ふるさとびと
おえふがまだ二十かそこいらで、もう夫と離別し、幼兒をひとりかかへて、生みの親たちと一しよに住むことになつた分去れの村は、その頃、みるかげもない寒村になつてゐた。 淺間根腰の宿場の一つとしての、瓦解前の繁榮にひきかへ、今は吹きさらしの原野の中 …