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室
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ま
ふりがな文庫
“
室
(
ま
)” の例文
やっと、自動車で宿へ帰って——この、あなた、隣の
室
(
ま
)
で、いきなり、いが餅にくいつくと、あ
熱
(
つつ
)
、……舌をやけどしたほどですよ。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、
旅宿
(
やどや
)
の一
室
(
ま
)
で出来るだけ小さくなつて、溜息ばかり
吐
(
つ
)
いてゐると、次の日曜日の朝、夫人は
金糸雀
(
かなりや
)
のやうな声ではしやぎ出した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
みのるは
其家
(
そこ
)
の主人の應接
室
(
ま
)
で久し振りな顏を友達と合はせた。みのるには自分が借りるのだといふ事が何うしても云へなかつた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
「ああなるのも自業自得でしかたがない。」と、母親らは、まだ茶の
室
(
ま
)
で茶を呑みながら、今立たしてやった叔父の噂をしていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「お梅さんどうかしたのですか」と
驚惶
(
あわただ
)
しく
訊
(
たず
)
ねた。梅子は
猶
(
なお
)
も
頭
(
かしら
)
を垂れたまま運ばす針を
凝視
(
みつめ
)
て黙っている。この時次の
室
(
ま
)
で
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
お春は静かに次の
室
(
ま
)
へと退ったが
暫
(
しば
)
しして、秋の空を思えとや、紫紺に
金糸銀糸
(
きんしぎんし
)
もて七
艸
(
そう
)
を縫った
舞衣
(
まいぎぬ
)
を投げかけ
金扇
(
きんせん
)
を
翳
(
かざ
)
して現われました。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
その間に、嘘かほんとか大げさな話を得意にしてゐるのが、一
室
(
ま
)
へだてた三田のところ迄、殘らず聞えて來るのであつた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
別荘
守
(
もり
)
の男から主人と思って大事がられるために、時方は宮のお座敷には
遣戸
(
やりど
)
一重隔てた
室
(
ま
)
で得意にふるまっていた。
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
一昨日
(
おととい
)
の晩三人で来て前の
家
(
うち
)
は策で売らしてしまったから、
笠阿弥陀堂
(
かさあみだどう
)
の横手に
交遊庵
(
こうゆうあん
)
という
庵室
(
あんしつ
)
がありましょう、
二間
(
ふたま
)
室
(
ま
)
があって、庭も
些
(
ちっ
)
とあり
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「どうも又今は空き
室
(
ま
)
が一つもございませんで、せっかくの電報でございましたから、この先十町ばかりの
湯田中
(
ゆたなか
)
という所へ宿を見付けておきました」
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
「お父さん、お父さん。」と、次の
室
(
ま
)
で病人が途方もない大きな聲を出したので、道臣と千代松とは驚いて顏を見合はした。お駒は顏の色を蒼くした。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
折柄警部は次の
室
(
ま
)
にて食事中なりしかば其終りて
出来
(
いできた
)
るを待ち
突如
(
だしぬけ
)
に「長官大変です」荻沢は
半拭
(
はんけち
)
にて髭の
汚
(
よご
)
れを
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ある夜戸叩く音に私が先づ目を
醒
(
さ
)
まして、また赤痢があつたのかと氣遣ひながら耳を澄ましてゐると、
襖
(
ふすま
)
のない次の
室
(
ま
)
に寢てゐた母が寢床から聲を掛けた。
避病院
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
「茂七は逃げて行く曲者の後ろ姿をチラリと見た——と言いますが、二階は四
室
(
ま
)
もある上、廊下に
灯
(
あかり
)
がないから、男か女か、それさえ判らなかったそうで」
銭形平次捕物控:070 二本の脇差
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「フフフ。黙ってろ。幕が
開
(
あ
)
くから……オヤア……これあ西洋
室
(
ま
)
だ……おれア日本
室
(
ま
)
にしといた筈だが……」
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
現在六畳と二畳とで十五円の家賃は、六畳一
室
(
ま
)
の
室借
(
まがり
)
にすれば少なくも三円の
室代
(
へやだい
)
を切りつめることができると彼はしじゅう、万一の場合の覚悟をきめていた。
犠牲者
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
西向きの
一室
(
ひとま
)
、その前は植込みで、いろいろな木がきまりなく、勝手に茂ッているが、その一室はここの家族が常にいる
室
(
ま
)
だろう、今もそこには二人の婦人が……
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
一
室
(
ま
)
しかない
庵
