこたつさわぎは、丁度ちやうど節分せつぶん今夜こんやでしたね。」といふのをなかばくうちに、わたしはドキリとした。總毛立そうけだつてぞつとした。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから蛸と同類で、現世界には化石となってのみあとを留むるアンモナイツは、漢名石蛇というほどいた蛇によく似いる。
呪えども、憎めども、彼女が、不思議な恋のじの環を、どうしても抜けることが出来ぬうちに、大喜利おおぎりも幕になった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
ぽっちり三臠みきれ五臠いつきれよりは附けないのに、葱と一所ひとつけて、鍋からもりこぼれるような湯気を、天井へ立てたはうれしい。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「旦那」と小声に下婢の呼ぶに、大洞はばしとばかり退かり出でぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
少女(ダナエを謂ふ、希臘諸神の祖なるチエウス黄金の雨となりてき給ひ、ペルセウスを生ませ給ふ)の貌はいかにも美しく、臥床ふしどの上にて黄金掻き集むる羽ある童の形もいと神々しけれど
一列ひとならび、むしろの上を六尺ばかり、ぐるりと廻る。手足も小さくあどない顔して、目立った仮髪かつらまげばかり。麦藁細工むぎわらざいくが化けたようで、黄色の声でせた事、ものを云う笛を吹くか、と希有けぶに聞える。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、あわただしく刀を拾うと、何を思うも無さそうに、ギラリと冷かに抜いて、鞘を棄ててひっさげたのである。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かはらが焼け落ちて、グワラ/\とすごい音を立てます。逃げ迷ふ女子供の泣きわめく声やら、せまはる男達の足音、叫び声などワヤ/\ガヤ/\聞えて物凄ものすごい有様でした。
拾うた冠 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
「ふゝ」と、女は袖口のまくれた白いひぢをあげて、島田のをなでながら、うつとりした目をして天井をながめてゐた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
座敷の三ぱう硝子障子がらすしやうじで、廊下がグルリと𢌞はりえんのやうになつてゐた。障子の外へ出て見ると、中二階風ちうにかいふうに高く作られて、直ぐ下が稻田であると分つた。星明りにも見晴らしのいことが知られた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)