(
あん
)
の中には、三十前後の小柄な男が
書見
(
しょけん
)
していたが、人の
跫音
(
あしおと
)
を聞いて顔をあげた。
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
二
階
(
かい
)
と謂ツても、
眞
(
ほ
)
ンの六
畳
(
でふ
)
一
(
ひ
)
と
室
(
ま
)
で、一
間
(
けん
)
の
押入
(
おしいれ
)
は付いてゐるが、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
もなければ
椽
(
えん
)
も無い。何のことはない
箱
(
はこ
)
のやうな
室
(
へや
)
で、たゞ南の方だけが中窓になツてゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
障子
(
しやうじ
)
一重
(
ひとへ
)
の次の
室
(
ま
)
に、英文典を復習し居たる書生の大和、両手に頭抱へつゝ、涙の
霰
(
あられ
)
ポロリ/\
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
無論自分の家ではあるが自分達の住む部屋は前二階の二
室
(
ま
)
きりで、奥二階にも店の間にも幾多の家族が借りていたのだ。それでも自分の家であることにかわりはなかった。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
一走
(
ひとはし
)
り行つて来ようかと考へたが、
頭
(
あたま
)
が
重
(
おも
)
く痛む
様
(
やう
)
なので、次の阿母さんの部屋の八畳の
室
(
ま
)
へ来て障子を
明放
(
あけはな
)
して、箪笥の前で横に成つた。暑い日だ、そよと吹く風も無い。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
梅月で誰かに
汲
(
くん
)
で遣った湯の返しのなかった事、
常磐屋
(
ときわや
)
で大臣さんにお目に懸った事、船で花見の約束に行った事、こちらの
室
(
ま
)
からもしきりに笑い声が漏れるようになったが
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
竹の
自在鍵
(
じざい
)
の煤びたのに小さな茶釜が黒光りして懸つて居るのが見えたかと思ふと、若僧は身を屈して
敬虔
(
けいけん
)
の態度にはなつたが、直と
区劃
(
しきり
)
になつてゐる襖を明けて其の次の
室
(
ま
)
へ
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
苔で青くなつた石の
手水鉢
(
てうづばち
)
に
家形
(
やかた
)
の置いてあるのがある庭も、奥の
室
(
ま
)
も、静かな静かなものでしたが、店の方には若いお
針子
(
はりこ
)
が大勢来て居ましたから、絶えず笑ひ声がするのでした。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
孤燈かげ暗き一
室
(
ま
)
に壁にうつれる我が影を友にて、唯一人悄然と更け行く鐘をかぞへたらんには、鬼神をひしぐ荒ら男たりとも越し方ゆく末の思ひに迫まられて涙は襟に冷やかなるべし
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と防いでも見たが、遂々顔を真赤にして次の
室
(
ま
)
へ逃げた。私も皆と一緒になつて笑つた。
暫時
(
しばし
)
してから市子は
軽
(
かろ
)
い咳払をして、怎やら取済した顔をして出て来たが、いきなり
復
(
また
)
私の前に坐つた。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
院内
(
ゐんない
)
の一
室
(
ま
)
に
若
(
わか
)
い
醫者
(
いしや
)
と
起
(
お
)
き
伏
(
ふ
)
しゝてゐることは
公然
(
こうぜん
)
になつた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
と古い黒塗の枕を出して、そして挨拶して次の
室
(
ま
)
へ下つた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
夕暮がたの
蕭
(
しめ
)
やかさ、
燈火
(
あかり
)
無き
室
(
ま
)
の
蕭
(
しめ
)
やかさ。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
それさえ胸先に
沁
(
し
)
みましたのに、「あちらでおやすみなさいまし。」……次ぎの
室
(
ま
)
へ座を立たせて——そこが女作家の書斎でしたが。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もちろん一家の主婦が亡くなったあとへ来て、茶の
室
(
ま
)
に居坐るほどのものが、好意だけでそうするものとはきまっていなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
坊さんも坊さんなら、居士も居士だと思つた。で、
狗
(
いぬ
)
のやうに次ぎの
室
(
ま
)
に
蹲踞
(
かいつくば
)
つて訳を訊くと居士はけろりとした顔で言つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
其日
(
そのひ
)
はそれで
別
(
わか
)
れ、
其後
(
そのご
)
は
互
(
たがひ
)
に
誘
(
さそ
)
ひ
合
(
あ
)
つて
釣
(
つり
)
に
出掛
(
でかけ
)
て
居
(
ゐ
)
たが、ボズさんの
家
(
うち
)
は一
室
(
ま
)
しかない
古
(
ふる
)
い
茅屋
(
わらや
)
で
其處
(
そこ
)
へ
獨
(
ひとり
)
でわびしげに
住
(
す
)
んで
居
(
ゐ
)
たのである。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
勝手口から上りながら、道臣は臺所の千代松をチラと見て、輕く
會釋
(
ゑしやく
)
をすると、次の
室
(
ま
)
に入つて、柱の折れ釘に
烏帽子
(
えぼし
)
を掛け、淨衣は
衝立
(
ついたて
)
の前に脱ぎ棄てた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
灯
(
ひ
)
は僧たちのいる南の
室
(
ま
)
にあって、内側の暗くなっている病室へ薫はすべり入るようにして行って、病んだ恋人を見た。老いた女房の二、三人が付いていた。
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
因
(
ちなみ
)
に焼失したる県立高女の
廃屋
(
あばらや
)
は純日本建、二階造の四
室
(
ま
)
で、市内唯一の
藁葺
(
わらぶき
)
屋根として同校の運動場、弓術道場の背後、高き防火壁を
繞
(
めぐ
)
らしたる一隅に在り。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
頓
(
やが
)
て元の
室
(
ま
)
に達すれば、
件
(
くだん
)
のプラトが又寝台の下より出来り歯を
露
(
むき
)
出して余を目掛け飛掛らんとす、余は其剣幕に驚きて一足
背後
(
うしろ
)
に
退下
(
ひきさが
)
らんとする程なりしが
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
……と、誰れかに呼び立てられたやうな氣がして目を開けたが、左右の
室
(
ま
)
には誰れもゐなかつた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
と六畳ばかりの奥の
室
(
ま
)
の長火鉢の側へ
寝蓆
(
ねござ
)
を敷いて夫婦を坐らせ、番茶を
注
(
つ
)
いで出す長二の顔をお柳が見ておりましたが、何ういたしたのか俄に顔が蒼くなって、眼が
逆
(
さか
)
づり
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
室
(
ま
)
の広さは前のよりは広い位に思はれたが副室は一つもない。
良人
(
をつと
)
は
直
(
す
)
ぐ
此処
(
ここ
)
に決めた。五分間もしないうちに荷物が運ばれて、それぞれの所へ配置された。部屋
附
(
づき
)
の女も来た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
その手が動かないほどに見えた時はまた思い出した時で、目賀田さんすぐ御飯をあがりますかと、隣の
室
(
ま
)
の入口あたりまで来て尋ねる小女に促され、応と云って部屋を出たそこの柱に
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
これは海の中に
自
(
おのず
)
から水の流れる
筋
(
すじ
)
がありますから、その筋をたよって舟を
潮
(
しお
)
なりにちゃんと
止
(
と
)
めまして、お客は
将監
(
しょうげん
)
——つまり舟の
頭
(
かしら
)
の方からの第一の
室
(
ま
)
——に向うを向いてしゃんと坐って
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
奥の
室
(
ま
)
のうらめづらしき
初声
(
うぶごゑ
)
に血の気のぼりし
面
(
おも
)
まだ若き
みだれ髪
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
夕暮がたの
蕭
(
しめ
)
やかさ、
燈火
(
あかり
)
無き
室
(
ま
)
の
蕭
(
しめ
)
やかさ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
そこへ、
中仕切
(
なかじきり
)
の障子が、次の
室
(
ま
)
の
燈
(
あかり
)
にほのめいて、二枚見えた。
真中
(
まんなか
)
へ、ぱっと映ったのが、大坊主の額の出た、唇の
大
(
おおき
)
い影法師。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
正月に着るものを、お銀はその後また四ツ谷から運んで来た行李の中から引っ張り出して、時々母親と一緒に、茶の
室
(
ま
)
で針を持っていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
床屋は言ひ付けられたやうに
翌
(
あく
)
る日の午過ぎ、その姿で恐る/\公爵邸の
閾
(
しきゐ
)
を
跨
(
また
)
ぐと、
昨日
(
きのふ
)
の
使者
(
つかひ
)
が出て来て一
室
(
ま
)
に案内した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
祖父
(
じい
)
様と貞夫はすでに夢もなげに眠り、母上と
妻
(
さい
)
は次の
室
(
ま
)
にて何事か小声に語り合い、折り折り忍びやかに笑うさま、
小児
(
こども
)
のことのほか別に心配もなさそうに候
初孫
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
隅
(
すみ
)
の
室
(
ま
)
の
屏風
(
びょうぶ
)
を引き
拡
(
ひろ
)
げ
蔭
(
かげ
)
を作っておいて、妻戸をあけると、
渡殿
(
わたどの
)
の南の戸がまだ
昨夜
(
ゆうべ
)
はいった時のままにあいてあるのを見つけ、渡殿の一室へ宮をおおろしした。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
“室”の意味
《名詞》
(シツ)特に、身分の高い人の妻。内室。
(出典:Wiktionary)
室
常用漢字
小2
部首:⼧
9画
“室”を含む語句
室内
寝室
室中
内室
此室
船室
車室
居室
茶室
御内室
庵室
小室
御室
空室
客室
彼室
舞踏室
氷室
浴室
病室
...